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アルバム『a flood of circle』インタビュー

「今起こってることを書きたい」a flood of circle 佐々木亮介が明かす、音楽との向き合い方

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 a flood of circleのフロントマン・佐々木亮介は、筋金入りのロックンローラーであると同時に、世界中の音楽にものすごく旺盛にアンテナを張ったリスナーでもある。海外のシーンのトレンドとの同時代性も意識しつつ、その上で日本語のオリジナルなロックンロールを生み出している。

 サポートをつとめていたギタリスト、アオキテツが加入して4人になった彼らは、先日、新作アルバム『a flood of circle』をリリースした。その背後にある様々な音楽の潮流をマッピングするインタビュー。彼らのファン以外にも、是非読んでみてほしい。(柴 那典)

「周りの人が引いても、俺はラップと向き合わなきゃ」

――新作はいろんな切り口があるアルバムだと思いますが、個人的な感想としては4曲目の「One Way Blues」と8曲目の「Where Is My Freedom」が素晴らしいと思いました。

佐々木亮介(以下、佐々木):ありがとうございます。

――今、世界的に歌とラップの境界線がどんどん曖昧になっているトレンドがありますよね。アメリカでロックの売り上げをヒップホップとR&Bが上回ったというニュースもありました。そういう現状に日本のロックンロールバンドがどう食らいつくかというテーマを持っている曲だと思うんです。そういう感覚はありますか?

佐々木:そうですね。まあ、ずっとトライしてる最中なので、今も100点満点のことができたとは思っていないんですけど。自分もラップをよく聴いてるんですけど、去年ソロのレコーディングでアメリカに行ったこともすごく大きくて。自分が好きなソウルとかブルースのルーツにタッチしたのもあったし、まじでティーンエイジャーはリル・ヨッティが好きなんだなっていうことも感じたし。今面白いことが起こってるぞって感じはどうにか表現したいし、単純に好きなので、そこに向き合って楽曲を作りたいっていうのはありました。

――ラップ・ミュージックのどういうところが刺激になったんですか?

佐々木:ラップ自体は前から好きだったんですけど、取り入れ方に関してはソロの作品を作ったことが大きいですね。あれを作ってた頃はケンドリック・ラマ―が『To Pimp a Butterfly』でやったり、クリス・デイヴとビラルがやったりしたような、オーガニックなバンドサウンドに対してラップをはめていくみたいなことが好きで。あとはトラップもいろいろ聴いてたんですけど、とにかくポイントは歌だと思ってたんですね。歌で今までやってないニュアンスを出すことにこだわってる。あとはチャンス・ザ・ラッパーとかFrancis And The Lightsとか、ゴスペルっぽいハーモニーとリズムがどんどん進化しているのも好きでよく聴いてたんですね。そうしたら「ロックンロールバンドって、下手したらすげえつまんねえものになるぞ」って焦ってきて。そういうことを思いながらアメリカに行ったんです。

ーー昨年に出た佐々木亮介名義の『LEO』はアメリカのメンフィスで現地のミュージシャンとレコーディングしたんですよね。それはどういう体験だったんでしょう。

佐々木:みんな考え過ぎずに音楽を楽しんでるんですよ。ティーンエイジャーは夢中で聴いてるし、レコーディングしたメンバーは70年代からソウルやってるような70代の人もいたんですけど、スタジオでケンドリック・ラマ―の「i」をギターで弾いてたら盛り上がって。前から自分が面白いと思ってることが、やっぱりみんな好きで。だからラップが今の音楽を引っ張ってるっていう実感があったんです。ロックンロールやソウルをやってる人、俺が好きなプレイヤーもみんなそれを好きなんだって。だから自分の感覚は間違ってないって思いましたね。このアルバムを作るときにも、もしメンバーやスタッフや周りの人が引いても、俺はラップと向き合わなきゃだめだと思ったんですよ。今までは濁して、もっと喋りっぽいのに寄せたりして、ラップって思われないようにしてたんですけど、今回はちゃんと攻めようと思って。

――ソロではメンフィスでソウル・ミュージックを支えてきた第一線のミュージシャンをやったわけですよね。そして今回のアルバムもザブ(Xavier Stephenson/リアーナ、デヴィッド・ゲッタなどを手掛ける世界的エンジニア)と共に作っている。

佐々木:そうです。

――そういう海外の経験や視点を踏まえて改めてa flood of circle という日本のロックンロールバンドを見ると、おそらくバンド観も変わってくるものがあったんじゃないかと思うんです。

佐々木:そうですね。いざアメリカ的なるものに憧れてアメリカに行くとか、イギリス的なるものに憧れてイギリスに行くと、定番の日本人のアイデンティティにぶつかるんです。きれいにコピーしても全然つまんなくなるなって。メンフィスのメンバーは、一番上がアル・グリーンとかと一緒に70年代からやってる人たちで、ブー・ミッチェルっていうエンジニアは、マーク・ロンソンとブルーノ・マーズの「Uptown Funk」をやってる人なんです。だから、今のこともわかっている。そういうところに飛び込んじゃうと、普通にソングライティングして演奏するだけだと持ってかれちゃうんですよ。だから尊敬もしつつ、日本人としての自分の中にあるもので闘わないと、まじでつまんない音源になるなって思ったんですよね。その時に、やっぱり日本語ってすごく大事だなって思って。日本語の固い響きとか、それでやれる韻の感じとか、そういうものとどう混ぜるかを考えなきゃダメだなっていう。みんなをびっくりさせたかったんで。そこからa flood of circleに帰ってきたときに、パッと聴いて面白い! って思うリズムとか歌に辿り着ければいいなって考えたんですよね。ちょっと前までは、それを音楽的にマニアックなこととして捉えかけてたんですけど、あまりそういう小難しい理屈なく聴いても「なんか変だな」とか「面白いな」って思わせればいいんだっていう開き直りがあって。それはアメリカに行ったからだという感じはしますね。

――特に「Where Is My Freedom」って、ラップと歌の中間というか、もともと歌い手だからこそやれるスタイルのように思うんです。このへんはどういう風にやっているんでしょうか。

佐々木:感覚で言っちゃうと、俺、コダック・ブラック好きなんですけど、彼はめっちゃピッチがいいんですよね。日本で言うと、鎮座DOPENESSさんもピッチがいい。そういうピッチがいいラッパーが好きっていうのがあって。それと、自分もリフやコードに対してどういうピッチ感で歌うかは、技術的に気にしてるし、自分が気持ちいいポイントまで何回も試行錯誤するっていう。あとは、トラップのラップの特徴って、三連符を二文字で切るところじゃないですか。あれって、実は日本語とハマりがいいんですよ。英語の“R”みたいな流れていく音よりも、“か行”の響きがハマるんですよね。だから、トラップって日本人に向いてるんじゃないかなって思っていて。それで、二文字だけ踏んでいくとか、一文字だけ同じピッチで歌ってるところで韻を踏んでるとか、いろいろ仕掛けをちりばめてみているんですね。

――なるほど。無敵の「き」と、防弾チョッキの「キ」が同じ音程だったり、そういうところをかなり技巧的にやっていると。

佐々木:そういうのが細かく全部説明すればあるんだけど、パッと聴いた時に、変なラップだなって思われたい。「Where Is My Freedom」はそういうことを考えて作ってました。

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