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小野島大が"鬼才音楽家”を直撃インタビュー

CMJKが明かす、J-POPのサウンド制作最前線「アイドルの仕事こそやりたいことができる」

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 CMJKは主にJ-POPの世界を舞台に活躍するサウンド・プロデューサー/編曲家/作曲家である。手がけたアーティストは浜崎あゆみ、SMAP、DREAMS COME TRUE、Kis-My-Ft2、N'夙川BOYS、佐野元春、少年隊、PENICILLIN、V6、ユースケ・サンタマリア、猿岩石、キャイ~ン、篠原ともえ、KICK THE CAN CREW、東京パフォーマンスドール、FLIP-FLAP、片瀬那奈、THC!!、アニメサントラ「マクロスプラス」など膨大な数に上る。

 最近では女性アイドルの仕事も数多く手がけており、チームしゃちほこ「シャンプーハット」(作詞曲:川谷絵音)、アンジュルム「乙女の逆襲」(作詞:児玉雨子、作曲:川辺ヒロシ・上田禎)、Juice=Juice『Ça va ? Ça va ?(サヴァサヴァ)』(作詞:三浦徳子、作曲:川辺ヒロシ・上田禎)などが話題になった。5月13日にはアレンジを手がけたチームしゃちほこの「天才バカボン」のカバーもリリースされる。

 そもそも電気グルーヴのメンバーとしてデビュー、ファースト・アルバム『FLASH PAPA』に参加し、電気脱退後はCUTEMEN、CONFUSION、ALEX incといったバンド/ユニットでテクノとニュー・ウエイヴの接点にあるような独自の音楽性で活動、一方でCT-SCAN名義のシングル『COLD SLEEP』ではデトロイト・テクノに通じる静謐で美しい世界を展開し世界的にも高い評価を受けるなど、その活動は非常に幅広い。

 彼はまたブログやフェイスブック、ツイッター、「ザ・インタビューズ」といったSNSメディアを通じての情報発信にも熱心で、膨大な量のテキストを残している。今回のインタビューでは、そこで彼自身の口から語られるさまざまな情報をもとに、彼の仕事原理や哲学、現在のJ-POPシーンに思うことなどを縦横に語ってもらった。また先日リアルサウンドで公開されたクラムボン・ミトのインタビューの内容を踏まえての質問もしており、できれば合わせて読むことをおすすめしたい。(小野島大)

参考:クラムボン・ミトが語る、バンド活動への危機意識「楽曲の強度を上げないと戦えない」


「去年からずっとアイドル以外ほとんどやってない」

ーー最近はアイドル関係のお仕事も増えてますね。

CMJK:そうですねえ。去年からずっとアイドル以外ほとんどやってないぐらいの感じですね。

ーーザ・インタビューズを読ませていただくと、最初のころ(2012年ぐらい)は、アイドルの仕事はやりたくない、と書かれてましたよね。自分のやりたいことをちゃんと自分で表現できるアーティストならやりたいけど、アイドルは商品あるいは産業であって、そういうのは興味がない、と。

CMJK:はい、そうですね。それを答えた時点ではそうだったんですけど、今は状況が逆転してるような気がしてまして。アイドルこそやりたいことができる。

ーーおお。ツイッターでも書かれてましたね。かなり自由にやらせてもらっている、と。

CMJK:そうなんですよ。ちょっとネガティヴな言い方になるかもしれないですけど、市場が飽和状態だと思うんで、みんな新しいものを求めてますから。僕にオーダーを振ってくるってことは、みんな横並びの中から、ちょっと刺激的で面白い、というものを求めてると思うんで、クライアントさんも。

ーー今回アイドルを手がけるようになったのはどういう経緯だったんですか。

CMJK:近所の飲み屋で後輩のエンジニアと飲んでいたら、たまたまチームしゃちほこのディレクターも飲んでいて、紹介されたんです。ちょうどその時チームしゃちほこは何か新しいことをやりたい、アレンジャーをどうしようか悩んでたというんですね。で、ここで会ったら百年目、ぜひお願いしますと。そうしたら翌日にどーんと(デモ音源の)MP3が来て。

ーー当然、JKさんがどういう音楽家かというのは承知の上で。

CMJK:そうです。m.c.A・TさんとかRIP SLYMEの制作をやられていた方なんで、年齢も同世代で洋楽も詳しいですし。

ーーチームしゃちほこは、JKさんがもっているような要素を導入したいと考えていた。

CMJK:そうじゃないですかね。チームしゃちほこはメーカーがワーナーのunBORDE (きゃりーぱみゅぱみゅ、ゲスの極み乙女。、神聖かまってちゃんなど)なんですよ。レーベルのカラーがある。そこで初めてやるアイドルがチームしゃちほこ。事務所がスターダストでももクロと同じセクションの後輩なんで、ちょっとやそっとの普通のことじゃ、頭一個抜けない。変わったことするのが<らしさ>みたいな、そういう風潮もあると思うので。

ーーやるにあたって特に注文のようなものは。

CMJK:具体的な、こういう音を足してみて引いてみて、というのはありましたけど、大元はそんなにはないですね。

ーーデモ音源を受け取った時はどんな感想を持たれました?

CMJK:しゃちほこに限らずなんでもそうなんですけど、まずメロディを拾うんです。それが一番嫌いな作業で(笑)。作曲家の人の”念”というか、そういうものをまず吸い取ってあげなきゃいけない。作曲家の人が物凄く苦労してデモテープ作っても、使うのはメロディラインだけですから。作曲家に恨まれるんじゃねえかみたいなこととも考えつつ、ゴメン!と思いながらコードを変えたり。

ーー作曲家がどこにこだわりをもっていようが、自分の耳で判断する。

CMJK:作曲家の人はここにこだわったんだろうな、ディレクターの人はここに引っかかったんだろうなっていうのはある程度わかるんですよ、長いことやってると。でも自分がそこにピンとこないことがあるんで。オレはこの曲のここは嫌いじゃないな、というところを必死に見つけますね。

ーー「好きなところ」じゃなく「嫌いじゃないところ」ですか(笑)。

CMJK:そうしないとモチベーション・スイッチがオンにならないですから(笑)。でも最近は面白い曲ばかりいただいてるんで、いつも楽しくやってますけど…(小声で)って言っとかないと(笑)。去年とかは、僕に来る曲がアーティストものばかりだったんで面白かったですよ。しゃちほこだったらゲス極の川谷君とか、SMAPだったらMIYAVI君とか、TK氏(凛として時雨)とか。

チームしゃちほこ – シャンプーハット / Team Syachihoko – Shampoo Hat [OFFICIAL VIDEO]

ーー川辺ヒロシさんも。

CMJK:そうですね。おーなるほど面白いっていうデモテープが来ますから。

ーーアーティストが作った曲って職業作曲家が作った曲と何が違うんですか。

CMJK:(笑)そもそも、いい意味で荒いですよ。それが素晴らしいです。

ーー荒いって、デモテープがってことですか。

CMJK:そうです。

ーー川谷さんのデモは弾き語りだったそうですね。

CMJK:はい。顔色を窺ってないっていうか。それが素晴らしいですよ。だからこっちも最初からやる気のスイッチがオンになる。

ーーアーティスト性の強いものって、合う合わないがありそうですけど。

CMJK:そこをなんとか合わせるために我々がいるんじゃないですかね。ゴボウでフレンチ作ってくれ、みたいな(笑)。

ーー川谷さんの場合は弾き語りだから、特に何のヒントもないまま一から作業を進めていくわけですか。


CMJK:そうですね。ある程度進めていって、上モノで悩んだ時に、この曲をヒントにしたらどうかって途中会議みたいなものには出ましたけど。


ーーそれはどんな参考曲だったんですか。


CMJK:秘密です(笑)。参考曲ってJ-POPが挙げられることが多いんですけど、洋楽の曲だったんで、やる気もどんどんあがっていきますし。

ーーJ-POPが参考曲だとやる気が出ませんか(笑)。

CMJK:(笑)なるほどと思うんですけど、すこーしやる気がなくなる(笑)。参考曲を上回ってやるぞって気持ちも少しは湧くんですけど。

ーーなるほど(笑)。CMJKさんは日本の音楽はあまり聞いてないと「ザ・インタビューズ」でも再三書かれてますね。

CMJK:はい。滅多に聞かないですね。でも最近怖い目に遭ったので、ある程度勉強しなきゃいけないなとは思います(以降、芸能界の派閥のオフレコ話)。

ーーそれは怖い(笑)。ほんとにあるんだそんな話。

CMJK:あるんですよ(笑)。知らないよりは知ってたほうがいいかと思って。後輩に言われて、Mステぐらいは見ることにしてます。それぐらいでいいかなって。

ーーつまり音楽的ではなく政治的な理由で聞く。

CMJK:あとは、今こういうのが流行ってるんだっていうのを、ある程度は把握しようと。

ーー現実問題としてJ-POPの世界で仕事をしていると、同業のクリエイターが何をやってるのか、何が流行っているのか知っておかないとまずくないですか。

CMJK:知っておかないと、と思ってチェックしますけど、まったく気にはならないですね(笑)。

ーー小室哲哉とかつんくとか中田ヤスタカとか、その時代ごとに売れっ子の人たちはいますが…。

CMJK:気になったことがない(笑)。日本人の先輩も後輩も、同年代の誰でも。

ーーでも今のシーンで何がトレンドなのかということは…。

CMJK:ある程度は肌で感じてますけどね。

ーーたとえばアニメとかボーカロイドものとか。

CMJK:はいはい、そうですね。

ーーそういうものも気にならないし、積極的な関心もないということですか。

CMJK:やれと言われればやりますけど(笑)。

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