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今期アニメ『ID-0』『正解するカド』は海外ドラマと呼応? SF要素の扱いから考察

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 4月からスタートした『ID-0』と『正解するカド』はどちらもSF作品だ。キャラクターを3DCGで描いているという共通点もあるが、ここではSFという部分に注目したい。

 日本のアニメの中にあって、SF的なガジェットは決して目新しいものではない。TVアニメの黎明期、SF作家が脚本に参加していた先例もあるし、’80年前後のアニメブームの時期は、『スター・ウォーズ』に代表される世界的なビジュアルSFブームの時期とも重なっていた。邦画のバジェットがアメリカ映画ほど大規模でないこともあって、日本のアニメにあって、(時代によって量に多寡はあれど)SFは欠かせないひとつのジャンルとして存在している。

 では、どうして改めて『ID-0』と『正解するカド』に注目するのか。それはSF要素の取り扱い方にある。SFアニメに登場するSFガジェットやSF設定は、作品世界の特徴づけのために使われていることが少なくない。キャラクターのドラマが前景にあり、SFガジェットやSF設定はあくまでも描きたいドラマを成立させるための背景として活用されているのだ。

 これに対して『ID-0』と『正解するカド』はSF要素がむしろドラマをリードする形になっている。たとえば『ID-0』が描くのは、マインドトランス・システムによってIマシン(18m級の作業用ロボット)へと意識をすべて転送できるようになった未來。極限環境での作業に使われるIマシンだが、その状態で肉体が失われた時、人の意識はそのままIマシンの中にとどまり続けることになる。そういう存在を作中ではエバートランサーと呼んでいる。そういう世界では“人間”というものの概念が揺らがざるを得ない。しかも、メインキャラクターのひとりであるイドは、このエバートランサーである上に、過去の記憶も失っている。本作はマインドトランス・システムという仕掛けを通じて、改めて「何をもって人間とするか」という問いかけを浮かび上がらせようとしているのではないだろうか。

 『正解するカド』のほうは、もっとストレートにファーストコンタクトSFに分類できる内容を展開している。突如、羽田空港の一角に姿を現した謎の巨大立方体。それは高次元世界(作中では「異方」と呼ばれることになる)からやってきた「カド」という存在だった。そして、カドから姿を見せた異方の存在・ヤハクィザシュニナ。ヤハクイザシュニナは、第3話で“ワム”という、異方から電力を無尽蔵に取り出すことのできる装置を提供する。果たして世界はカドの登場でどのように姿を変えていくことになるのか。

 どちらもSF的ガジェットが背景ではなく、人間や世界を変容させていく(させている)重要な要素としてドラマをけん引している。少し前にも、平行世界を題材にした『エウレカセブンAO』やゲーム原作の『STEINS;GATE』といったSF性がドラマをけん引する作品はあった。だがこの2つと今回の2作が異なる点がある。それは、アニメというメディアを取り巻く環境が異なっているのだ。

 近年、NetflixとAmazonプライムビデオという外資系SVODサービスが、新作アニメをいろいろ配信するようになっている。この2つのサービスは、本国制作のオリジナルドラマも配信されているが、そこには少なからずSF作品が含まれている。この状況と呼応するように登場したのが、『ID-0』と『正解するカド』の2作なのだ。もちそんそれぞれ NetflixとAmazonプライムビデオで配信もされている。だから企画成立の事情はさておき、少なくとも、この2作は世界的なSFドラマへの関心の高まりに呼応するように登場した企画と見ることができるのだ。

      

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