GWの長旅には欠かせない? Pentatonixの“最新洋楽超絶アカペラカバー作”に注目すべき理由

GWの長旅にオススメの“超絶カバー作”とは

 旅行やドライブ、パーティーなどの機会が増え、様々な人々と音楽を共有して盛り上がることも多くなるゴールデンウィークには、邦楽はもちろんのこと、最新の洋楽ヒット曲も楽しみたい。そこでオススメしたいのが、Pentatonixの最新アルバム『PTXプレゼンツ:トップ・ポップ VOL.I』だ。

 Pentatonixはアメリカを拠点に活動するアカペラグループ。通常アカペラでは難しい、エレクトロニックなサウンドなどを再現する斬新なコーラスワークとスキルの高さで人気を集めている。

 そんな彼らが4月にリリースしたばかりの最新アルバム『PTXプレゼンツ:トップ・ポップ VOL.I』は、昨年末からツアーに同行したマット・サリーを正式メンバーに迎えた彼らが、最旬のポップヒットを独自にアレンジ&マッシュアップしたアカペラカバーアルバム。2016~2017年の音楽シーンで世界的に大ヒットした楽曲が多数収録され、これからのシーズンにも最適な作品になっている。ここではその中から数曲を取り上げつつ、原曲の魅力やPentatonixバージョンならではの魅力をご紹介したい。

1:Finesse(Bruno Mars/2016年)

 ソウルミュージックへの深い理解を持った“現代のMichael Jackson”ことBruno Marsが、80年代ソウル~ニュージャックスウィングに接近した『24K Magic』の収録曲。この楽曲をきっかけにニュージャックスウィングへの再評価が起こるなど、現在のシーンのトレンドに影響を与えた楽曲のひとつでもある。Cardi Bを迎えて今年発表したリミックスも話題になった。Pentatonixはオリジナル版を基調に独自カバー。ゲートリバーブの効いたドラムやニュージャックスウィングらしいド派手なシンセ音など80年代~90年代初頭に流行した音色がボイスパーカッションやコーラスでリアルに再現されているほか、後半〈we got it goin' on, got it goin' on〉と男女でユニゾンするパートは、Cardiが参加したリミックス版へのさりげないオマージュにも聞こえて思わずニヤリとしてしまう。通常のアカペラグループではなかなか難しい、音色の細かなディティールやニュアンスまでにこだわった楽曲になっている。

2:Stay(Zedd&Alessia Cara/2017年)

 Pentatonixが世界的に人気を集める理由のひとつは、幅広い発声法を工夫して本来アカペラとは対極にあるクラブミュージックまでもレパートリーに加えてしまう表現力の高さ。Daft Punkの人気曲をメドレー形式で繋いだ過去曲「Daft Punk」でも見せたその魅力を、ZeddとAlessia CaraによるEDMシーンを代表するアンセム「Stay」を題材にしてふたたび伝えてくれるのが今回のカバーだ。ここでは「Finesse」とはリズムパートの発声法ががらりと変わり、クラブミュージックと親和性の高いデジタルな声色を実現。そのうえ細かく聴いてみると、実は原曲の特徴のひとつ=ビッグルームハウス的なサウンドでドロップを生かすために採用される余韻の長いキックも再現されているなど(!)、聴けば聴くほどディティールへのこだわりに驚いてしまう。原曲と聴き比べると非常に面白いはず。

3:Havana(Camila Cabello/2017年)

[OFFICIAL VIDEO] Havana - Pentatonix

 2017年以降の世界の音楽シーンのトレンドのひとつになっているのが、ラテン/ヒスパニック系の楽曲の大ヒット。こうした楽曲はMajor Lazer & DJ Snakeによる「Lean On (feat. MØ)」などを契機にポップチャートに急増したレゲエ~ダンスホール的なビートとの相性のよさも手伝ってふたたび高い注目を集めている。Fifth Harmonyの元メンバーで現在はソロで活躍するCamila Cabelloによる原曲は、Young ThugやPharrell Williams(コーラス)を迎え、故郷ハバナへの郷愁などを歌ったその最新形と言える楽曲。Pentatonix版ではややBPMを早め、中盤に登場するYoung Thugのトラップ的な節回しを持つラップをコーラス的な歌唱法でユニゾン。“ラップのフロウをコーラス化する”という離れ業をやってのけている。また、原曲の終盤で歌声と絡み合うように盛り上がるホーンを声で見事に再現しているのもポイントで、ラテン系の地域特有のうだるような暑さが目に浮かぶ楽曲に仕上げている。

5:Despacito(Luis Fonsi&Daddy Yankee/2017年)×Shape of You(Ed Sheeran/2017年)

 その「Havana」のヒットにも繋がった昨今のラテン系再ブームに火をつけた最大のヒット曲であり、Justin Bieberが加わったリミックス版も話題になったLuis Fonsi&Daddy Yankeeの「Despacito」と、Ed Sheeranの新作『÷』の収録曲「Shape Of You」の2曲を、アカペラアレンジでマッシュアップしたのがこの楽曲。両者の楽曲のマッシュアップというと一見水と油に感じる人もいるかもしれないが、Ed Sheeranの「Shape Of You」はもともとカリブの島国バルバドスが生んだ歌姫Rihannaに提供するため書かれたダンスホールの要素を取り入れた楽曲で、原曲を聴いてもらえれば分かる通り、両者のビートはかなり親和性が高い。そこに目を付けたPentatonixは2つを繋ぎ、2曲がシームレスに何度も入れ替わる楽曲を完成。「Shape Of You」のサビをスペイン語に置き換えた部分も登場するなど、彼らならではの遊び心溢れる楽曲に仕上げている。ちなみに、本作にはもうひとつ、メンバーのケヴィンが以前SNSに投稿した歌唱動画をアイデアの元にしたDua LipaとAaliyahのマッシュアップも収録されているため、そちらと聴き比べるのも楽しいだろう。

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