>  >  > SMAPが『のど自慢』で見せた本領発揮

市川哲史の「すべての音楽はリスナーのもの」第28回

SMAPが見せた<前人未到アイドル>の本領 市川哲史が『のど自慢』のパフォーマンスを分析

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(C)タナカケンイチ

 SMAPが出演する『NHKのど自慢』をつい観てしまった。ザッピング中に出食わしシカトしようと思ったが、やはり、怖いもの見たさの誘惑には勝てない。

 一応説明しておくと『のど自慢』とは、1946年放送開始(←当初はラジオ)の<視聴者参加の公開生伴奏番組>で、いまはともかく20世紀中は日曜正午のお茶の間を象徴する国民的人気番組だったのだ。

 その『のど自慢』が放送開始70年を今年迎えるにあたり、春先の4月、「SMAPによる70周年特別応援企画」が唐突にアナウンスされ、あまりの違和感に誰もが苦笑を隠せなかった。そりゃそうだろう、最も対極に位置する両者だもの。

 具体的には、まず香取慎吾がスペシャル司会者として4月12日@茨城県・神楢文化センター→7月19日@栃木県・那須塩原黒磯文化会館→8月2日@北海道・中標津町総合文化会館と、計3回の単独出演を果たす。この番組は言うまでもなく生放送なのだが、よりによって前日の土曜夜に同じく生放送レギュラーの『SmaSTATION!!』を抱える香取が稼動するのだから、頭が下がる。というか田舎のド素人相手だから、『欽ちゃんの全日本仮装大賞』の司会14年の経験が買われたのか。雑な仕切りでOKの両番組だし。

 そして8月30日@神奈川県・秦野市文化会館にとうとう、SMAPが5人揃って出演する運びとなったわけだ。

 何はともあれ《SMAP meets NHKのど自慢》、見どころは多かった。

 そもそも何を隠そう99年の《BIRDMAN》全国ツアー以降、SMAPは『紅白』のNHKホール以外は、ドームかスタジアムか野外のステージにしか立ってない。そんな彼らがキャパわずか1455人の、地方の絵に描いたようなハコモノに登場してるだけで、まず可笑しい。

 キー局のバラエティー番組では海千山千のゲストたちを見事に捌く実力派MC・中居正広が、己れの気配を完全に消し去っていたのはさすが。自分の芸風が昼間のベタな現場には合わないのを、充分熟知してるからこその省エネモードだ。

 だからなのか、「SHAKE」を唄ってゲストとしての役目を果たした直後「鐘2つじゃなくてよかった」と中居が漏らすという、まさに『のど自慢』ならではの超「お約束」音痴ネタも、事務的に披露された感があった。

 と完全に一歩退いていた中居と最も対照的だったのが、「俺は『のど自慢』でも手を抜いたりしないから」とばかりに、随所で熱く<いいひと>していた木村拓哉である。

 派手なジェスチャーで鐘叩きマンに厳しい採点を抗議してみたり、目が不自由な出場者が唄っている間ずっと肩を貸してみたりと、なんて『のど自慢』に能動的なことか。

 「SHAKE」も実際に生歌を唄っていたのは木村だけで、あとの4人は口パク。なので危なっかしいフェイクやら、<♪のど自慢の日は鐘が2つでもイライラしない>という替え歌やら、木村一人ノリノリノリスケさんなのであった。怖いよ。

 どんな仕事の現場でも<特別な自分>を自己演出できてしまう木村と、自分が<オンリーワンでナンバーワン>である任意のジャンル以外では死に体でも全然平気な中居。両極端ではあるがさすがSMAPの二枚看板、セルフプロデュースは的確だ。

 なんてことを茶の間で『のど自慢』観ながら考察してた暇人は、私だけだろうよ。

 この《SMAP meets のど自慢》には続篇があり、収録だけども@岩手県・山田町中央公民館篇が9月末に別枠で放映される。本番前日の予選から本番当日までてんこ盛りドキュメンタリーらしいが復興応援スペシャル色が濃い分、「日常の中の非日常」感をどうしても避けられない今回の方が断然、私には刺さった。<不自然>って面白い。

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