>  > 『追撃者』が描く道徳観と狂気

『追撃者』マイケル・ダグラスはなぜ史上“最凶”なのか? 狂気に満ちた怪演に迫る

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 広大な砂漠の真ん中に鳴り響いた一発の銃声。絶滅危惧種として知られる野生動物“バックホーン”狩りにやってきた大富豪マデックが撃った弾は、一人の探鉱者の身体を貫いた……名優マイケル・ダグラスの新作『追撃者』は、そんなシチュエーションから始まるサスペンス。

 監督のジャン=バティスト・レオネッティは、人肉食品工場を舞台にした近未来SF『カレ・ブラン』を手がけ、独特の映像センスと、タブー視されているテーマに勇猛果敢に挑む独自のセンスの持ち主として、一躍注目を浴びた鬼才の一人だ。

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 全ての物事をビジネスとしてとらえ、なんでも「金」で解決できると信じている大富豪マデック(マイケル・ダグラス)と、砂漠地帯のトレッキング・ガイドの青年ベン(『戦火の馬』のジェレミー・アーヴァイン)との鬼気迫るやりとりを描いた本作のテーマは、人間の“道徳観”である。マイケル・ダグラスがこれまでに演じてきた役柄ーーオスカーを獲得した『ウォール街』や、『フォーリング・ダウン』といった作品で演じた“悪事に手を染めてしまう”キャラクターと、本作で演じた身勝手な大富豪とは、人間性の本質的な部分が違う。

 『ウォール街』でダグラスが演じたゲッコーは“金儲け”という誘惑に負けた男であり、『フォーリング・ダウン』のサラリーマン役は、日頃の過剰なストレスに苛まれ、遂にキレてしまった不幸な男だ。両者とも根本的な部分では、常人的な道徳観を持っている。しかし、『追撃者』のマデックのそれは、根本的に狂っている。マイケル・ダグラス史上“最凶”と呼ばれる所以はそこにある。

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 誤射とはいえ、事故を報告しようとするガイドの青年ベンを金で買収し、証拠を隠滅させようとするマデックと、正義感のあるベンとの衝突が、究極のサバイバル・サスペンスへと急展開させる。これまで“金”で全てを解決させ、ビジネスを成功させてきた大富豪マデックが、唯一コントロールできない真面目な青年ベン。そんな彼に対するマデックの選択は、正に狂気だ。

 灼熱の砂漠で服を脱がされ、下着一枚で彷徨うように指示されたベンを、高性能ライフルで狙う事で始まったマデックの“人間狩り”は、徐々に狡猾な本性を現しはじめる。マデックに対し、一枚上手であったベンのサバイバル能力の末に、衝撃的なクライマックスを迎える。

      

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