4月クール期待ドラマは? 『正義のセ』『ブラックペアン』『宮本から君へ』などジャンル別に紹介

期待の4月クールドラマ

 1月クールのドラマが終わり、4月クールのドラマが始まるまでのこの間、もちろん特番やスペシャルドラマを観るのも楽しいのであるが、やはり「早く始まってくれないかな~」というのがドラマファンの本音でもある。ドラマが始まるのが待ちきれないセッカチなドラマっ子による期待のドラマをジャンルに分けて紹介したい。

【上質なミステリー】『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)

 波瑠と鈴木京香による、未解決事件を巡る「バディもの」ミステリー。透明感のせいかクールで真っ直ぐなキャラクターの印象が強かった波瑠が、『あなたのことはそれほど』(TBS系)でバッシング覚悟の不倫妻役を演じ、『もみ消して冬』(日本テレビ系)で見事なコメディエンヌぶりも発揮し、今度は「体力と柔術には自信のある肉体派熱血刑事」を演じるという新たな意外性を見せてくれるのが楽しみだ。そして何より朝の連続テレビ小説『あさが来た』の脚本である大森美香とのタッグである。大森美香は、昨年の隠れた傑作ドラマ、竹野内豊主演『この声をきみに』(NHK)、宮崎あおい主演『眩~北斎の娘~』(NHK)2作の脚本を手がけている。「熱血バカ」と「文字フェチ」という異色の女性バディの関係やミステリー要素はもちろんだが、大森の緻密で繊細な人間描写を何より楽しみにしている。

【アラサー女子にオススメ/お仕事ドラマ】『正義のセ』(日本テレビ系)

 『ハケンの品格』を筆頭に『家売るオンナ』『校閲ガール』など「お仕事ドラマ」が強い印象がある日テレ水10枠期待の新ヒロインは、吉高由里子が演じる検事・竹村凛々子。阿川佐和子原作である。杏主演『花咲舞が黙ってない』、吉高由里子主演『東京タラレバ娘』を手がけた松田裕子の脚本であることから、仕事終わりのアラサー女性の明日への活力になることは間違いないだろう。凛々子をサポートする事務官・相原勉を演じる安田顕、朝ドラ『わろてんか』での一際光る好演が記憶に新しい広瀬アリスが、吉高由里子の妹役というのも安定感抜群だ。

【安定の日曜劇場/エンターテインメント】『ブラックペアン』(TBS)

 二宮和也主演の医療エンターテインメント。『バチスタ』シリーズの海堂尊による『新装版 ブラックペアン1988』(講談社文庫)が原作だ。『バチスタ』ファンなら馴染みの深い“狸”高階病院長が若い頃の物語であり(小泉孝太郎が演じる)、二宮が演じる「オペ室の悪魔」渡海や、内野聖陽演じる佐伯など、とにかく魅力的なキャラクターが光っていたことが印象的な1冊だった。これを『小さな巨人』や、『陸王』など池井戸潤作品を多く手がけてきたプロデューサー伊與田英徳はじめスタッフ、並びに日曜劇場おなじみの多種多様な豪華キャストたちが、どうエンターテインメント作品として昇華させるのかが気になる。

【深夜の大本命/映画ファンにもオススメ】『宮本から君へ』(テレビ東京系)

 個人的には『シン・ゴジラ』よりも強烈だった、柳楽優弥主演映画『ディストラクション・ベイビーズ』(2016)の真利子哲也監督が深夜ドラマを撮るということで、映画ファンとしては一番楽しみな1作。90年代に多くの若者たちの心を鷲づかみにした新井英樹のコミックが原作。確実に面白いものを作ってくれるだろう池松壮亮と柄本時生。特に、何かが乗り移ったような池松の表情は強烈だ。そしてオープニングのエレファントカシマシとエンディングのMOROHA。公式ホームページのキャスト・スタッフたちそれぞれのコメントを読むだけで、とてつもない熱量が伝わってくる。傑作の予感。

【濃厚キャストに注目】『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)

 ディーン・フジオカ主演。なぜ「岩窟王」として知られるあまりにも有名な『モンテ・クリスト伯』を日本のテレビドラマが、日本人キャストによって現代ものとしてリメイクするのかという若干の戸惑いは否めないが、『昼顔』、『刑事ゆがみ』演出の西谷弘、『僕のヤバイ妻』脚本の黒岩勉という組み合わせが気になる。そしてなにより目が離せなくなってしまったのはキャスティングの妙だ。ドラマ『セトウツミ』(テレビ東京)の高杉真宙と葉山奨之という注目の若手コンビ、新井浩文、三浦誠己、渋川清彦という共通するファンが多いであろう色気のあるオトコたち、そして存在するだけでドラマ・映画に奥行きを与える田中泯。山本美月、岸井ゆきのに加え、山口紗弥加と稲森いずみという女性陣の布陣の完璧さも見逃せない。

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