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猪又 孝が「RIPサウンドの変遷」を解説

RIP SLYMEの音楽はなぜいつも「新感覚」なのか? ニューアルバム『10』までの歴史を辿る

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 RIP SLYMEが約2年ぶりに放つニューアルバム『10』。今回のアルバムの特徴は、すでに耳馴染みの曲が多いことだ。今年4月と7月にリリースしたトリプルA面シングルから5曲を収録し、それらを含めて全15曲中7曲に8つのタイアップがついている。しかも、そのクライアントの業種が、外車にけん玉、観光にラジオ局、ファッションブランド、バラエティ番組、アニメ番組、乳飲料と見事にバラバラ。これほど多岐に渡るジャンルにマッチする楽曲を自分たちの手で次々に生み出せる振り幅を持ったグループはそうそういないだろう。

 さらに、今回はいしわたり淳治がリリックをプロデュースした異色のブルージーチューンや、浜野謙太率いる在日ファンクを迎えた任侠エロファンク曲を新録。ジャケットは10枚目のアルバムということで、色鮮やかな縁起物が飾られた熊手をモチーフにしているが、中身も実にカラフルな仕上がりになっている。

 とはいえ、サウンドそのものが絢爛でケバケバしいのかというと、そうではない。足し算ではなく引き算の発想で作られたトラックの数々は風通しがよく、まろやかな印象。空間の広がりや温もりを感じさせるアトモスフェリックな音響も所々に顔を出すため、元気ハツラツというよりはピースで笑顔といった佇まいも感じさせる。アレンジもよく練られていて、例えるなら1曲1曲が、丁寧に出汁を取って作られた細部へのこだわりを感じる和食のよう。アラカルトで楽しめるそんな一品料理の数々を、DJ FUMIYAがインスト曲やSEなどを適度にちりばめてコース料理へと進化させた、そんな一枚になっている。

 本作はメジャーデビューアルバム『FIVE』から数えて10枚目のオリジナル作。振り返れば『FIVE』も相当にカラフルなアルバムだった。ぶっといキックでビートを刻んだかと思えば、乾いたアコギがジャカジャカ鳴らされ、陽気なホーンが騒ぎ出して、美しいストリングスが舞う。ヒップホップにファンクにソウルにフォークにロック。スペイシーなインストから、オールディーズネタのドリーミーなポップスまで。そんな多彩な音を一枚のアルバムに詰め込んだラップグループは日本にそれまでいなかった。ゲストもYO-KING(真心ブラザーズ)、BLACK BOTTOM BRASS BAND、KYON(元ボ・ガンボス)、MELLOW YELLOWと幅広い顔ぶれ。そもそもメジャーデビュー曲「STEPPER’S DELIGHT」だって、ロックンロールとボサノヴァとラテンとレゲエとドラムベースを高次元ブレンドした、それまでに聴いたことがないダンスミュージックだった。

      

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