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LDH、吉本興業、アミューズ……エンタメ企業“多角化”の背景 ジャーナリスト柴 那典が解説

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 EXILEや三代目 J Soul Brothersの所属事務所であるLDHや、福山雅治や星野源の所属事務所であるアミューズ、多数のお笑い芸人を擁する吉本興業など、エンタテインメント企業による事業の多角化が目立っている。

 LDHは現在、音楽ビジネスを軸としながら、出版、映画配給、ダンススクール経営、ジム経営、飲食、ウェディング、農業まで、幅広いジャンルに進出している。アミューズもまた、2017年5月より食事業に進出し、生産者を厳選した高級オリーブオイルを販売するなど、新たな挑戦をしている。吉本興業は3月7日、今後の市場拡大が期待されるeスポーツに本格参入することを発表した。

 エンタテインメント企業が幅広いジャンルに進出する背景には、どのような理由があるのか。『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)の著者であり、エンタテインメントビジネスに詳しいジャーナリストの柴 那典氏に詳しく話を聞いた。

「タレント事務所やレコード会社などのエンタテインメント企業では、2000年代頃から世界的にビジネスの多角化の重要性が指摘されてきました。日本ではエイベックスが『360度ビジネス』という言葉でその戦略を明言化しています。ITの発展により、CDやDVDなどを販売するパッケージビジネスが成立し難くなることは当時から予見されていたので、ライブ事業やグッズ販売などで収益を上げていく現在のビジネスモデルになるのは時間の問題だったと言えます。LDHの創設者であるEXILE HIRO氏は、もともとエイベックスのrhythm zoneというレーベルから作品をリリースしており、現在のビジネスモデルもまた、エイベックスが提唱してきた『360度ビジネス』の延長として構築されたのだと考えています」

 しかし、事業の多角化を成功させるには、単に幅広いジャンルに進出すれば良いわけではないと、柴氏は指摘する。ビジネスの核となる自社の強みを見出し、それを活かすことができて、はじめて多角化は功を成すというのだ。その意味で、LDHや吉本興業のビジネスモデルは極めて明快である。

「吉本興業であれば“笑い”、LDHであれば“Love, Dream, Happiness”という理念が根幹にあって、そこから広い意味でのエンタテインメント全般に多角化しています。また、理念に共感する人々が、それぞれの得意分野や関心領域を見定めて進出するからこそ、各事業の間で相乗効果が起こり、結果として全体のブランド力向上にも繋がります。エンタテインメント企業にとって、もっとも大切な財産は、才能や情熱を持った“ひと”であり、彼らがもともと持っているポテンシャルを拡大して、その発信力を活かしているのが、両社に共通するポイントでしょう」

 実際にLDHでは、EXILE / EXILE THE SECOND / DANCE EARTH PARTYの3グループで活躍するTETSUYAが、コーヒー好きが高じてLDH kitchenのビジネスに携わり、自身のプロデュースするコーヒー店「AMAZING COFFEE」をオープンさせるなど、アーティスト本人の嗜好を踏まえたうえでの多角化がなされている。加えて、新たに活躍する人材を育てる事業を行っていることも、両社の大きな強みだという。

「吉本興業は連続テレビ小説『わろてんか』(NHK総合)で描かれているように、劇場から発展してきたエンタテインメント企業です。劇場で実力を培った芸人が、テレビやイベントに進出していくという流れがあり、そこがほかの芸能事務所と大きく違います。新人を発掘して育てるという意味でも、全国各地に12の劇場を持っているのは非常に有利です。一方のLDHは、『EXPG STUDIO』というエンタテインメントスクールを国内に12校、海外に2校、展開しています。ここから新たなアーティストが輩出されることが期待できるのはもちろん、次世代のスターを支えるスタッフや、発信力のあるファンも醸成されていくはずです」

      

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