ReGLOSS・火威青が5年以上ハマり続ける“VRChatの世界” 「クリエイターさんにもスポットライトを」
現在、世のVTuberたちはさまざまな場所に活躍の場を広げているが、『VRChat(以下、VRC)』のようなメタバースで定常的な活動をするタレントはまだまだ少ない、というのが現状だ。そんななかで、とある人気タレントが「VTuber」と「メタバース」の好相性を発信したことで、注目を集めている。ホロライブプロダクションのグループ・hololive DEV_IS内のユニット・ReGLOSSに所属するVTuber・火威青(ひおどし あお)だ。
甘いマスクにハスキーな声色でリスナーをとりこにする彼女だが、じつは『VRC』歴5年以上というベテランユーザー。自身の3Dモデルのお披露目にも『VRC』を活用し、その後も『VRC』内からの発信を積極的におこなっている。
今回は、そんな火威青にインタビューを実施。ホロライブの先輩が『VRC』へやってくると聞けばサポートをおこない、3Dモデラーを筆頭にクリエイターへのリスペクトも強い彼女が思う、『VRC』の魅力とは? 自身と『VRC』との関わりから、挑戦したい企画、歴代のVR機材の使用感まで、専門用語が飛び交うディープなインタビューとなった。
後編では、ホロライブ内でふたたび広まりつつある『VRC』活用の現状や、使用している製品まで話を聞いた。
火威青(ひおどし あお)
「可愛い女の子かと思った?じゃじゃーん!青くんでした。hololive DEV_IS ReGLOSSのボーイッシュ担当、火威青です!」
孤独を愛する、と周囲から思われている漫画家。クールを装っているが、その内側にはかなりのオタクを隠している。自分がどう見られているのかを注意しており、外でちゃんとした格好をしているのもその影響。家での様子はなかなか人に伝えられるものではない。
公式X:https://x.com/hiodoshiao
YouTube:https://www.youtube.com/@HiodoshiAo
ホロライブと『VRC』をつなぐ火威青
――ホロライブプロダクション全体でいうと、ホロライブ Englishの方々は早い段階から『VRC』を活用していましたよね。先日活動を終了されてしまいましたが、ワトソン・アメリアさんが水族館のワールドを作ったりもされてましたね。デビュー前からその辺りの活動もチェックしていましたか?
火威:もちろんですよ。アメリアさんのワールドも、出来てすぐに配信で行きました。デビュー前から、ホロライブの香りがする場所は結構行っていましたね。
――先日開催されていた、ハロウィンの大型コラボ企画は凄まじいものがありましたね。
火威:みんなミニキャラだったので、ずっとかがんでいて腰が痛かったです(笑)。けど、楽しかったなあ。
――『VRC』上でみなさんとコラボをしたのは初めてのことだったと思いますが、知り合いがいる空間で動いた感想はいかがでしたか? 視聴者目線では、たびたび操作方法を教える姿を見て、おもわず“青先生”と呼びたくなる空気でしたが。
火威:2つあって、まずひとつは、とにかくうれしかった。みんなが「これってどうやるの?」と聞いてきてくれましたね。
やっぱり、知らない人が『VRC』に対して腰が重くなる理由って、難しそうだからだと思うんです。なので、いつでも相談に乗りますとお伝えして、“ホロメンサポートセンター”をやっております(笑)。
もう既に「こういうことできるの?」とか「何の機材買ったらいいの?」とか聞いてくれる人もいるんですよ。それこそ、クマリンちゃん、宝鐘マリン先輩のサポートもしましたしね。楽しかったなあ……。もう、いつでも聞いてほしいです。わかんないこと全部答えられる自信がありますから。
もうひとつは、自分だけ「フルボディトラッキング(頭・両手にくわえて足や胸、腰にセンサーを取り付けてアバターを動かすこと。通称:フルトラ)」を使っていて、みんな足が動かない中でひとり足を動かして回っていたので、ちょっとだけ気分が良かったですね(笑)。
――「フルトラ」を使っている人とそうではない人では、動きの幅が全然違いますもんね。『VRC』を始めた人はみんな一度は「フルトラ」に憧れますよね。
火威:実際、周りからは「えっ、いいなー! そっちの方がいいじゃん!」とも言われました(笑)。やっぱり、ただ雑談をするだけでも、全身で動けた方がより感情が伝わりますからね。今後、縦型配信を『VRC』からやっていきたいと思っているんです。スマホで見ている時に全身が動いていたら、めちゃめちゃいいじゃないですか。せっかく、素敵なお部屋も有能最強スーパースタッフさんに用意していただいたので!
ーーお詳しい方がスタッフにもいらっしゃるんですね!
火威:マジで優秀な方で助かっています。「これがやりたい」って言ったら、その200パーセントの返答がくるようなスタッフさんなんです。ポッキーゲーム配信をしたときも口にポッキーをつけてくれて、簡単にポッキーのオンオフができるようにまでしてくれました(笑)。
――先輩たちのVR活用でいうと、真横で一緒にライブを観られる『Cinderella switch』などもありましたね。
火威:あれは最高ですね。オーディションの段階から「僕もあれをやりたい!」って言っています。なんなら、あの形が1番やりたいかもしれない。「横でコールやらせてくれー!」って(笑)。
あと宝鐘マリン先輩が『バーチャルキャスト』でやっていたグリーティングみたいな企画は、僕もやりたいです。気軽に実現可能な範囲でいうと、VR空間上にフォトスポットみたいな場所を作るとか、VRで入ると青くんの隣に座れるとか……。モデルを置いておけばできるじゃないですか。どうしてもやりたい。もうなるべく早めにやりたい。
(※編注:この取材の後、VR展示会『バーチャルマーケット2024 Winter』で火威青のブース出展が発表。無事、フォトスポットが併設された)
――『VRC』以外のプラットフォームも使われていたんですね。
火威:『VRC』以外だと『cluster』とか『バーチャルキャスト』とかも使っていましたよ。
バーチャルキャストは『VRC』と少し物理演算の動きが違っていて、身体の揺れ物などが『VRC』よりもよく動いたんですよ。あとスイッチング式のカメラがめちゃめちゃ使いやすかったので、自分の作ったモデルを友達に見せるために使ってましたね。
『cluster』は、ちょっとした思い出があって。2021年ごろに、とあるゲームのイベントが『cluster』で開催されていたんですが、周囲の人がスマートフォンから入っているなか、自分はVRで入っていたんです。そうしたら、僕だけ腕とかが動かせたものだから、なにかパフォーマンスが始まったんだと勘違いされて(笑)。周りに集まってくる人たちに大慌てしながら「違うんです、VRで入っているだけなんです」って身振り手振りで伝える……みたいな出来事がありました(笑)。
――「この人、動くぞ! キャストか!?」みたいな(笑)。2021年当時は特に、『cluster』へVRで入ってくる人は珍しかったかもしれないですね。
火威:もう、ほとんどみんなスマホでしたからね。しかも、集まっていたのが普段『cluster』で遊んでいる人じゃなくて、そのゲームのファンだったので、余計にスマホ率が高くて。でも、人が集まってきたのは、ちょっと気分が良かったです……(笑)。
――『VRC』も2019年ごろから比べると、一気に使いやすくなっていますよね。
火威:VTuber的な視点だと、カメラで写真を透過素材にできたりするのが面白いんですよ。この間のコラボのとき、先輩方を勝手に撮影して、透過素材にして遊んでいました。アーニャ先輩(アーニャ・メルフィッサ)に「これ、明日のサムネにどうぞ」って言って送ったら「なんで透過素材持ってるの!?」って驚かれました(笑)。画質も4Kとか8Kとかにできますからね。
ーーなんというか、フルトラ機材まで揃えていたり、歴代「Quest」を所有していたり、そもそもテクノロジーがお好きなのでしょうか?
火威:別にめちゃめちゃ詳しいわけじゃないんですけど、技術の進化を見るのはめちゃめちゃ楽しいし、好きですね。「Quest」でいえば、これはパンケーキレンズなんだーとか、この機器からはすごいクオリティが上がってるから画質が違うんだーみたいなのを聞くとすぐに「買います!」ってなるタイプです(笑)。なので、歴代の「Quest」はすべて持っているとお伝えしたとおり、新しいモデルが出るたびに買っていますよ。
――今使っているVRヘッドセットは『Meta Quest 3』とのことですが、使用感はいかがですか?
火威:単体で『VRC』もプレイできるし、パソコンに繋げばさらに体験のクオリティを上げられるので、万人にお勧めしやすいモデルだと思います。僕は女の子にしかお勧めしないので、「見た目が可愛いからインテリアに置いてもいいんだよ」と言っていたりもします(笑)。
――可愛いと感じるポイントをぜひお聞きしたいです。
火威:まず、白くて丸いことです。なんやかんや、女の子のVRへのハードルって、部屋に置いて可愛いかどうかだと思うんですよ。「お部屋に置くと景観が崩れるから買わない」っていう人、いっぱいいると思う。だって、女の子って色々な機械を可愛くするために、みんなケースとかカバーを変えたりするじゃないですか。そこで、真っ白で見た目が可愛いっていうのはいいですよね。今はまだ白か黒しかないですけど、水色とかピンクの本体が出たらそれだけで買う人もいると思いますよ。というか、僕も欲しいです。水色が出たら買いますよ!
――以前の配信で「HMDとコラボしたい」ということもおっしゃっていましたね。
火威:いつかやりたいですね。キーボードとかパソコンとかでコラボされている方はいますけど、HMDはこれまでいなかったと思うので。なんなら、HMDのカバーとか、ゴムバンドの色が水色にできるとかでも……!
――「フルトラ」機材には『HaritoraX ワイヤレス』を使っているということですが、こちらの使用感はいかがですか?
火威:「Haritora」は「新しく『Haritora』シリーズが出ますよ」って話題が出た時から「絶対買う」と決めていて、発売されてすぐに買いました。それ以来ずっと愛用しているんですけど、『Haritora X ワイヤレス』は使うのが簡単でいいですね。その前に発売された有線モデルももちろん使っていましたが、体中にマジックテープを着けながら使っていたので……(笑)。