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西廣智一『日本ヘヴィメタル/ラウドロック今昔物語』第4回「Crossfaithが海外で躍進を遂げた理由」

Crossfaithはなぜ世界でブレイク? 海外シーンとの親和性を読み解く

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西廣智一
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 なんとなく若手の印象があるが、意外にも今年で結成10周年を迎えるCrossfaith。彼らが最初のCD(1stアルバム『The Artifical theory for the Dramatic Beauty』)をリリースしたのは2009年4月のこと。ここ日本ではちょうどFACTがアルバム『FACT』でメジャーデビュー、および海外デビューを果たした時期で、いわゆる「ラウド系」と呼ばれる新世代メタル/ポストハードコア勢がオーバーグラウンドに飛び出そうとする絶好のタイミングだった。

 私がCrossfaithの存在を知ったのもちょうどこの頃で、YouTubeでさまざまなバンドのMVを流し見していたところに突如飛び込んできたのが、彼らの「Blue」のライブクリップだ。当時「お、日本にもようやくこういうバンドが出てきたのか」という喜びと「このレベルのバンドがインディーズの、この規模感でしか演奏できないのはもったいない!」という残念な気持ちを同時に感じたことを、なんとなく記憶している。もちろん、すぐさまアルバムをAmazonで注文したのは言うまでもない。

Crossfaith - "Blue" Official Liveclip

 いわゆるスクリーモやメタルコア以降のサウンドにエレクトロ(当時でいうレイヴやトランスなど)の要素を散りばめたスタイル、というと海外ではENTER SHIKARIの名前を真っ先に思い浮かべるファンも多いことだろう。過去にCrossfaithにインタビューした際、そのルーツについて「メタルコアとかスクリーモとかをやりたいと思って、KILLSWITCH ENGAGEやUNDEROATH、SLIPKNOT、AS I LAY DYINGなどをカバーしていた。そこに原曲にはないデジタルやエレクトロの要素を加えて、そこからオリジナル曲を制作していった」「ちょうど『Blue』をライブでやり始めた頃に、海外からENTER SHIKARIが出てきた」と述べており、ENTER SHIKARIからの影響というよりも両バンドとも同じルーツを持つ同時代に生きるバンドと言ったほうが正しいのかもしれない。

 またこの頃、日本にもレイヴやトランスなどのエレクトロ要素を加えたラウドバンドは少なからず存在したが、その中でCrossfaithが異質だったのは彼らがスクリーモ/メタルコアバンドだったということ。Crossfaithは2009年秋に開催されたメタル系フェス『LOUD PARK 09』(http://www.loudpark.com/09/lineup/)にも出演しているが、海外勢はもちろんのこと、同じ年に出演したLOUDNESSやOUTRAGE、GALNERYUS、LIV MOONなどと比べると、いかに当時のCrossfaithが稀有な存在だったかが伺える。

 続く2011年の2ndアルバム『The Dream, The Space』では、ラウドとエレクトロの調和がより独創的なものへと進化。特にTHE PRODIGYの名曲「Omen」のカバーが顕著で、この時点で彼らのサウンドが唯一無二なものであることを証明する結果となった。

CROSSFAITH - Omen (Official Music Video)

 そんな中、Crossfaithは翌2012年発売のミニアルバム『ZION EP』で最初の転機を迎える。同作は彼らが初めてアメリカでレコーディングした作品で、「Omen」のカバーで得た手応えから生まれた「Monolith」「Photosphere」「Quasar」といった楽曲から、バンドがさらに一段上へステップアップしたことが強く感じられた。というのも、それ以前の「ラウドロックからエレクトロに寄せる」手法から、先の3曲は「エレクトロからラウドロックに寄せる」手法から誕生したのだ。バンドとしての引き出しが増えたぶん、彼らを支持する層も拡大。特にこの頃から海外ツアーが本格化したこともあり、Crossfaithの独特なスタイルはここ日本以上に海外で高く評価されることとなった。

Crossfaith - 'Monolith (Live At Download Festival 2014)'

 『Warped Tour UK』やオーストラリア『Sound Wave Festival 2013』での大成功を経て、2013年には3rdフルアルバム『APOCALYZE』でワールドワイドデビュー。このアルバムでもCrossfaithはさらなる転機を迎える。初期の疾走曲中心の作風から、同作ではずっしりと重いミディアムチューンへと進化。それまでのライブハウス規模から海外で大舞台に立つ機会が増えたことで、それに合わせてビートやテンポをより大きく壮大なものへとシフトチェンジさせたのだ。思えば彼らのルーツであるSLIPKNOTも初期2作ではブラストビートを多用したファストチューンが多かったものの、ブレイクを遂げた以降に制作されたアルバム(特に3rdアルバム『Vol. 3: The Subliminal Verses』や4thアルバム『All Hope Is Gone』)ではミドルヘヴィナンバーを中心とした作風に変化したし、さらに先輩のMETALLICAもミドルテンポの楽曲が中心の5thアルバム『Metallica』(通称・ブラックアルバム)が、爆発的大ヒットを記録している。アリーナやスタジアムクラスでのライブが増えたことが、新曲制作に与えた影響は否めない。このCrossfaithの進化も、成功したレジェンドたちと同じ道をたどっていると言える。

     
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