THE YELLOW MONKEY、UVERworld、GLAYのアイテムも 音楽業界に新風を吹かせる「Fanpla Market」の試みに注目

音楽業界に新風吹かせる「Fanpla Market」

 コロナ禍以降の音楽業界は、文字通り一変したといってもいいだろう。最も直接的な影響を受けたライブシーンは、オンラインライブの技術が急速に発展。2025年現在、再び現場回帰の流れが生まれているものの、同技術の発展はバーチャルタレントたちのライブに活用されているほか、大規模会場での有観客ライブに参加できないユーザーに対して、高クオリティの配信を届けることのできる環境へと進化した。

 音源のリリースに関しても、2010年代後半に日本上陸を果たしたことで普及が始まっていたストリーミングサービスの勢いが加速。いまやこれらのサービスがないリスナー生活は考えられないくらいの世の中になった。

 そうして気軽にアクセスでき、簡単に音楽エンターテインメントを観たり聴いたりできる環境は、受け手が極めて多くの選択肢を持つことができるという意味で非常に恵まれているといえる。だが、ひとたび裏を返せばCDが1枚売れることとストリーミングで1回再生されることの単価は大幅に違うし、ライブのチケットは現地での物販の売り上げも加味した価格設定だったりもする。一言でいえば、ユーザーが受ける恩恵とアーティストが受ける恩恵のバランスが取れているとは言いづらいわけだ。

 さらに、ファンも応援の形が多様化したことでどの選択肢を選ぶのがアーティストのためになるのかが分かりづらくなっているのも2025年現在ならではの課題といえるだろう。

 これらの状況を踏まえて再び隆盛しているのが「ファンコミュニティープラットフォーム」だ。かつては限定イベントやチケットの先行販売に活用されることが多かったファンクラブがさらに発展し、会員限定の活動や配信、相互交流といったものが一つのプラットフォームで完結できるようになっているほか、アーティスト側にとっても独自のカスタマイズや自分たちに合った運用方法を選ぶことができるなど、メリットは枚挙に暇がない。

  リアルサウンドテックでは、「ファンコミュニティープラットフォーム」の進化やその可能性について、テクノロジーの部分にフォーカスして論じておくとしよう。先述したコロナ禍以降、急速に普及した技術のなかで会員限定のサービス・システムと相性がいいものがひとつある。それが「Web3」だ。

 「Web3」はブロックチェーン、NFT、DAOなど、「非中央集権型のインターネット」を生み出すための技術を取り巻く概念であり、ファンコミュニティープラットフォームはそのあり方からしてDAOと非常に近しいものを感じる。さらにブロックチェーン技術やNFTはデジタル上のアイテムに固有性を持たせて真贋を判断することが可能となり、人から人へと渡った履歴も残るため、チケットの不正転売を防げたりもするのだ。

 Web3の技術を、音楽業界にとって良い影響を与える形で活用しようという試みはこれまでも少なくないが、どうしても投機的な対象として見られてしまうことでうまく浸透してこなかったのも事実だ。

 ただ、今回、株式会社Fanplaと、協業パートナーである株式会社Fanplusがオープンするデジタルアセットやプレミアムチケットなどを購入できるマーケットプレイス「Fanpla Market」と、そこで使うことができるCoincheckでIEOを実施した暗号資産「FPLトークン」は、その課題に真っ向から向き合い、解決を実現するための提案を行ってくれている。

 たとえば、Fanpla社は従来の「一方的な消費」モデルからの脱却や、FPLトークンを通じて「応援が価値となり、新たな体験として還元される」経済圏の形成を目標としているのだが、このビジョンを実現可能にするのが、協業パートナーであるFanplus社と共に構築した、ファンクラブ・チケット発券・一次販売インフラ・ブロックチェーン技術を活用した公式リセール市場を統合することによって生まれる「音楽業界における一気通貫のエコシステム」だ。

 このエコシステムを論じる前段として、Fanplus社には700以上のアーティスト公式ファンクラブを運営してきた実績や、400万人を超える有料会員を抱えているという実数があることを記しておきたい。後述するエコシステムが机上の空論ではないという証左になるからだ。

 このエコシステムによって解決する課題は大きく2つ。「チケットの不正転売」「アーティストへの収益還元不足」だ。

 「チケットの不正転売」については、チケットがNFT(非代替性トークン)として発行されることで、発行元、所有者、取引履歴がブロックチェーン上に完全に記録され、その来歴を追跡することが可能となり、悪質な不正転売を根本的に防ぐことができる。

 「アーティストへの収益還元不足」については、公式リセール市場において、価格上限の制御を前提としつつ、ユーザーが自由に価格決定に参加できるユーザープライシングを導入。これにより、転売を目的とした不当な高額価格や非正規取引を技術的に排除しつつ、チケットが再販される際の収益の一部がスマートコントラクトを通じて自動的にアーティスト側へ還元される仕組みを構築。その結果、アーティストは二次流通市場からも持続的な収益源を確保し、創作活動の資金源を確保できるため、これまでにない形での収益を得ることができるのだ。

 実はこれらのテクノロジーは、様々なプラットフォームでも部分的に検討・実装されてきた。ただ、定着に至らなかったのはシステムの煩雑さやWeb3ならではともいえるウォレットなどの取り扱いに関する抵抗感があったからだ。

 そこでFanpla社はデジタル資産インフラプロバイダーであるFireblocks社と連携し、日本初となる組み込み型ウォレットを導入。ユーザーは、既存のファンクラブID(Plus member ID)で新たにパスワードを設定するだけでウォレットが作成され、秘密鍵はFireblocksのMPC技術によりユーザーとの間で安全に管理される。さらに、メタトランザクション技術を導入することでユーザーはガス代(ネットワーク手数料)を意識することなくアイテム購入や投票などのユーティリティの利用が可能となる。

 この「摩擦ゼロ」のユーザー体験は、Web3の技術をマニア層だけでなく、400万人超の既存のファン層に浸透させることができるだろう。

 さらに、先述したあらゆる技術や機能が統合されるメリットはユーザー・ファン側にも存在する。それは「ファンの熱量」が可視化され、そのまま還元されることだ。

 チケット購入履歴やイベント参加履歴といったファン活動がブロックチェーン上に記録されることで、長年の「応援」の軌跡が可視化される。これにより、過去に複数回ライブに参加した熱心なファンに対し、貢献度に応じた新しい体験設計が可能となることを示すなど、継続的な活動価値の訴求が可能となる。ファンは、自身の熱量が単なる消費ではなく、アーティストの活動を支え、新しい体験として報われることを実感できるのである。ここでFPLトークンが、その熱量を可視化・共有し、未来につなぐ「共創の通貨」として機能するわけだ。

 Fanpla社の展開は、既存のアセットやFanplus社の会員基盤を活用したアプローチにとどまらない。2026年前半には英語圏を中心としたグローバル展開を計画しているほか、ステーキング機能の導入、アーティスト・トレジャリー制度、グローバルなトークンユーティリティの拡充などを中長期的なロードマップとして検討しているという。

 日本のアーティストが世界中のファンと直接つながり、海外のアーティストも日本のファンにリーチできる、双方向のグローバルプラットフォームとしての役割になることも、そう遠くない未来の話だろう。

 なお、「Fanpla Market」は11月11日のオープンを予定しており、第一弾としてTHE YELLOW MONKEY、UVERworld、GLAYなどの人気アーティストの限定アイテムを取り扱う予定。アーティストとファンが共創して支え合っていく“新たな応援の形”を、最前列で目撃してみては。

■サービス概要


『Fanpla Market』
ローンチ日:2025年11月11日12:00
※Fanplaプロジェクトページよりアクセスしてください。

・Fanplaプロジェクトページ:https://project.fanpla.co.jp/
・初期パートナー事務所と主な所属アーティスト:https://fanplus.co.jp/news/detail/674
・ホワイトペーパー:https://project.fanpla.co.jp/whitepaper/

■その他スケジュール
2025年11月11日12:00:Coincheck取引所および販売所(※)において、Fanpla(FPL)の取扱い開始
※Coincheck販売所における取扱いは、Coincheck取引所に十分な流動性があることを確認できた後に開始いたします。
詳細については、Coincheck公式サイトをご確認ください。

・Coincheck 公式サイト(Fanpla(FPL)購入ページ):https://coincheck.com/ja/projects/fpl

■Fanpla(FPL)について


Fanpla(FPL)はポリゴンブロックチェーン上で発行される暗号資産です。
2025年11月にCoincheckでIEO(Initial Exchange Offering)を実施し、11月11日12:00にローンチされる「Fanpla Market」にてデジタルアセットの購入やチケット購入などに使用することができます。
Fanpla(FPL)の詳細については、以下のCoincheck 公式サイト、ホワイトペーパーをご確認ください。

・Coincheck 公式サイト(Fanpla(FPL)購入ページ):https://coincheck.com/ja/ieo/projects/fpl
・Fanplaプロジェクトページ:https://project.fanpla.co.jp/
・ホワイトペーパー:https://project.fanpla.co.jp/whitepaper/

■会社情報
【株式会社Fanplaについて】
会社名 : 株式会社Fanpla
所在地 : 東京都渋谷区桜丘町22-20
代表者 : 代表取締役 平井 威充
設立 : 2006年6月
事業概要:ブロックチェーンを用いたサービスの企画、開発、運営、アプリケーションの開発、WEBサイトの制作、運用及び保守、イベント支援事業、チケット及び電子チケット関連業務、映像コンテンツの制作
URL: https://corp.fanpla.co.jp/

【株式会社Fanplusについて】
会社名:株式会社Fanplus
所在地:東京都渋谷区渋谷3-12-18 渋谷南東急ビル 9階
代表者:代表取締役 佐藤 元
設立:2007年3月
事業概要:ファンサイト・ファンクラブの企画・開発・運営、アーティストグッズオンライン販売システムの開発・運営、音楽メディアの企画・運営
URL:https://fanplus.co.jp/

【コインチェック株式会社について】
会社名:コインチェック株式会社
所在地:東京都渋谷区桜丘町1番4号 渋谷サクラステージ SHIBUYAサイド27階
代表者:代表取締役 蓮尾 聡
設立:2012年8月28日
暗号資産交換業登録:関東財務局長 第00014号
コインチェック株式会社コーポレートサイト:https://corporate.coincheck.com/

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