AKB48グループはどこに向かう? 最新作から見たSKE、NMB、HKTの力関係

 HKT48の4thシングル『控えめI love you !』が9月24日に発売される。同曲のリリースで、今年前半に行なわれたAKB48グループ大組閣と選抜総選挙という二つの大きな仕掛けを受けての、各グループの第一手が出揃うことになる。大組閣では人気メンバーの他グループへの兼任や移籍が相次ぎ、総選挙では昨年一位の指原莉乃を抑えて渡辺麻友が一位の座を得た。これまで、48グループ運営が得意とするこれらのイベントは、まとまりつつあるグループのメンバー構成やパワーバランスをかき回すことで新しい刺激を生み続けてきた。それら二つの「刺激」を経て、各グループのCDリリースには何が見えただろうか。

W松井の存在感を改めて証明したSKE48

 大組閣の異動を反映した最初のシングル発表になったのが、SKE48の『不器用太陽』。ドラムの展開が印象的に耳に残る表題曲は、夏の寂しさを静かに描写するMVとも相まって、48グループの陽性の夏楽曲群とは違う味わいを見せる。選抜メンバーは、AKB48に移籍した木崎ゆりあを欠いた代わりに、兼任、移籍でSKE48にやってきた宮澤佐江、渡辺美優紀、山田菜々、佐藤すみれらが入ったこともあって20人と増え、新鮮な顔合わせになった。

 しかし今作に関しては、選抜組のパワーバランスに大きな影響を与えてはいないように見える。もともと松井珠理奈、松井玲奈の二人が一貫して中心に立つSKE48は、彼女たちに対抗するポジションに立つことが難しい。宮澤や渡辺といったキャリアのある人気メンバーをしてなお、中心に揺さぶりをかける立場になっていないことで、かえって両松井の大きさ、両松井を侵すことの難しさがあらためて浮き彫りになるようでもある。

新加入組の劇場公演に期待高まるNMB48

 リード曲だった「イビサガール」がシングルCDとしては発売されず(iTunesでの配信のみ)、大組閣を反映したNMB48のCDリリースは、2ndアルバム『世界の中心は大阪や ~なんば自治区~』が最初となった。「イビサガール」の扱いがやや曖昧になってしまったため、組閣を受けて同曲の選抜に入った柏木由紀、梅田彩佳、高柳明音ら新たなメンバーも、新体制後の立ち位置はまだはっきりとは見えていない。

 むしろ大組閣の効果は、選抜メンバーのバランスよりも、グループとしての公演の方にあらわれていた。チームNの公演でNMB48のメンバーとして登場した柏木のインパクトにこそ、彼女がこのグループに異動したことの大きな意義があらわれていた。キャラの強いNMB48の人気メンバーの中に、「アイドル」を上演するパフォーマーとしてのこだわりを見せる柏木が定着すれば、その彩りはいかにも豪華になるはずと思わせた。仕切り直しになる次回以降のシングルリリースで、グループにうまく溶け込んだ姿を見てみたい。

グループ選抜色が強まるAKB48の最新作

 もともとAKB48グループ選抜としての色が濃いAKB48名義のシングルだが、『心のプラカード』は、選抜総選挙の結果を直接に反映させていることで、他のシングルにもましてAKB48グループを総合した楽曲としての位置づけが強い。そのため、ここで挙げている他のグループのリリースとは少し意味も違っている。

 今や大きな芸能ニュースとして取り上げられることが恒例になった選抜総選挙は、ファン以外の層に対しても「AKB48の顔」をアピールするものだ。昨年の総選挙を受けた「恋するフォーチュンクッキー」は、老若男女が踊れる曲として広く世間を巻き込んだ。類似のコンセプトで制作された「心のプラカード」も、渡辺麻友をセンターに据えた“2014年版フォーチュンクッキー”として期待がかかり、昨年のセンター指原莉乃と今年の渡辺とを比較するような声も多く聞かれる。

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