>  > 作詞家・小竹正人とLDHアーティストの“絆”

小竹正人『あの日、あの曲、あの人は』著者インタビュー

三代目JSBやFlower手がける作詞家・小竹正人が明かす、LDHアーティストとの“絆”

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「どちらかというと、世界のことよりも机の引き出しの中に興味があるタイプ」

ーー『あの日、あの曲、あの人は』では、前半と後半にLDH系のアーティストを、中盤とラストにはその他のアーティストの楽曲を収録しています。この構成はどのようにして考えられたのでしょうか。

小竹:まずは代表作と言われている「花火」(三代目 J Soul Brothers)や「白雪姫」(Flower)、「Heavenly White」(EXILE)を書くところから始めて、残りのLDHアーティストの章については、時系列に沿って進めました。そのなかでも私の小説とも関連した楽曲であり、特に思い入れの強い「空に住む〜Living in your sky〜」を終盤に持ってきています。一番最後の「Unfair world」(三代目 J Soul Brothers)の章のエッセイについては、過去に書くタイミングがあったのですが発表しないまま終わってしまったこともあり、スタッフとも相談しながら、今回のタイミングで収録しようということになりました。

ーー著書のなかでは、かねてからお話されていた小泉今日子さんのほかにも、屋敷豪太さんや藤井フミヤさん、YOUさんとのエピソードなど、小竹さんの交友録も垣間見える部分があり、ますます小竹さんが何者なのかわからなくなってきました。

小竹:それはこの本を読んだHIROさんにも言われましたね(笑)。

ーー小竹さんの歌詞は、提供アーティストとの距離が近いほど良いという趣旨のコメントをHIROさんも著書内でしていますが、やはりご自身でもそう思われますか。

小竹:自分のなかでは、公私混同にしたほうが書きやすいと感じる部分はすごくあります。

ーーその流れで伺うと、「Anniversary!!」(E-girls)の章で「一時期LDHでE-girlsの教育係的な役割を担っていた」とありました。これはエッセイで初めて語られるエピソードですよね。

小竹:Dreamと私が同じ時期にLDHへ入ったこともあり、彼女たちとすごく仲が良かったし、Dreamのメンバーは私のことを親しみを持って「おだちゃん」と呼んでくれる存在なんです。E-girlsが結成されたとき、Dreamが年上メンバーとして教育係になるのが必然の流れだったのですが、彼女たちへの負担を減らす意味合いもあり、私が教育係を手伝うことになりました。Dreamに関しては、お客さんがまったくいない時期のライブから見ていることもあって、私はどこか彼女たちの「応援団長」的な役割だと自負していました。

ーーE-girlsだと、特に小竹さんの提供した「好きですか?」は、ライブにおいても重要な場面で歌われることが多く、ファンにとっても特別な曲という思いが強い楽曲です。

小竹:E-girlsは、メンバーみんなの素の部分をかなり知っているし、誰かの主観に寄せようとすると難しくなってしまうので、彼女たちに詞を書く際は、景色や街といった要素を強めるようにしています。でも、著書のなかにも書いているように、「好きですか?」に関しては、以前から歌詞があったのですが、紆余曲折の末E-girlsの楽曲になったんです。それをShizukaと鷲尾伶菜が本当に歌詞と真摯に向き合ってくれて、込められた意味の一つ一つを上手く表現してくれていて。ライブだと毎回見入ってしまう楽曲です。E-girlsだと、Amiはかなりプロっぽいというか、色んな顔を演じ分けられる歌い手なので、仲のいい作詞家としてではなく、また違った感覚ーー職業作詞家として真剣に対峙するという気持ちがあるんですよ。

ーー最近ではGENERATIONS from EXILE TRIBEへの作詞も積極的に行なうようになっていますよね。彼らやEXILEについても訊きたいです。

小竹:GENERATIONSは、歌詞を書く際に「この曲はこのメンバーを主人公に」と当てて書いているんです。公私ともに昔から知っているので、その人から訊いた話を膨らませてその人を主人公のように書いて、というFlowerと同じようなプロセスを使っていますね。EXILEに関しては、歌詞を提供させていただく以前から世界観が出来上がっていたので、私はそこに少しだけ私特有のエッセンスのようなものを加えさせていただくという感じです。私は、どちらかというと、広い世界のことよりも小さな机の引き出しの中の世界に興味があるタイプなので、あまり大きな規模の歌詞は書かないようにしている部分もあります。そこはE-girlsにも通ずる部分ですね。

ーーだからこそ、パーソナルな表現が最大限に出るラブソングが得意ということなんですね。

小竹:得意というか、書きやすいですね。執筆時間もラブソング、特に悲恋がテーマの場合はより短い傾向にあります。それだけ辛い恋愛経験が多いという証明なのかもですが(笑)。

ーーなるほど(笑)。一方で、「Flower Garden」(Flower)の章では「明るい歌詞を書いてみたい」という言葉があります。

小竹:これまでに暗い、辛い曲が多かったからこそ、この先のキャリアではそういう歌詞もどんどん書いていきたいですね。著書の中で「Anniversary!!」や「Mr.Snowman」「自由の女神 ~ユーヴライア~」の作詞家である花空木の正体は私だと初めて明かしたんですが、名前を変えたのも自分の中で明るい曲を書くためのスイッチを用意したようなものなので。でも、書いてみた結果として、そこまで小竹正人名義の詞と本質は変わらないなと思ったので、これからは自分の名義で明るい曲も書いていきたいです。

ーー作詞の方法に関して、ここ1〜2年で変化したことはありますか?

小竹:方法というよりは状況の変化に近いですが、最近のFlower作品では、表題曲についてHIROさんからもらったキーワードを元に執筆するのですが、カップリングについてはメンバーの選んだデモ曲を元に、わりと自由に書かせていただけることも多くなりました。最新作『MOON JELLYFISH』のカップリング「とても深いグリーン」も、私がたまたま事務所に居た佐藤晴美に「カップリング、どんなタイトルがいい? すぐ答えよ!」と訊いて、焦った晴美が「グ、グ、グリーン!」と言ったことから、生まれた楽曲なんです。「グリーン」だとしっくりこないけれど、「とても深いグリーン」ならFlowerっぽいよな、と。良い意味で遊びのある作り方をすることも増えましたね。世界観には口を出してほしくないけれど(笑)、タイトルなんかはわりと人任せにすることもあります、特にFlowerの曲に関しては。

ーー作詞家はタイトルにこだわっている方が多いというイメージだったので、驚きです。

小竹:タイトルをつけるのが苦手なんですよ。歌詞はスムーズに書けても、タイトルで悩むことが多いです。逆にテーマと仮タイトルがあらかじめ決まっていると、ものすごく出しやすいんですよ。

ーー最近では、小竹さんの書いた歌詞をショートフィルムにするプロジェクト『CINEMA FIGHTERS』がスタートし、第一弾として「Unfair World」の世界観を河瀬直美さんが表現しています。ますます作詞家として特異な立ち位置になってきましたね。

小竹:河瀬さんが自分の歌詞をものすごく深くものすごく素晴らしく表現してくださって、初めて映像を見たとき、「私ももっともっと頑張らなければな」と改めて思わされました。小泉今日子さんの存在などもそうですが、こうやって良い刺激を与えてくれる存在がいるからこそ、さらに頑張っていかなければと思いますし、自分が歌詞で表現できるものもまだまだあるはずと奮い立たされますね。

(取材・文=中村拓海)

■書籍情報
『あの日、あの曲、あの人は』
著者:小竹正人
発行:幻冬舎 
発売日:2017年3月29日(水)
本体価格:600円+税

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