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『嵐はなぜ最強のエンタメ集団になったか』先行公開PART.8

嵐はいかにしてバラエティ番組で活躍の場を拡げたか サブカル期から王道への移行期の足跡を辿る

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嵐はなぜ最強のエンタメ集団になったか
田幸和歌子
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 嵐が日本一の男性アイドルグループとなった理由を、音楽性、演技・バラエティ、キャラクター、パフォーマンスという4つの視点から読み解いた書籍『嵐はなぜ史上最強のエンタメ集団になったか』が、4月16日から17日にかけて、全国書店やネット書店で発売した。同書はリアルサウンド編集部が制作を手がけ、青井サンマ氏、柴 那典氏、関修氏、田幸和歌子氏、成馬零一氏、矢野利裕氏など、嵐に詳しい気鋭の評論家・ライターが寄稿。嵐の魅力を多彩な角度から解き明かしている。

 書籍の発売に先がけ、掲載記事の一部を紹介してきた同シリーズ。前回に続き、嵐がバラエティ番組でどのように活躍の幅を拡げてきたのかを、人気ライターの田幸和歌子氏が読み解いたコラムの後編を公開する。(編集部)

参考1:【嵐が次にめざす方向性とは? “日本一のエンタメ集団”を徹底分析する書籍登場】
参考2:【嵐の楽曲はどう“面白い”のか? 柴 那典×矢野利裕がその魅力を語り合う】
参考3:【嵐がジャニーズの後輩に与えた影響 各メンバーの姿勢はどう引き継がれていったか(前篇)】
参考4:【嵐がジャニーズの後輩に与えた影響 各メンバーの姿勢はどう引き継がれていったか(後篇)】
参考5:嵐が描いてきたゼロ年代の情景とは? ドラマ作品における軌跡をたどる(前編)
参考6:嵐が描いてきたゼロ年代の情景とは? ドラマ作品における軌跡をたどる(後編)
参考7:嵐はいかにしてバラエティ番組で活躍の場を拡げたか 萌芽期からサブカル期の足跡を辿る

<嵐のサブカル期>

 『真夜中の嵐』からスタッフを一掃し、02年6月に始まった『C(クレーム)の嵐!』。このスタッフたちこそが、『Dの嵐!』『Gの嵐!』『嵐の宿題くん』に至るまでの長年の付き合いを通して、嵐のバラエティの土台を作っていった人たちである。

 『Cの嵐!』は、嵐がクレーム処理会社「クレームエージェントの嵐」社員に扮し、依頼主の企業や役所などにかわってクレーム処理を行うという企画だ。当時、この番組にハマっていたのは、アイドルファンよりも、深夜番組好きが中心だったと思う。衝撃的だったのは、深夜のユルい空気に反して、かなりガチな企画だったことだ。

 クレーム処理の内容は「放置自転車問題」「ごみ問題」「不動産物件問題」「アデランス苦情問題」「ビックカメラ苦情問題」などで、カメラマンと少数のスタッフとともに一般人相手にテレビの撮影許可をとり、顔出しの可否を聞くところからスタートする。なかには彼らがアイドルの嵐だと気づく人もいるが、全く認識せずに普通の「クレーム処理代行業者」として扱う人も多数いて、ときには服装や態度について強烈なダメ出しをくらったり、逆ギレされたりする。しかも、それに対してキレ気味になるメンバーがいたり、対応の不味さから、火に油を注いでしまい、かえって激怒されたりする展開もあった。特に、すぐにムッとする松本潤や、怒りを買いがちな大野智には、視聴者がハラハラしながら「ああ、そんなんじゃダメだよ」「逆効果でしょ」「そりゃ、怒られるに決まってるよ」などと呆れたり、笑ったり、心の中で応援したりしたものだ。

 面白いのは、企画そのものはシビアなのに、それを嵐が行うことで、「深夜」の空気になること。当時の嵐は、社会では使えなさそうな「ちょっとダメで放っておけない普通の男の子」たちだった。

 だが、その「普通」感、「ダメ」感、「ゆとり」感が、03年7月に始まる『Dの嵐!』で見事にバラエティとして花開く。前番組『Cの嵐!』内のコーナー企画だった『D(ドキュメント)の嵐!』を独立させたものだが、「好奇心の赴くままに取材・おバカを決行する」というテーマのもと、嵐の良い意味でのユルさ・ダメさ加減にスポットを当てたのだ。

 「見てみたいけど普段見られないもの」として「53歳の脱サラ新人ゲイバー店員」や「自称日本一の巨漢」を取材し、仲良くなっていく展開では彼らの素顔がよく見えたし、「バカ好奇心」企画では「日本一くさい場所」「ほっといたらどうなる?」などのおバカな疑問を調査。さらに、相葉雅紀が白衣姿で懸賞を行う『Aの嵐』企画では、「オーストラリア人にうんちを描いてもらうと、どんな絵になるか」「液体窒素にラーメンを入れたらどうなるか」など、よりくだらないおバカさを突き進めていく。

 『Dの嵐』は、とにかくキュートでちょっとおバカな「愛され相葉ちゃん劇場」だったが、それはブレイク後も変わらない「嵐のベースの色」となった。

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