台湾出身バンド noovyが目指す、J-POPとC-POPの融合ーー台湾のバンド事情も語る

noovyが目指す“J-POPとC-POPの融合”

 リン・ユーチュンが所属する台湾最大手のマネジメント会社「Eelin」が主催する大型オーディション「Eelin STAR」を勝ち抜いたメンバーによって結成された台湾出身の4人組ボーイズバンド、noovy(ヌーヴィ)。“Made in Japan”をコンセプトに掲げる彼らの楽曲は、乃木坂46やflumpool、Aimerなどに楽曲提供する古川貴浩や、2PMやNMB48、ノースリーブス、乃木坂46に楽曲提供するザ・ベイビースターズの田中明仁といった日本のクリエイターが関わり、C-POPとJ-POPが融合したポップ・ロック・サウンドを生んでいる。

 2017年からは日本に約3カ月間滞在し、自身初となるCD『KALEIDOSCOPE』を1000枚限定でリリース。日本でのワンマンライブを目指し、この作品を完売するための対バンツアーを続けている(2017年3月13日のライブで1000枚完売達成)。Shawn(Vo/Gt)、Hank(Gt/Cho)、JK(Ba/Cho)、Mark(Dr/Cho)の4人に、彼らの音楽的な興味やルーツ、そして日本滞在中も急成長を続けるバンドの今を語ってもらった。(杉山仁)

「4人で演奏しながら方向性を決めていく」(Shawn)

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左から、Hank、Mark、Shawn、JK

――noovyはオーディションで出会ったHankさん、JKさん、Shawnさんの3人に、Markさんが加わって結成されています。最初に出会ったときの、お互いの第一印象はどんなものでしたか?

Mark: JKと僕は同じ高校に通っていて、顔は知っていたんですけど、そんなに話したことはなかったんですよ。

JK: HankやShawnとバンドを結成しようという話になったときに、「そういえば、うちの学校にドラムをやっている人がいたな……」と思って僕がMarkに声をかけました。

Mark:最初はJKがFacebookにメッセージをくれたんですけど、「オーディションでドラムを探しているから、君のことが分かる資料を送ってくれ」と言われて、「これは詐欺だな」と思って(笑)。最初、犬の写真を送りました。

――はははは(笑)。

Mark:でもその後、会社の人から正式に連絡があって、「これは本当かも」と思ったんです。

Hank:他の3人はオーディション会場で会ったのが最初ですね。覚えているのは、みんな物を持って写真撮影をすることになって、そのときにJKがドライヤーを与えられていたこと(笑)。すごく真面目にポーズを決めていました(笑)。Shawnとはオーディション中のメイクレッスンで初めて話したんですけど、当時Shawnは15歳で、(日本の堀越学園のような)台湾の芸能学校への入学が決まっていて。僕もすでにその学校に通っていたので、「同じ学校じゃん!」と親近感が湧きましたね。Markはバンドを結成したばかりの会社の偉い人とのミーティングで、髪型の話をしているときに「僕は坊主にしたいです」と言ってみんなを困らせていました。「面白いやつだな」と思ったのを覚えています(笑)。

Shawn:僕は(台湾の中心都市・台北ではなく)台中出身なので、オーディションに向かったときは知り合いも全然いなかったんですよ。Hankがオーディション会場で初めて声をかけてくれた人でした。しかも、その人が同じ高校だったので、いい先輩に会えたと思いましたね。オーディションは2日間あって、1日目はモデルオーディションの日だったんですけど、僕は間違えて1日目にも来ていたんです。そうしたら、JKも間違えて1日目にも来ていて(笑)。モデルオーディション参加者は全員背が高いのに、JKと僕だけ背が低くて、「この人も間違えたんだろうな」と思ったのが最初でした。JKはABC(アメリカ育ちの台湾人)的な雰囲気があって、メガネをかけてすごく大人しいイメージでしたね。親切で真面目なメンバーです。

JK:実はHankとは最初、距離感を感じたんですよ。彼はギターを持っていて、鏡で自分の姿をチェックしていて……。まぁ、まとめるとモデル風のイケメンだったんです。

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――今ではかなり仲がよさそうですが、メンバーはどんな音楽が好きなんですか?

JK:じゃあ、僕の今一押しのEDMを流そうかな……!(と携帯プレイヤーを取りに行く)。

Mark:年齢によって好きな音楽は変わっていますけど、僕はLed ZeppelinやNirvana、Museは小さい頃から好きでした。そういう自分たちの上の世代の人たちが聴くようなロックを聴いていましたね。あとはクラシックも聴くし、LUNA SEAやL'Arc-en-Ciel、YUI、東京事変を聴いていた時期もありました。昔ギターやベースを習っていて、先生が色々なJ-POPを教えてくれたんですよ。音楽の専門学校の授業では、日本のCASIOPEAやT-SQUAREも勉強しました。Snarky Puppyも聴くし、技術と感情の両方がある音楽が好きですね。ドラマーでは、デイヴ・グロール。僕は10歳からドラムを叩いていて、そのときに先生から薦められて表現力の豊かさに惹かれました。自分自身のプレイでは、その曲に合わせたドラムを心掛けようと思っています。たとえば、「Bye Bye Darling」ではジャンプしている可愛い感じのビートを叩いたり、「KALEIDOSCOPE」ではポジティブで青春を感じさせるような演奏を心掛けたり。「Lily」もバランスがすごく大事で、バラードだけれどロックの要素も入っている曲の雰囲気を意識しているんですよ。

Shawn:僕の場合は、「Lily」以外の曲は自分もつねに笑顔で歌うのがポイントです。笑顔で歌うとそれが声にも反映されて、テンションも変わってくる。「Lily」の場合は、(「女の子に振られた男子高校生の切ないクリスマスソング」という)歌詞の物語を想像して歌っていますね。

Hank:僕は、曲によってシチュエーションを想像するんです。たとえば、「Bye Bye Darling」では、50~60年代の古いクラブを想像して演奏をしたり。

――いわゆるリズム・アンド・ブルースやサーフ・ロックの時代のクラブですね。その雰囲気はHankさんのギターにも出ているように感じます。

JK:(携帯プレイヤーを持って戻ってくる)僕は演奏する際には、曲に感情を込めることを大事にしていますね。「KALEIDOSCOPE」のときは元気が出るようなプレイを意識するし、「Lily」のときはしっとりとした演奏を意識するし。僕の最近のお気に入りの曲は、Diploの「Revolution(feat. Faustix & Imanos and Kai)」。Skrillexも好きだし、ハウスもすごく好きです。(トラップを中心にベース/クラブ・ミュージックを紹介しているアメリカの音楽メディア)Run The Trapで紹介されているものもかなり好きですね。

――へええ。そういうものも聴くんですか!

Shawn:クラブ・ミュージックは台湾でもすごく流行っているし、どこに行ってもよくかかっているので。(Diploともコラボレーションしている)ジャスティン・ビーバーももちろん聴きます。僕はポップ・パンクが好きで、All Time Lowが本当に好きですね。あとはジョン・メイヤー。演奏も歌も上手くて参考になるので、ここ数年ハマっています。

Hank:僕はエルヴィス・プレスリー。ギタリストではGuns N' Rosesのスラッシュに憧れますね。僕は中学の頃から音楽を聴くようになって、その頃にハード・ロック系のバンドが入り口になりました。最初に聴いたのがGuns N' Rosesだったんですよ。ギターの技術はもちろん、ステージ上での華が最高です。

JK:LINEグループがあるので、そこでメンバー全員の好きな曲を共有しているんですよ。僕らがYouTubeにアップしているカバーも、そこから生まれていくことが多いです。

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――あのカバー・シリーズはそうやってはじまっているんですね。選曲の基準というと?

Shawn:4人全員が好きな曲をカバーすることもあるし、人気のある曲を自分たち流にアレンジしたいと思って演奏することもあるし、そのときによって色々です。「PPAP」のカバーは苦労しましたね。まだ台湾にいたときですけど、僕が「面白いな」と思ってメンバーに伝えたら、みんなは最初「何それ?」という感じで。「これがやりたい!」って言っていたのにずっと無視され続けていたんです(笑)。でも、ちょうどピコ太郎さんが台湾に来ることになって、それでカバーしようと思いました。時間をかけてポップ・ロック風のアレンジにしましたね。ONE OK ROCKはみんな大好きです。星野源さんの「恋」は、僕の声がバラードに合っているという話になって進んでいったもの。日本に来てからどこでも流れているし、恋ダンスも可愛いし。楽器を持って集まって、4人で演奏しながら方向性を決めていく感じです。

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