>  > 鹿野 淳が語る、VIVA LA ROCK2年目の挑戦

柴 那典「フェス文化論」第10回(インタビュー前編)

VIVA LA ROCKプロデューサー鹿野 淳が語る、フェス2年目の挑戦「フリーエリアをなぜ増強したか」

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鹿野 淳
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 2015年5月3日から5日までの3日間、さいたまスーパーアリーナにてロックフェスティヴァル『VIVA LA ROCK』が開催される。

 音楽雑誌『MUSICA』発行人の鹿野 淳氏が立ち上げた同フェスは、2年目を迎えてさらに規模を拡大。屋外に「TSUBASA STAGE」という入場無料のエリアを新設し、3日間で全80組が出演する。

 今回は、プロデューサー鹿野 淳氏へのインタビューを前後編で公開。前編では、フェス空間の進化、そしてラインナップに込めた意味合いを語ってもらった。(柴 那典)

「埼玉県の音楽マーケットを拡大するきっかけになりたい」

ーーVIVA LA ROCKは今年で2年目を迎えます。初開催だった去年はどう振り返っていますか?

鹿野:出来すぎたくらいの、予想以上の成功だったと思います。

――どういうところが成功のポイントでしたか?

鹿野:まず、野外フェスと室内フェスは場の作り方が真逆なんです。野外フェスの場合は何もないところにフェスらしい空間を作らないといけない。その一方、室内フェスというのは、横浜アリーナであれ幕張メッセであれさいたまスーパーアリーナであれ、コンサートの現場が会場になる。もともと音楽が日常的に鳴っている場所を、いつものワンマンライブとは違う特別なフェスの空間にしなければいけない。そういうことをどこまでできるのかを考えてやっていたのがVIVA LA ROCKというフェスティバルでした。そこにおいては、自分が思っていた倍以上をお客さんが感じてくださった。さいたまスーパーアリーナという空間を目一杯楽しんでくれたお客さんのバイタリティに助けられたと思います。

――初回の反響にはどんなものがありましたか。

鹿野:自分が想像しなかったのは、「こんなに家族連れで快適に楽しめるフェスはない」と言われたという話があって。これはさっき言ったフェスの空間の作り方に関わってくる話なんですけれど。

――というと?

鹿野:まず、このフェスティバルの大きなポイントとして、埼玉県の音楽マーケットを拡大するきっかけになりたいというのがあるんです。このフェスがあることによって埼玉県でライブハウスが増えてほしいし、平日でも集客が増えてほしい。埼玉の地元の人々に音楽フェスがあることを訴えかけて、マーケットに還元できないとダメだと思っています。だとしたら、さいたまスーパーアリーナの中だけでフェスを完結させるわけにはいかない。なぜなら、近隣の方々にはアリーナの中で何をやっているか、まるっきり見えないから。SEKAI NO OWARIがワンマンをやっているのか、ONE DIRECTIONが来日しているのか、VIVA LA ROCKというフェスティバルをやっているのか、その違いには気付かないわけです。でも、我々は、埼玉県のこと、音楽のこと、ロックのことを考えて、こだわってフェスをやっている。そのことを世の中に示したい。

――その考え方が先ほど言ったフェス空間の作り方に繋がっている。

鹿野:フェスがあることを世の中に示すためには、会場の外のエリアでその雰囲気を押しつけがましくなく作ることが必要です。そのために会期中の3日間とその前後も含めて、去年は1週間以上、さいたま新都心駅の駅前からさいたまスーパーアリーナの野外スペースに入場料の要らない「VIVA LA GARDEN」というフリースペースを設けました。ビアガーデンがあり、キッズランドがあり、大道芸人やゆるキャラショーもあり、BBQスペースもある。家族連れが楽しめるような場所を作った。それがフェスのお客さんにも思った以上に機能してくれました。

――どう機能したんですか?

鹿野:家族で遊びに来ることができて、子供も飽きないし、お父さんも休めるという、家族連れで楽しめるロックフェスということで非常に好評だったんです。もちろん、首都圏での都市型フェスに関しては若年層の人が多く、VIVA LA ROCKのオーディエンスもそこが中心です。そういうキッズたちには会場の中で楽しんでいただいて、外側には近隣の方に対して、フェスや音楽を好きになってもらうきっかけや入り口を作ろうと考えた。それが新しい体験の場として受け入れていただいた。どうやら今年は家族連れのお客さんがさらに増えているらしいという報告も受けています。

ーーそういう去年の体験を踏まえて、今年に意識したことはありますか。

鹿野:たとえば1日目はスピッツやKICK THE CAN CREWに出ていただいてますし、2日目はパンクを中心とした勢いのあるブッキングになっていますが、その部分での兄貴的な立ち位置にいるKen Yokoyamaに出演していただいている。家族連れで来られることも含めて、いろんな世代の人に楽しんでいただけるラインナップにしようと意識した部分があります。

――ブッキングで意識したことは他にもありますか?

鹿野:このフェスティバルは雑誌メディアである『MUSICA』とジャーナリストである自分が中心になってプロデュースしているものなので、やはり新しい音楽を見つけていただくことが大事なテーマなんです。知らない音楽をいかに堪能してもらうかが大事になる。そういう意味でも、すでに人気を獲得しているアーティストだけでなく、積極的に新人を登用していくことは、このフェスの本来的な役割だと思っています。それと同時に、ベテランの方にも楽しんでもらいたい。スピッツのような誰もが知っているヒット曲を持っているアーティストに、ロックフェスとしてのこだわりを持った現場でライブしてもらうということも考えました。

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