中島美嘉と加藤ミリヤがコラボした理由とは？　“意外な共通点”も明かすスペシャル対談

美嘉「ステージ数をこなせばこなしたほど怖さは増していく」

ミリヤ：実は……恐怖という感覚が強いんです（笑）。

美嘉：わかる。「なんか……今日のコンサート、不安だな……」とか、いろいろ考えちゃうときがあるもんね。でも、出てしまえばやるしかない、立ってしまえば誠心誠意やりきる、っていうスイッチがオンになる。そして、幕が開いてステージに立って、お客さんのすごくきれいな目を見た瞬間、しょっぱなから号泣したくなるんです。エンディングよりも、オープニングのほうがずっと泣けるんですよ。

ミリヤ：わかるー、すごくわかる！　何もやっていないのに、ステージに立っただけで号泣、みたいな。でも、あの瞬間こそ、私は本当に救われた気持ちになります。

美嘉：何度ステージを経験しようが、免疫はできないんです。数をこなせばこなしたほど怖さは増していく。

中島美嘉×加藤ミリヤ　『Gift ミュージックビデオショートバージョン』

――では、同録の「Gift」について聞きます。これは「Fighter」とはまた違う雰囲気を持つ楽曲ですが、どのようなアイディアからスタートしたのでしょうか？

ミリヤ：これは美嘉ちゃんと私のイメージで、純粋に“応援歌”として書いた曲です。

美嘉：そうだね。誰にでも必ずある才能、それを無駄にせず、怖がらずに向き合っていってほしい、という想いを込めて作った曲。

――音楽活動を続けてきたなかで、ふたりがもらった一番のギフトはなんでしょう？

美嘉：私は“許す”こと、かな。怒ったり、ムカついたり、どの世界でも普通にあることだけど、それを気にせず許すこと。許す、っていっちゃうと上から目線かもしれないから……“忘れる”かな。それを学んだというか、長い音楽活動の中で受け取ったギフトかな。もともと性格的に引きずるタイプではないけど、言わないこと、飲み込むことで成長につながることもあるんだな、って。それからはすごく楽になったような気がする。

ミリヤ：私もそう。こうしていくつも取材を受けていく間に、美嘉ちゃんと心がリンクしていってるような気がします（笑）。私の場合は、それに加えて、少しずつ自分自身を“受け入れる”こと。生きていく上で、私は私自身を好きでありたいと願うけど、常に疑問が付きまとう。でも、ちょっとずつ受け入れていくことで、救われているような気がします。

――ふたりがリンクする部分は非常にわかりますが、中島美嘉にあって加藤ミリヤにないもの、加藤ミリヤにはあって中島美嘉にないもの、とは？

美嘉：ミリヤちゃんは私のないもの、私が憧れるものを全部持ってる。歌唱力とか、ホントに憧れる。

ミリヤ：恐縮です……（笑）。私から見た美嘉ちゃんは、もう“存在感”の一言。美嘉ちゃんの歌を聴いただけで、生きてきた過程や証、姿が目に浮かんでくるよう。歌からその人の物語が浮かび上がってくることは、本当にその人の存在感に尽きると思います。

――もはや必然の共演だったわけですね。

美嘉：「あー、中島美嘉と加藤ミリヤねー……うんうん、なんか、うん、わかるわかる」って思ってもらえるんじゃないかな？

ミリヤ：それをわかってもらえるだけで、私はうれしい。

美嘉：そこで初めて私とミリヤちゃんが報われるよね。

――なるほど、「Gift」は「Fighter」を聴いた人たちへのギフトでもあるんですね。

美嘉：誰がそんなうまいことを言えと（笑）。

ミリヤ：ふふっ、まとめてきましたね。

美嘉：でも、今回の共演で次につながるビジョンも浮かんだし、久しぶりに自分自身を褒めてあげたい気分。

ミリヤ：美嘉ちゃんの（インタビューの）回答が、私が言おうとしていることを話してくれるから、あまりインタビューで話すことがないんです。でも、私もそんな感じ、自分自身をまた受け入れられたような気がします。