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レジーが語る、Perfume論

Perfumeの新曲『Cling Cling』に見る、「日本らしさ」を超えた海外進出とは?

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誰が「クールジャパン」を背負うのか

 つい最近、「きゃりーは日本民族の誇り」という強烈な見出しがついたワーナーミュージック・ジャパン名誉会長のインタビューが日経ビジネスに掲載されていた。表紙には「コンテンツ強国へ この“熱狂”を売れ!」というコピーとともにステージで歌うきゃりーぱみゅぱみゅの写真が使われていて、「きゃりーぱみゅぱみゅ」と「日経ビジネス」という何とも言えない取り合わせに胸焼けがした。

 件の日経ビジネス発売の数週間前、夜のニュース番組で「BABYMETALはなぜ世界でウケたのか」という特集が放送されていた。彼女たちの海外での人気を引き合いに出しながら政府のクールジャパン戦略のあり方を問うような構成だったが、一番インパクトがあったのはベビメタの3人と対面した際にどうにもピンと来ない表情を隠しきれていなかったクールジャパン戦略担当大臣の様子だった。番組の性質を考えると、あのリアクションは視聴者のそれなりの数の反応を代弁していたのかもしれない。

 きゃりーぱみゅぱみゅとBABYMETAL、この2組が「日本のコンテンツを世界へ」という最近の風潮における代表例として取り上げられることが増えてきた。ここで僕が思うのは、「この手の話でPerfumeの名前が意外と出てこないな」ということである。

 Perfumeの海外における実績は、前述の2組と比べても遜色のないものである。2012年のレコード会社移籍を機に本格的な海外展開を開始し、同年のアジアツアーと翌年のヨーロッパツアーを成功させるとともにアルバム『LEVEL3』も各国のチャートで成果を収めた。もちろんこういうことはPerfumeを好きな人にだけ伝わっていればいいものではあるのだが、他のアーティストが「海外市場開拓の先駆者!」みたいな扱いをされているとほんの少しだけ違和感を覚えてしまう自分は心の狭い人間である。

「日本好きコミュニティ」の外を見据える「Cling Cling」

 そんなPerfumeの新曲『Cling Cling』が 7月16日にリリースされた。J-POPのアーティストではあまりお目にかかれない低音を強調したトラックをバックに<Cling Cling><るんるんるん><つんつんつん>というわかりやすいフレーズが繰り返されるこのナンバー、おそらくは「海外戦略」を意識した楽曲だろう。これなら日本語のわからないリスナーへのリーチを英詞に頼ることなく実現できる。

 そして、特筆すべきはこの曲のミュージックビデオ。チャイナドレス風の衣装に身を包んだ3人の妖艶な姿が目を惹くこの作品のコンセプトは「オリエンタル」。舞台となっている架空の街が醸し出す雰囲気は中国と東南アジアをミックスしたような趣で、猥雑だけどどこか現実離れしたムードからは「西洋から見た東洋」という視点が想起される。このアングルは前作“Sweet Refrain”の「アジアンビューティー」的なアートワークとも地続きであると同時に、昨今の「オタク/萌え的な感性」もしくは「原宿的なセンス」によって規定される「JAPANESE KAWAII」とは異なる位相のものである。

     
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