ゆとりくんが叶える資本主義と文化の両立 『本気の独演(奏)会』、“本物”の言葉の強さに触れて

2026年7月18日、東京・代官山UNITにて、株式会社yutoriを創業した経営者としての顔を持ちながら、アーティストとしても活動するゆとりくんの単独公演『ゆとりくん本気の独演(奏)会』が開催された。ゆとりくんは、2024年からKOHEI(BUZZ-ER.)と組む音楽プロジェクト・69(無垢)で音楽活動を開始し、2025年秋にクラウドナインに所属。今年に入ってからは本人名義で1st EP『KINGDAMN』、2nd EP『ミラーボールを消して』の2枚を立て続けにリリースし、話題を呼んだ。
今回の公演はトークパートとバンドセットによるライブパートを融合させた一夜限りのイベント。音楽ライブとしては珍しい「Keynoteを使いながら喋るプレゼンスタイル」のトークパートから幕を開けた。冒頭、挨拶がわりの「TAO」というフレーズを口にしながら、ステージに姿を現したゆとりくんは、「自分の言葉で話せていますか?」という問いを観客に投げかけた。

そして、SNSと資本主義によって世界が“オーディション化”していく現代において、正解と不正解が流動的であると語り、「常に正解と不正解はひっくり返される。世のなかで皆さんがひっくり返す側であってほしいという思いを込めて」と告げた後、バンドメンバーを呼び込み、ライブパートをスタート。ヴィンテージロック調のサウンドが印象的な「fashion」、ジャージークラブのビートの上でトライバルなメロディが展開される「スピってる」を続けて披露した。

言葉を聞く時間から音楽で盛り上がる時間に完全にムードが移行したこのタイミングで、ゆとりくんは「僕の友達を紹介したいと思います」とラッパーのYOSHIKI EZAKIをステージに呼び込むと、哀愁漂うダンスホールレゲエ調の「turn go (feat. YOSHIKI EZAKI)」、キャッチーなハイパーポップテイストのラップチューン「VintageTee☆ (feat. YOSHIKI EZAKI)」を立て続けに披露。息の合った掛け合いで会場を大いに盛り上げた。

続く2つ目のトークでは、2nd EP『ミラーボールを消して』の背景が語られた。「感覚が合わないことに自己責任を感じ、自分を気に病んでいた」と去年の秋を振り返り、そこから先ほど披露した「turn go」などの収録曲が生まれたと明かすゆとりくん。「処理しきれない感情には必ず形が必要で、俺はそれを作品というエネルギーに変えるのがいちばんいいと思った」と語ったうえで、ブルージーなギターの響きとファンキーなベースが絡み合う「feel real me」を披露した。

次に長年の盟友・KOHEIをステージに迎え、69名義の「junk(ey)」「Y2N」「FRANKIE」を続けて披露したあとは、アバンティーズのSoraもステージに登場。ソウルフルなコーラス、スキルフルなラップが印象的な最新EP収録のムーディーなディスコ曲「PARADOX」を3人でエネルギッシュに歌い上げた。
また、再び69名義の楽曲に戻った「pool」では、イントロでバンドメンバーの紹介が入った。続く「TAO」ではゆとりくん自ら「いちばんの曲、神曲」と煽り、観客が一斉にその言葉に応えるかたちで大きく手を振る場面も見られた。この直後のMCでは、ファンネームが「たおちる」に決定するひと幕もあった。

会場の盛り上がりが最高潮に達するなか、迎えた3つ目のトークパートで語られたのは、“記号”というテーマだった。「僕は記号を求めて上京した。アパレル業界最年少、最短で上場すれば注目してもらえる。でも、王冠って外から見たらキラキラしてるけど、つけたら思ったより重い」と当時の心境を回想したうえで、「記号を利用して記号を追い越して、記号からはぐれ続けてください」と語り、エモーショナルなバラード「ハグレモノ」を披露。そして、〈バズりたいより/バブりたい〉というゆとりくんらしい言葉遊びの妙を感じさせるフックを本人と観客が声を合わせて歌ったシティポップチューン「バブりたい」でライブ本編は幕を閉じた。

観客の声援を受けて行われたアンコールでは、最初に軽快なシャッフルのリズムと甘いエレピの音色が際立つポップロックスタイルの新曲「bootleg」が披露された。同曲について、「作られた当時は偽物の古着だったものが、時間を経て本物になっていく」「夢を語る言葉も、信じ続ければ本物になる」と楽曲に込めた意味を解説した直後、ゆとりくんは「発表があります」と切り出し、ソニー・ミュージック内レーベル・Echoesへの所属決定によるメジャーデビューを発表。「『本当に大丈夫なのかな?』っていうのは、僕がいちばん思ってるんですけど」と笑いを取りつつ、「資本主義と文化の両方をやっていきたい」と強く意気込みを語った。そして、「リアルお悩み相談」や記念撮影といった観客との交流の時間を挟みつつ、最後にリクエスト投票による「バブりたい」の再演でイベントを締め括った。

自身の物事に関する見方や信念が語られたトークパート、音楽に対する熱い想いが全力で披露されたライブパート、そしてサプライズで明かされたメジャーデビュー。どこを切り取ってもゆとりくんらしさが際立つ約2時間のライブはまさに『本気の独演(奏)会』と呼ぶに相応しいものだった。カリスマ経営者としてだけでなく、アーティストとしても、ファンにさまざまな熱いメッセージを届けてきたゆとりくん。メジャーアーティストとして、さらに規模を拡大していく、今後の彼の音楽活動に期待が膨らむ。

■リリース情報
2nd EP『ミラーボールを消して』
配信中
配信URL:https://linkco.re/HzuTBYYd
<収録曲>
01. fashion
02. turn go (feat. YOSHIKI EZAKI)
03. PARADOX (feat. KOHEI, Sora)
04. feel real me
05. バブりたい
ゆとりくん アーティストページ:https://cloud9pro.co.jp/artist/profile/yutorikun/
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