NOW ON AIR×杉山勝彦が語る、声優アーティストの強み「バラバラだからこその調和が存在する」

NOW ON AIR ×杉山勝彦 特別対談

 声優ユニット・NOW ON AIRが初めて声優に挑戦した長編アニメ映画『きみの声を届けたい』が公開された。同作は、湘南を舞台に“声の力”をテーマとして高校生たちの青春を描いた劇場用オリジナルアニメーション。『時をかける少女』『ちはやふる』のマッドハウスが制作を手掛け、2016年8月にオーディションを勝ち抜いたNOW ON AIRの6人と三森すずこがメインキャストの声優を務める。

 リアルサウンドでは、NOW ON AIRと同作のエンディング主題歌「キボウノカケラ」の作曲を務めた杉山勝彦とのインタビューを企画。『きみの声を届けたい』や『キボウノカケラ』の制作プロセスをはじめ、声優デビューをした心境、さらに音楽プロデューサーとして、これまでにAKB48や乃木坂46、嵐といったグループに楽曲を提供してきた杉山から見たNOW ON AIRの魅力など、映画と音楽がクロスオーバーするトークをたっぷり語ってもらった。(編集部)【※インタビュー最後にチェキプレゼントあり】

飯野「“声優じゃなきゃ歌えない歌もある”と気付いた」

左から田中有紀、神戸光歩、片平美那、岩淵桃音、鈴木陽斗実、飯野美紗子

ーー約3000人が応募した『キミコエ・オーディション supported by ファミリー劇場』に合格した6人によるグループですが、まずはどんな声優・アーティストを目指してこのオーディションに応募していたのかを教えてください。

田中有紀(以下、田中):小さい頃から演じたり歌ったりすることが好きで、アニメも好きだったので、将来は両方に関わるお仕事に就けていたらいいなと思っていました。中学生になってからは声優さんを目指すようになり、高校3年生のときにこのオーディションを知り、「ラストチャンスだ!」と母を説得して臨みました。

神戸光歩(以下、神戸):私も小さいときからとにかくアニメが大好きで、アニメに携われる職業に就きたいと考えていました。学校で友だちや先生から「声が変わってるね」「よく響く声だね」と言われて、はじめて「声優」という職業を意識するようになり、このオーディションに応募しました。

片平美那(以下、片平):小さい時からアニメを見ながら「アニメの世界に入りたい!」と思っていました(笑)。AKB48さんのようなアイドルも好きでした。そんななかでμ’sさんのようなアーティストの方々が活躍されるのを目の当たりにして、「歌って踊れる声優」さんに衝撃を受けましたし、まさに映画とCDでデビューが出来る『キミコエ・オーディション』は魅力的で迷わず受けました。

岩淵桃音(以下、岩淵):昔からアニメが好きでしたが、アニメの中の声優さんも同じくらい好きで。私も現実ではできないようなことをアニメの世界の中で体験したいと声優さんに憧れていました。アーティスト活動もしたいと思っていて、今回のオーディションはやりたいこと全ての夢が叶うチャンスだと思って応募しました。

鈴木陽斗実(以下、鈴木):私は元々楽器をやっていて、音楽系の大学にも進んでいますが、そこで周りのレベルに圧倒されてしまい、漠然とした日々を過ごしていました。昨年、趣味のカラオケに行った時にたまたまオーディションの広告を見つけて、興味が湧いて応募しました。

飯野美紗子(以下、飯野):幼稚園のころは声を使った仕事に就きたいと思っていて、アナウンサーを目指していました。小学生のときはアニソン歌手を目指していたのですが、次第に声優さんが歌う楽曲やキャラソン・挿入歌の魅力に惹かれるようになって「声優じゃなきゃ歌えない歌もある」と気付いて。音楽が重要になっている『Angel Beats!』を好きになったこともあって、声優になれたら自分の表現の幅はかなり広がるんじゃないかと思って、いろいろなオーディションを受け続けたんです。でも、全部最終審査止まりで。自分の中で20歳になるまでに結果を出さなければ声優を諦めようと思って、最後に受けたのが『キミコエ・オーディション』でした。

ーーラストチャンスを見事掴み取ったわけですね。ちなみに、どうして普通の歌手ではなく「アニソン歌手」になりたいと思ったんですか?

飯野:アニソンに興味を持ったきっかけはYUIさんの「Rolling star」(アニメ『BLEACH』主題歌)だったのですが、元々好きなアーティストの楽曲が、アニメ映像と一緒になった時に新たな価値が生まれているのを感じて、自分もこんな形で歌ってみたいと思ったんです。

飯野美紗子

ーーなるほど。オーディションを経て結成されたNOW ON AIRも、8月7日にめでたく1周年を迎えました。6人の絆も深まったと思うのですが、この1年で印象的なエピソードをそれぞれ教えてください。

飯野:私は最初のレコーディング作業が一番強く印象に残っています。ずっと歌手になりたいと思っていたので、他人の曲をカバーするのではなく、NOW ON AIRのために頂いた曲を自分たちで作り上げていく作業が楽しくて仕方なくて。「この声が届きますように」のレコーディングが、その幸せを一番噛み締めた日でした。

鈴木:私はMVの撮影が印象に残っています。「この声が届きますように」のMVのドラマパートはスタジオの中のグリーンバックで制作されています。小さくなってしまったという設定の私たちが「ビルを見上げるシーン」とか「マイクに登るシーン」とか、すべて想像しながら演じるというのは初めてで戸惑いましたが、自分たちの表現力が広がるいい機会にもなりました。2ndシングル「キボウノカケラ」のMVは、石岡第二高校で撮影させていただいて、みんなで制服を着てのロケは楽しい思い出です。

岩淵:私も同じくMVのことなんですが、曲の雰囲気を表情や行動で見せるのがすごく難しいなと感じた記憶が強く残っています。ストーリー仕立てになっている部分は、どう動いたら歌詞とマッチするかが難しくて。

片平美那

片平:私は『きみの声をとどけたい』の配役が発表されたとき。最初にこの作品の台本を渡されたときにはまだ自分の役を教えていただいていませんでした。読みあわせが一通り終わってから全員に青い封筒が渡されて、そこにはキャラクターの顔と役名、そしてそれぞれの名前が書いてあって「この子が私のところに来たのか!」という嬉しさとプレッシャーが忘れられません。

神戸:初めてのアフレコですね。ずっとテレビや動画で見ていたブースに自分が足を踏み入れて、カバーの付いたマイクの前に立った時に「やりたかったことができるんだ」と感じてすごくワクワクしたことを覚えていて。めちゃくちゃ緊張もしましたが、この時間を噛み締めようという気持ちのほうが強かったと思います。

田中:私は徳島で開催された『マチ★アソビ』の「マチ★アソビ RUN」に参加したのが思い出に残っています。みなみー(片平)とみっちゃん(神戸)と私で走ったんですが、沿道のみなさんから「頑張ってください」と声をかけていただいたりして。いつもは一方的に発信するだけなのに、このときは一緒に何かを作り上げている感じがして嬉しかったです。

ーーありがとうございます。あと……もうちょっとリラックスして話していただいても大丈夫ですよ(笑)。

杉山勝彦(以下、杉山):ほんと、みんなすごく真面目すぎてビックリしてます。どこにもバツを付けられないくらいの回答で、「ホンマかいな!」って思わず突っ込みたくなる(笑)。

メンバー全員:(笑)。

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