『CHEERZ』&『@JAM』両プロデューサーが語る、アイドルシーン拡大策 「K-POPがアジア中を席巻したような現象を起こしたい」

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 5月11日、アイドルの写真に特化したスマートフォン専用SNSアプリ『CHEERZ』(チアーズ)を運営するフォッグ株式会社が、フェス型ライブイベントシリーズ『@JAM(アットジャム)』(株式会社Zeppライブ運営)と、アイドル市場拡大を目的とした包括的業務提携契約を締結したと発表した。2社は今後、8月29日に横浜アリーナで開催される日本最大級のアイドルフェス『@JAM EXPO 2015』を皮切りに、相互のコンテンツ提供と共同プロモーションを実施していくという。そこで今回、リアルサウンドでは、『CHEERZ』のプロデューサーである高澤紳悟氏と、『@JAM』総合プロデューサーの橋元恵一氏による対談を実施。アイドル業界をともに盛り上げる2社が考えるそれぞれの戦略やサービスの成り立ち、業界への思いについて、大いに語ってもらった。

「当時は同じヲタカルチャーでも、アイドルとアニソンを安易に混ぜちゃいけなかった」(橋元)

――まずは『CHEERZ』と『@JAM』という二つのサービスがスタートしたきっかけを教えてください。

橋元:そもそも『@JAM』は、2010年にソニーミュージックに新たに設立された「ライブ事業部門」へ僕が人事異動で移り、初めて実施した企画『ヲタJAM』(2010年11月開催)が原型なんです。このイベントは、アニメ、アイドル、ボーカロイド、コスプレなど、日本のカルチャーをまとめて紹介するカタチで行ったのですが、関わるうちにこの世界の奥深さを知り、その後、イベント名を『@JAM』に変え、次第にアイドルとアニソンに特化するようになりました。今回『CHEERZ』とご一緒する『@JAM EXPO』は、『@JAM』シリーズの中でも最大規模のイベントだけど、本丸はZepp DiverCityで毎年2日間行っている『@JAM 2015』なんです。今では、おかげさまで毎回SOLD OUTとなるイベントに成長しましたが、当初はとにかくボロボロで、正直大赤字の連続でした(汗)。

――今みると錚々たる面子ですけどね…。なぜその段階でお客さんが入らなかったと分析しますか?

橋元:今でこそ『ニコニコ超会議』といった壁を壊すイベントがあるけど、あの当時は同じヲタカルチャーでも、アイドルとアニソンを安易に混ぜちゃいけなかったんだと思います。何より、僕自身がお客さんの気持ちを理解してなかったのだと思います。

――ではそんな『@JAM』が軌道に乗り始めたのは?

橋元:『@JAM the Field』という、アイドルに特化したイベントを始めてからですね。第二回となる2012年10月のタイミングではすでにSOLD OUTしました。その後、2013年から『@JAM』は2day開催とし、一日はアイドル、一日はアニソンと、日毎に分けるようになり、そこから好調を維持しています。でも、近い将来としては、そろそろジャンルを混ぜても大丈夫なんじゃないか、と思ったりすることはありますね。

高澤:両方成熟してきたというか、アニメの成熟・定着具合とアイドルが親和性を持つようになってきたのは『ニコニコ超会議』でも分かりますもんね。『CHEERZ』を開発・運営している弊社には元々音楽、芸能業界で仕事をしていたスタッフが数名おり、そのスタッフ達は常々アイドル市場の持つ可能性と熱量に注目していました。そして、ITとアイドルで何面白い取り組みが出来ないかと模索していた時にたまたまアイドルと触れる機会があり、自分も何度も足を運んで、詳しい人に教えてもらってるうちに、ドップリ現場にハマって(笑)。いまは土日だと2、3現場足を運ぶのですが、見れば見るほど奥が深くて面白いと思っています。元々そんなに知らない人でもこれだけハマれるアイドル業界のすごさを感じつつ、運営・ファンと話しているうちに、TwitterなどのSNSで流れる写真を使えばもっと盛り上げられるのではないかと考えたんです。

――写真を使うというのは?

高澤:例えば、Twitterに可愛い写真が上がっていても、大抵はフォロワーだけが観て終わってしまうし、そのまま流れていってしまう。それはもったいないと思い、その価値を上げることはできないかと思いまして。知らない人への訴求手段として、ルックスって非常に分かりやすいものですし、それがまとめられているアプリがあれば、見たことない人に見てもらえるきっかけにもなる。そこから、現場にハマる人がもっともっと生まれて、業界自体が盛り上がっていけばいいなという気持ちがスタートのきっかけです。そのためにお金払わなくても楽しめるような気軽に始めやすい仕組みにもしています。

――今回2社が手を組んだわけですが、初めてお会いしたのは2014年の夏だと伺いました。そこからこのプロジェクトまで、どのように意気投合していったのでしょうか。

高澤:最初は僕らの方からアプローチしました。『CHEERZ』は2014年12月にリリースしましたが、プロジェクト自体は大体5、6月ぐらいからビジョンはあって、あとはアプリを作っていくという状況だったんですけど、先にいろいろな運営の方にはご相談しに行っていたんです。ただ、アイドル業界で実績も前例も無いなかで、アプリもまだ完成していないので説得力が弱いなと感じていました。そんなとき、知人に橋元さんを紹介していただいて、「僕ら、こういうものをやろうと思ってるんです、アイドルの裾野や業界をもっと広げたいんです」と熱意だけで相談しに行って(笑)。そうしたら橋元さんが一方的なお願いにも関わらず「応援しますよ」って言ってくれた。いまだにすごいことだと思うんですが、正直、怪しくなかったですか(笑)?

橋元:高澤さんたちが熱く語ってくれたことって、僕が『@JAM』をやっている理念に近かった。「自分たちが儲かったらそれでいいや」ということではなく、各々が「アイドルシーンを俺が支えるぞ」という使命感を持っていて、言葉にしてくれたので、だったら一緒にやれるなと思い、二つ返事で「やりましょう」と言いました。

高澤:5年も大切に育ててきたイベントを背負わせて応援してくれるって、よっぽどのことだと思うんです。でもその場でOKと言っていただけて、そして今の言葉を聞いて泣きそうです…。だから僕らも恩返しをしたいと思い、2014年の『@JAM EXPO』では裏方スタッフとして入らせていただきました。そこで僕らがやっていたのは、バックステージで出演者の写真を撮影して、Twitterにアップすることで、そこにスタートすることも知らされていない#CHEERZというタグ付けさせていただいたり、参加したアイドルの運営さんともお話をさせてもらえました。

橋元:タオルも配ってたよね。みんな、何のことだかわからないけど使ってたのを覚えてる(笑)。

高澤:『CHEERZ』と書いてあるマフラータオルを「お疲れ様です!」って出番終わりのアイドルに配ってましたね。でも、あれがないと今の『CHEERZ』は無かったと思えるくらい、『@JAM EXPO』での活動を通じて運営側に広く認知してもらえたし、最初から多くのアイドルたちに参加してもらうことができました。そこから12月にアプリをリリースし、2月には『Tokyo Girls’Update』を運営しているオールブルー社と業務提携し、海外にもリーチを拡大したので、今なら一緒に何かできるだろうと思い、橋元さんの下へ具体的な話をしに伺いました。

――「今なら」という言葉が出ましたが、そう思った理由を聞かせてください。

高澤:『CHEERZ』にはライブという現場がないけど、アイドルの最大の魅力ってやっぱりそこだと思っていて。アプリだけじゃ片手落ちすぎるだろうと考えていましたし、『@JAM』側もWebやソーシャル領域でのプロモーションを必要としていることを伺ったので、「それは僕らの得意技です」と。

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