Berryz工房が紡いできた音楽のグラデーション 全楽曲をジャンル分類で振り返る(前編)

ロック系

<パンク・ロック>

・友情 純情 oh 青春 [2004] ※カップリング
・ダーリン I LOVE YOU (Berryz工房 ver.) [2008] ※カップリング
・本気ボンバー!! [2010] ※シングル
・ヒーロー現る! [2011] ※カップリング
・一丁目ロック! [2011]
・かっちょ良い歌 (フィーチャリング Berryz工房) [2011] ※カップリング
・世の中薔薇色 [2012]

 まずはロック系。ここで言う「パンク・ロック」は、DIYや反体制といった精神性ではなく、あくまでサウンド面での特徴だと思っていただきたい。どの曲にも共通しているのは、8ビートのスピード感あふれるロックンロールだということ。「友情 純情 oh 青春」は曲終盤で観客がタオルを頭上に放り投げるのがお約束、「一丁目ロック!」は観客がサビメロを追いかけで一緒にコーラスするのがお約束となっている、どちらもライブでの定番ナンバー。その他の曲も、どれもライブ現場で盛り上がるものばかりだ。

<ポップ・ロック>

・ファイティングポーズはダテじゃない! [2004] ※シングル
・恋はひっぱりだこ [2004]
・安心感 [2004]
・Berryz工房行進曲 [2005]
・CLAP! / 夏焼雅・徳永千奈美・熊井友理奈 [2008]
・ライバル [2009] ※シングル
・ヤキモチをください! / 清水佐紀・徳永千奈美・菅谷梨沙子 [2010]
・Be 元気 <成せば成るっ!> [2012] ※シングル
・永久の歌 [2014] ※シングル

 「ポップ・ロック」とはかなり曖昧な言い方だが、ここでは「メジャー・コードの明るくキャッチーな、ポップ性の強いロック」程度の意味で使っている。「Berryz工房行進曲」はカントリー調、「CLAP!」はフォーク調、「ヤキモチをください!」はミディアムテンポと、他の曲と少し毛色が違うものもいくつか含んでいる。「ライバル」はファン企画である「ハロプロ楽曲大賞」2009年度の1位を獲得したナンバーで、個人的にもBerryz楽曲中、十指に入る一曲である。

「ライバル」

<スカ>

・素肌ピチピチ [2006] ※カップリング
・思い立ったら 吉でっせ! / 徳永千奈美・須藤茉麻・熊井友理奈 [2007]
・付き合ってるのに片思い [2007] ※シングル

 音楽ジャンルの「スカ」と言った場合、60年代のいわゆる「オーセンティック・スカ」と、80年代にイギリスでパンクと結びついた「2トーン・スカ」の2種類があるが、ここでは後者の意味で使っている。とはいってもスカ要素が全面にみなぎっているのは「素肌ピチピチ」で、他2曲は曲の一部分に、スカの音楽的特徴である裏拍打ちのバックビートが見られる程度。「付き合ってるのに片思い」はスカの軽快なビートや華やかなブラスなどにより構成された、アイドルポップスの王道的サウンド。この路線においてはBerryz楽曲中でも一、二を争う高い完成度ではないだろうか。個人的にも十指に入る。

「付き合ってるのに片思い」

<レゲエ>

・小遣いUP大作戦 [2004]

 スカの隣接ジャンルといえばレゲエ。「小遣いUP大作戦」は、お小遣いの少ない女の子の憂鬱をダウナーなレゲエサウンドで表現したとんでもない一曲。

<HR/HM>

・胸さわぎスカーレット [2006] ※シングル
・サヨナラ 激しき恋 [2007]
・バカにしないで / 清水佐紀・夏焼雅・熊井友理奈・菅谷梨沙子 [2008]
・男の子 [2009]
・愛には 愛でしょ / 嗣永桃子・夏焼雅 [2010]
・愛の弾丸 [2011] ※シングル
・ROCKエロティック [2013] ※シングル

 「HR/HM」は「ハードロック/ヘヴィメタル」の略。とはいっても、この中で一番HR/HMに近いのは「男の子」(特にBメロ以降の展開)で、その他は比較的ハードなギターサウンドが見られる、ぐらいのものを分類した。「胸さわぎスカーレット」はファンキーなニュアンスが強く、「ROCKエロティック」はEDM以降のサウンド要素が強い一曲。しかし男装衣装の華やかさ含め、Berryzロック路線の最高峰は「ROCKエロティック」だろう。

<(広義の)ロック>

・雄叫びボーイ WAO! [2010] ※シングル
・マジカルフューチャー! [2011]
・大人にはなりたくない 早く大人になりたい [2011] ※カップリング
・WANT! [2012] ※シングル
・男前 / 嗣永桃子・熊井友理奈 [2013]

 他のロックカテゴリにはいまいち当てはまらないが、強いて言えばロック、という曲を集めたのがここ。ギターがあまり重視されてないもの、という言い方もできる。「雄叫びボーイ WAO!」などは、ジャンル特定にかなり苦労する一曲ではないだろうか。「WANT!」は、つんく♂公式サイト掲載のライナーノーツによれば、「デジタルロックというか、ローリングストーンズの「MISS YOU」のようなかっこいいロックをJ-POP風にデジロック化するとどうなるか、というテーマで頭の中で変換し、少々ダンサブルというかDiscoな要素も取り入れ仕上げております」とのことで、ジャンル混淆がかなり深まっている。わかりやすいポップさをさほど気にしてないようなところもあり、非常に面白い一曲だと感じた。

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