このグリップが体験をアツくする ASUSとXboxのコラボで生まれた究極のポータブルゲーミングPC

ASUSから携帯型のゲーミングPC『ROG Xbox Ally』シリーズが発表された。2023年から始まった『ASUS ROG Ally』シリーズの最新機種となる。
今機種の特徴として、Xboxブランドを有するMicrosoftとの共同開発が挙げられる。OSレベルから協業することで、競合ひしめくポータブルゲーミングPC市場のなかでも頭一つ分抜けた操作性・快適性を打ち出してきたというわけだ。
また、デザインについても従来シリーズから大きく変わっている。発表会にて実際に試遊することができたので、そのルックを見ていこう。
まるでコンシューマーのコントローラーのよう
前提として、本機『ROG Xbox Ally』シリーズはXboxと名がついているが、Xbox Series X|Sのアカウントと共通化できたり、あるいはXboxコンソール専用ゲームをプレイできるものではない。ここで名乗っているXboxはMicrosoftのゲームブランドファミリーの称号であることに留意してほしい。

登場したモデルは2種類。上位機種となるのは、こちらの『ROG Xbox Ally X』。色はブラック。上位機種だけありRAMは24GB、ストレージ容量は1TB。

廉価モデルとして、末尾にXの付かない『ROG Xbox Ally』も登場。こちらのRAMは16GB、ストレージ容量は512GB。色はホワイトで、カラフルなABXYボタンも特徴。

初代ROG Ally、2代目ROG Allyと共に展示。初代と2代目は同じデザインだが、今回の『ROG Xbox Ally』シリーズでは大きく変化している。

特に異なるのがグリップ部分だ。左の2代目モデルと見比べると、かなり大ぶりになっている。実はこの形状は、Xboxのゲームコントローラーに寄せたものだそう。

写真左に見えるのは、ASUSのワイヤレスゲームコントローラー『ROG Raikiri Pro』。RaikiriはXboxの純正コントローラーに似たグリップ感が評価されているが、『ROG Xbox Ally』のグリップにもそのエッセンスが宿っている。

それぞれのデバイスを握ってみると、持ち心地はかなり近い。限りなくコントローラーに近い操作性でプレイできる携帯ゲーム機、それが『ROG Xbox Ally』の魅力だ。
Xboxとの協業で生まれた様々なアイデア

ここからはハードウェア面において、XboxとASUSのコラボレーションがどう影響しているのかを見ていこう。従来機にはなかったXboxボタンは、共同開発の象徴といえるだろう。

このボタンを長押しすると、WindowsのAlt+Tab(MacにおいてCmd+Tab)に似た挙動で、起動中のアプリを移動できる。そもそものOSもWindows 11 Homeをベースにカスタムしたものが採用されており、統合ゲームライブラリや専用フルスクリーンモードなどが搭載されている。
いわば、WindowsがベースではあるがXboxでの体験を優先した設計になっているわけだ。電源を入れるとデスクトップではなくゲームライブラリが先に起動するため、WIndows体験をスルーしてゲームにアクセスすることも可能。従来機は「携帯ゲーム機にWIndowsを入れたかたち」であったのに対して、本機は携帯ゲーム機としての体験が強く優先されていると感じた。操作性やリソース管理においても改善していると言えるだろう。

ゲームプレイも非常に快適で、『FINAL FANTASY VII』はカクつくことなく快適に動作していた。ディスプレイ性能は従来機から変更はなく、7.0インチのHFD、リフレッシュレート120Hzというスペックだ。
ただし、プロセッサーは大きく改善し、モデル間の差はより広がっている。こちらの図表を見てほしい。

コスパに優れた『ROG Xbox Ally』はAMD Ryzen Z2 Aプロセッサーを、上位モデルとなる『ROG Xbox Ally X』はAMD Ryzen AI Z2 Extremeプロセッサーを採用している。それぞれ図の最下部と、最上部に位置するプロセッサーだ。
どちらも従来機のZ1世代からZ2世代へとアップデートしているが、それぞれのピンキリ具合もより広がった。特にAMD Ryzen AI Z2 Extremeは50TOPSの高いAI処理能力を備えており、携帯PCながら高い性能が期待できそうだ。
充実の周辺機器で遊び方はさらに広がる

本機は持ち出して遊べる携帯ゲームだが、自宅で遊ぶならPCに繋いで母艦のように使いたいといったニーズもあるだろう。高性能な『ROG Xbox Ally X』を選ぶユーザーなら、そういった要望の強いはずだ。

そんな場面で便利なのが、新発売の周辺機器『ROG Bulwark Dock DG300』だ。これは『ROG Xbox Ally』を支えるスタンド兼USBハブのようなデバイス。

折り畳めるキックスタンドと、多数のインターフェースを備えている。本機への入力は最大140Wとかなりパワフルだ。

その豊富な電力を、『ROG Xbox Ally』の充電と映像出力、コントローラーやキーボードのドングル、マイクやスピーカーの接続など、様々な周辺機器に割り振ることができる。配線が裏側に来るため見た目もスマートで、『ROG Xbox Ally』を自宅で遊び倒したい人にとってベストなパートナーになりそうだ。

逆に『ROG Xbox Ally』を持ち歩くことが多いなら、『ROG Xbox Ally (2-in-1) Premium Case』で安全かつ便利に持ち運ぶのもヨシ。ケース内にはキックスタンドが内蔵されており、写真右上のように『ROG Xbox Ally』を自立させることができる。ケース背面には取り外し可能なポーチも付属する。
さらに快適になったポータブルゲーミング体験

カスタマイズされた専用OSという、WIndows搭載携帯ゲーム機の弱点がついに克服された。また、ゲームコントローラーの握り心地を携帯ゲーム機にも宿したことで、ソフトとハード両面からゲーム体験が改善されている。
個人的にはラインナップの棲み分けにも関心している。ゲームによっては高い処理性能が求められないタイトルもあり、そういったカジュアル層にはコスパに優れた『ROG Xbox Ally』が選びやすそうだ。逆に、AAAタイトルもプレイ対象ならば『ROG Xbox Ally X』が選ばれるだろう。
新たなステージに入った『ROG Xbox Ally』シリーズは、ポータブルゲーミング市場において強い存在感を示すはずだ。これを受けて他メーカーも追随してくるだろうし、ポータブルPCの市場はこれからも盛り上がってくるだろう。






















