小林旭の記事一覧

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……小林旭。その名を耳にしただけで、心地よいノスタルジーが全身を襲う。当たり前である、小林旭という存在自体がドラマなのだから。彼から派生するさまざまなイメージ——波止場、渡り鳥、ギター弾き、旅人、任侠、無宿、さすらい、銀座、くるま……。多くの日本人が夢見る生き様は、すべてアキラ・ワールドに集約されるのだ。『南国土佐を後にして』『ギターをもった渡り鳥』『関東無宿』『仁義なき戦い』シリーズなどなど、ドメスティックなカタルシスを過剰に煽る名作の数々。人々はこぞって映画館に駆けつけ、アキラを堪能していった。
また、歌手としての評価も異常に高い。演歌/民謡/アメリカン・ポップス/ラテン音楽と、遊び心と実験精神にあふれたサウンドもさることながら、その曇り気味でカン高い歌唱は強力なフックとなり観衆の心をとらえたようだ。マイティーな趣の「ダイナマイトが百五十屯」、ビターな駄洒落満載「自動車ショー歌」、男節全開の「ギターをもった渡り鳥」、大滝詠一作曲による「熱き心に」……決して色褪せることはなかろう。

速水健朗が語る、1995年の音楽シーン

速水健朗が語る"1995年”の音楽シーン「中間的な領域に面白い音楽がたくさんあった」

2007年に『タイアップの歌謡史』で単著デビューを果たし、専門のメディア論や都市論のみならず音楽や文学、格闘技など幅広い領域を独…