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渡辺志保の新譜キュレーション 第13回

映画『ブラックパンサー』で注目 ケンドリック・ラマーらUS西海岸のホットなヒップホップ新作5選

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 各所で話題を集めているマーベル最新作の映画『ブラックパンサー』、すでにご覧になりましたか? アメリカでは2月16日の公開から3週連続首位を記録し、興収累計はすでに5億ドルを突破。3月1日から公開が始まったここ日本でも、初週の興収は3億円以上を越える成績を記録しており、今年最大の目玉作品として堂々たる滑り出しとも言えると思います。映画の詳細については、すでに色んなところで語られているのでここでは触れませんが、やはりヒップホップ・ファンとしてもチェックしておきたいのは、本作のインスパイア盤とも呼ばれる『Black Panther: The Album』。映画『ブラックパンサー』では、あのケンドリック・ラマーがシンガーのSZAを迎えた主題歌「All The Stars」を手がけ、それだけは飽き足らず、ケンドリックと彼のレーベルである<TDE>が、映画本編にインスピレーションを受けて制作したといわれるアルバムがこちらなんです。本作のライアン・クーグラー監督はカリフォルニア州オークランドの出身。ケンドリックも、同じくカリフォルニア州の出身ということで、このインスパイア盤には多くのUS西海岸のアーティストが集結している内容に。というわけで、今回は、勢いを感じるUS西海岸のヒップホップ新作アルバム5選をお届けしたいと思います。

『Black Panther: The Album』

 早速、『Black Panther: The Album』に話を戻しましょう。なんといってもエキサイティングなのは、本作ではケンドリック・ラマーが主役のブラックパンサーことティチャラ、そして敵役のキルモンガーの二人の視点でラップしている点。キルモンガー視点の代表曲といえば、やはりタイトルからして不穏な空気を感じさせる「King’s Dead – Jay Rock, Kendrick Lamar, Future, James Blake」でしょう。フューチャーのフロウはいつもよりさらにトリッキーですし、<TDE>のギャングスタ番長とも名高いジェイ・ロックの切れ味も抜群です。他にも、グラミー賞のノミネートも記憶に新しいカリード&レイ・シュリマーのメンバーであり、ソロ作にも期待が高まるスウェイ・リーとの「The Way」、ケンドリック・ラマーの前作『DAMN.』の続編的なフレイバーも感じさせるザ・ウィークエンドとの「Pray For Me」、南アフリカの若き女性アーティスト、ベイブス・ウドゥモをフィーチャーした「Redemption」など、聴きどころに溢れたアルバムに仕上がっています。どの楽曲も、映画『ブラックパンサー』の各シーンを想起させるドラマティックな内容になっているので、映画を観る前でも観た後でも、じっくり味わってもらいたいと思います。ちなみに『Black Panther: The Album』に収録されている全14曲のうち、計3曲が劇中で使用されているので、どの楽曲がどの場面で使用されているのか、ぜひとも実際に劇場のスクリーンで確かめてほしいなと思います。

SOB x RBE『GANGIN』

 そして、『Black Panther: The Album』にも参加し、映画の舞台の一つ、オークランド出身の若者が発表した威勢のいいアルバムがこちら。SOB x RBE(エスオービー・アールビーイー、と読みます)の2ndアルバムとなる『GANGIN』です。彼らはアンダーグラウンド・シーンでそれぞれソロMCとしても活躍する4人のMCからなるクルーであり、本作に顕著である80年代のサウンドを思い起こさせるようなシンセサウンドからはややバブリーな香りも漂い、オールドスクール期のウエッサイ・サウンドへのリスペクトを感じさせます。とくに初盤の「Carpoolin」や「On Me」で楽しめるバウンシーなトラックに乗るそれぞれのマイクパスは、SOB x RBEのシグニチャー・サウンドともいうべきもの。力むようなDaBoiiのラップ、前のめりで独特なリズム感を持つSlimmy Bの二人は、SOB x RBEのカラーを印象付ける存在だと言えます。「Anti Social」で目立つのはキャッチーなヤング・TOのフロウ。「The Man Now」はラル・Gがメロディアスに仕上げます。オークランドといえば、ベテランのトゥー・ショート(映画『ブラックパンサー』にも彼の楽曲が流れるシーンが!)、御大E-40や故マック・ドレーら、これまでに数々の名ラッパーたちを輩出してきた土地。まだまだフレッシュな彼らが、今後どのようにオークランドの地をレペゼンしていくのかも楽しみです。

モジー『Spiritual Conversations』

 もう一人、『Black Panther: The Album』に参加していた新鋭MCの作品を紹介しましょう。サクラメント出身のモジー。『Black Panther: The Album』では、「Seasons」という楽曲で、弟(分)の死や、現状を取り巻くタフな環境についてラップしていた彼ですが、先日発表したEP『Spiritual Conversations』でも、ブルージーなサグ・ライフを基調とした内容に。アトランタのYFNルッチや道教のレイヴン・ジャスティス、そして<TDE>のジェイ・ロックやケンドリック・ラマーの諸作への参加でもおなじみのテラス・マーティンらが参加。今年のグラミー賞において、ケンドリック・ラマーが昨年モジーがリリースした『1 Up Top Ahk』からの一節を引用してスピーチしたことも話題になり、映画『ブラックパンサー』の中でも、モジーの楽曲「Sleep Walking」が劇中にフィーチャーされているなど、すでに十分な存在感を放つラッパーではありますが、今年、新たな西海岸ギャングスタラップ・シーンの騎手としてさらに注目を集め続けることは間違いなさそうです。

      

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