新垣結衣 × 星野源『逃げ恥』ワールドの住民から目が離せない! 最終回に向けて見どころ徹底検証

『逃げ恥』最終回に向けて見どころ徹底検証!

 大人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)。ストーリーは、いよいよクライマックスに向けてラストスパートに突入した。“逃げ恥ワールドの住民たちをいつまでも見ていたい”という気持ちと、“どんなエンディングを迎えるのか早く知りたい”という欲求が入り混じって、気もそぞろな視聴者も多いことだろう。

 これはもはや、ドラマ『逃げ恥』に恋をしている状態だ。毎回、一瞬たりとも見逃したくないと画面に集中してしまうのも、見終わった後にポーッと幸せな気持ちに浸ってしまうのも、まさに恋。もう、認めざるをえない。このままでは失恋並の『逃げ恥』ロスが確実に待っている、と。だが、失う恐れよりも、今は限られた時間を全力で楽しむしかない。そこで、最終回に向けた見どころを改めて整理しておこう。

契約結婚の行方は?

 まずは、なんといっても、みくり(新垣結衣)と平匡(星野源)の関係が、どのような形に収まるのかが、一番の見どころ。雇用主と従業員の関係だった2人も、回を重ねるごとに気持ちを通わせ、12月7日放送の第9話で、ようやくお互いの素直な想いを言葉にすることができた。自分の気持ちを伝え、相手の考えを聞くことが、いかに勇気のいることか。これほど長い時間をかけて丁寧に描いたドラマも、なかなかないだろう。周囲に偽装結婚を悟られないためにと設けた「火曜日はハグの日」のルールも、想いが通じ合ったことにより「何曜日でも何時でも」に変更。ついでに「朝までも」と付け加えられ、いよいよ2人は夜を共に過ごすことに……というドキドキな展開に、ますます目が離せない。10話の予告では、平匡に背後から抱きつくみくりの姿も。お互いに照れながら「かわいすぎ」と言い合うシーンに、視聴者も「いやいや、まとめてかわいすぎか」と、心のツッコミを入れずにはいられない。雇用関係から、ムズキュンな恋の始まりとすれ違い、そして本当の恋人同士へと、ステップアップした2人。いよいよ形式だけではなく、本当の婚姻関係になるのか。2人が作る夫婦の形とは、一体どんなものなのか。結婚の本質を紐解いていってくれるのではないか。

みくりの自己実現は?

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 もともとは就職がうまくいかず、苦肉の策で契約婚を提案したみくり。平匡から、給料をもらって主婦業をしているものの、今も心の奥底で仕事で輝きたい、社会に必要とされたいという気持ちが渦巻いている様子だ。9話でも、イキイキと働く人をうらやましく眺めたり、「主婦をしている自分は端から見たら無職なのだろうか」と自問自答したり、ビジネスチャンスを妄想してワクワクする姿が描かれていた。会話やハグができて、家事もできるロボットがいたら、平匡のもとにいるのは自分でなくてもいいのではないか。感情まで認識するほど進化した人型ロボットに、真剣に話しかけながらもがきまくる、みくりの姿は実に印象的だった。他の誰でもなく、自分自身を求められたい。その欲求が満たされたという証は、お金なのか、地位なのか、愛する人からの感謝や敬意なのか。見ているこちらも一緒に考えさせられる部分だが、この問題にみくりはどんな答えを出すのか、実に興味深い。

平匡の自尊感情は?

 恋愛経験のない平匡は、これまで人との間に分厚い壁を作ってきた。愛されることを期待をせず、一定の距離を保っていれば、自分が傷つくこともなく、誰かを傷つけることもない。それが、みくりとの出会いで少しずつ壁が取り払われていった。雇用主という肩書きがあったからこそ、慎重に段階を経て、みくりと向き合うことができたのだ。9話では、物理的に触れることも恐れていた平匡がみくりの頭をポンポンとなでたり、「疲れた」と敬語ではなくなったり、見知らぬ文化の一つのように「ハグ」と呼んでいた行動を「抱きしめる」と自分の言葉で表現したりと、心境の変化が見て取れた。自分のことを好きが故に相手が嫉妬をするという経験も初めてだったのだろう。「調子に乗っていたらすみません」といいつつ、うれしくて仕方がない様子は見ているこちらもニヤニヤが止まらない。不器用ながらも愛を育む経験を経て、徐々に自尊感情が高まってきた平匡。みくりを巡ってライバル関係になった風見(大谷亮平)とも、真正面から意見を伝え合うほどに成長した。だが、まだまだ平匡の試練は続く。雇用主から恋人へ、ポジションが変われば求められるミッションも変わる。従業員ではなく恋人となったみくりが、就職を希望したらどうなるのか? そして自分自身のリストラのピンチまで。どうなる、平匡。頑張れ、平匡。

百合の幸せは?

 このドラマに、深みを持たせているのは、みくりの伯母・百合(石田ゆり子)の存在だろう。現代の働く女性を象徴しているような百合は、独身のアラフィフ。9話では、古い体制に甘んじている上層部に憤り、同期や部下の期待を背負って1人直談判をする強さもみせた。百合が手がける広告の「自由に生きる。美しくなる。」というキャッチコピーは、百合の信念そのものを表しているようだ。自分の価値観を大切にしながら自由に選択をして、自信を持って生きていく姿こそ美しい。そのポリシーは貫くことができたものの、仕事とは関係のない独身であることを揶揄され、傷つく結果に。結婚や出産を選ばない女性も増えているが、やはり社会からの風当たりはまだまだ強い。バツイチ子持ちの男性と結婚すれば「今からでも子どもが持てるのかも」と想像してみたり、若い子たちに「この人が頑張っているんだから」と勇気を与えられる存在になりたいと語ったり。どこかで血の繋がった子を持たずとも、後世に自分が生きた意味を残したいという本能も見え隠れした。凛々しく生きようとする百合も、張り詰めた糸が途切れることも。風見の前で本音と共に涙が溢れてしまった。果たして、この先どんな幸せが待っているのだろうか。

風見の変化は?

 料理もできるし、家事は家電がしてくれる。友人も多く、寂しさを感じることがないので、「メリットがない」と結婚に否定的だった風見。だが、雇用関係の事実婚という、相手に依存や執着を感じないみくりと平匡の関係に興味を持ち始める。「みくりをシェアしたい」という大胆な提案をしたり、平匡と腹を割って話したりと、徐々に考え方が変わってきている様子。人生のパートナーを、相手のスペックや、メリット・デメリットではなく、もっと本能的な何かで選択するという、新たな価値観が芽生えてきているように見える。9話で、百合の涙を身を挺して隠すという誠実さを見せた風見。いつもヒョウヒョウとしているだけに、この行動から2人の関係がどう変化するのか、こちらも見逃せない。

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