今年はGEMの年になるーーアイストカーニバルが予感させたこと

 だが、2010年以降の「アイドル戦国時代」と呼ばれるグループアイドルの盛り上がりの中で、グループの人数構成は、AKB48のような圧倒的な多人数型か、ももいろクローバーZ、でんぱ組.incのような個のキャラが立った少人数型か、どちらかの体制が優勢で、モー娘。型の中規模編成アイドルは苦戦を強いられている。

 わーすたはアイストが初めて挑戦するももクロ・でんぱ型の個のキャラクターを前面に押し出すタイプのユニット構成になっている。選ばれた5人は、アイストの研修生にあたるストリート生からの選りすぐりメンバーで、個性とグループとしてのバランスが両立できるようなメンバーが揃った。今回はお披露目ということで、カントリー調、ディスコ調、ラテン調のオリジナル曲3曲を披露、2週間で仕上げたとは思えないパフォーマンスの完成度で、今後への期待も高まる。

 一つ懸念点を指摘するなら、アイストのユニットは基本的にコンセプト重視で、何が見せたいのかはっきりしている一方で、どうしても型にはまりがちな印象がある。これから個を生かすユニットを育てていくのであれば、メンバー自身やファンの反応を反映しながら、当初の想定からは外れる部分も含めて、おもしろい方向に転がしていくような、柔軟さを持った運営が求められていくことになるだろう。それはレーベルとしても新たな挑戦になるだろうし、まずは何より彼女たちに、より多くの実践の経験を積む場が与えられることを期待したい。

■岡田康宏
編集者、ライター、カメラマン、評論家、コラムニスト、WEBプロデューサ。得意分野はサッカーとアイドル。著書・共著に『アイドルのいる暮らし』『サッカー馬鹿につける薬』『グループアイドル進化論』など。Twitter:@supportista

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