PE'Zが明かす音楽の原体験、そして今も走り続ける理由「特殊であることは嬉しい」

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 昭和女子大学内・人見記念講堂で9月21日、ワンマンホールライブ『血騒-PE'Z THE LIVE-』を行ったPE'Z。同公演では10月15日にリリースする新作『血騒-chisou-』から全曲を披露するなど、ホールという特性を生かしたダイナミックな演奏を展開した。また、この冬からはワンマンツアー『EN-MUSUBI2014~血騒(ちそう)っていう位だからそれはもう~』を行うほか、今夏に行われて好評を博した、子ども達にジャズの楽しさを教える『侍JAZZクリニック』の秋冬版も実施する。今回リアルサウンドでは、ドラムでありリーダーを務める航と、ピアノ・キーボードのヒイズミマサユ機にインタビュー。人見記念講堂ライブで感じたことや、クリニック開催を前に、彼らの音楽原体験などを訊いた。

「最初にPE'Zを始めた頃の曲を今演奏しても、やっぱり違うものになる」(航)

ーー9月21日の人見記念講堂ライブは非常に盛り上がりましたが、あの音響環境の中で演奏する体験はいかがでしたか。

航:ACOUSTIC REVIVE(注:世界的にも評価の高い日本のハイエンドオーディオメーカー)のケーブルを使用して、演奏していても、いわゆるホールで感じるバランスの良い音とは少し違う、芯のある音でしたね。

ヒイズミマサユ機(以下:ヒイズミ):ピアノは会場のものを使うので、行って弾いてみないとわからないところがありますけど、弾いていて気持ちの良いピアノでした。音楽というのは音と空間で完成されますから、とても有意義な体験だったと思います。

ーーあのホールならではの音の良さと、熱を帯びた新作の世界が両立しているところが、あのライブの肝だったように感じます。

ヒイズミ:女子大の中にある会場ということもあるのかもしれないけど(笑)、会場もステージも上品でした。上品とは言えない曲もあったので(笑)、そのあたりをどううまく伝えるか、ということが難しかったような気もします。その中で、上品でありながら野蛮さもあり、ラフでありながらかっちり決めることができたかなと。

航:『血騒-chisou-』を発売前に全曲公開ということで、初めてやる曲が多かったですけど、音が良いぶん緊張が解けて、良い具合に演奏できました。

ーー前回のインタビュー(参照:PE'Zが語る、葛藤と挑戦の15年史「もつれたからこそ、色んな方向が見えてきた」)では「メンバー全員でひとつのステージを作る、音源を作る、という感じになってきた」と仰っていて、それはライブでも実感出来ました。そうした変化はご自身でも感じましたか。

航:最初にPE'Zを始めた頃の曲を今演奏しても、やっぱり違うものになりますね。より早くなったり激しくなったり。長くやっていると、そのときはすごく激しいつもりでも5年後に聴くと「そうでもないな」と思うことがありますし、逆に「これももっとゆったりでもいいな」と感じるものもあります。

ヒイズミ:PE'Zはやっぱり、ライブハウスがホームグラウンドなんですよね。と言いつつ『血騒-chisou-』の全曲を初披露したのがホールというのも不思議な感じですけど(笑)、メンバー個々の熱も高かったですし、今のPE’Zの音になっていたのかなと思います。

ーーキャリアを重ねて、より渋い音を追求するようになる音楽家もいますが、15周年記念でこういうアグレッシブな作品が出たことも興味深いですね。

ヒイズミ:頑張って激しくしているというよりは、「基本的にこういう感じが好き」なので、これが我々のスタンダードなんだと思います。スタンス的には全身にタトゥー入ってる(笑)。それくらいして初めて「普通ですね」って思ってもらえる、激しさなんじゃないですかね(笑)。

ーー先日のライブでは少しムーディな部分も出していましたがーー。

ヒイズミ:ライブハウスの活動とは別にジャズクラブツアーもやっていて、そのときはスタンダードやバラードもやってますからね。それはそれで好きです。ただ、PE'Zでは普通にやっていてもどんどんテンポが早くなっちゃいます(笑)。

ーー人見記念講堂は時間帯もあってか、家族連れの姿も多かったですし、8月4日〜22日に行った『侍JAZZクリニック』の生徒さんたちも来ていたようですね。

ヒイズミ:クリニックの生徒さんから、終演後に手紙をもらいました。開けたら蝶みたいなのが飛び出してきて、やられたな、と(笑)。

航:クリニックの課題曲「Viva! A So Bole!」は、子どもたちと一緒に成長してきた曲で、この日も一緒に盛り上がることができました。

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