『NINJA GAIDEN 4』“高難度×スタイリッシュ”両取りアクションとして復権か 先行プレイで味わった至高の爽快感

2025年1月に配信されたXboxの「Developer_Direct」でサプライズ発表された『NINJA GAIDEN 4』。今では「仁王」シリーズを筆頭に、国内有数のアクションゲームチームとして知られるようになったコーエーテクモゲームスのTeam Ninjaにとって、(「デッド・オア・アライブ」シリーズと並ぶ)原点とも言える3Dアクションゲームシリーズの最新作である。
「NINJA GAIDEN」といえば、名作と名高く、『4』の発表と同時にリメイク版(『NINJA GAIDEN 2 Black』)がリリースされた2008年の『NINJA GAIDEN 2』を筆頭に、高難易度スタイリッシュアクションの金字塔として知られている。多様なアクションやコンボを駆使して、容赦なく大量に襲いかかってくる敵を血祭りにあげていく同シリーズは、「プレイヤー側のアクションの習熟によって高難易度を華麗に突破する」という、歯ごたえと爽快感に満ちた体験によって多くの中毒者を生み出していた。
だからこそ、『NINJA GAIDEN 4』の発表は、アクションゲーム好きにとってはこれ以上ないほどの朗報なのだが、とはいえ「手放しで大興奮」というよりは、ある程度の不安を抱かせるものでもあったというのが実情だろう。というのも、13年前にリリースされた前作(『NINJA GAIDEN 3』)は、後のバージョンアップ版(『NINJA GAIDEN 3: Razor's Edge』)である程度改善されたとはいえ、過去作から簡略化されたアクションやバランス調整の悪さから、シリーズファンを中心に多くの失望を招いた作品として知られている。(スピンオフやリマスターを除いて)同作を最後に長らく新作がリリースされてこなかったことからも、過去の失敗が大きな足枷になっていたのは容易に推測できる。
さらに、「NINJA GAIDEN」シリーズが停止状態だった期間における「高難易度スタイリッシュアクションゲーム」の流れを振り返ると、最新作を取り巻く状況はさらに興味深い。ざっくりとまとめると、近年の同ジャンルの流れは『DARK SOULS』(2011年)を中心としたソウルライク的「高難易度アクション」と、「ベヨネッタ」シリーズ(2009年~)や『Devil May Cry 5』(2019年)のような「スタイリッシュアクション」に二分され、「高難易度アクション=ゲームプレイ自体はシンプルで、何度も死にながらパターンを覚えたり、ステータスを上げることでゲームクリアへと向かう」と、「スタイリッシュアクション=ゲームクリア自体はそこまで難しいものではないが、アクションを極めることでより高度なゲームプレイを実現できる」という、それぞれの要素に特化する流れを歩んできたのである。何より、他ならぬTeam Ninja自身が「仁王」シリーズ(2017年~)や『Rise of the Ronin』(2024年)といった死にゲーを通して、前者の方向性を突き詰め、確かな支持を集めてきたのである。

逆に言えば、「NINJA GAIDEN」のような「高難易度(=瞬発力と思考を要求する戦略性)」と「スタイリッシュ(=奥深いアクションメカニクス)」を両立した作品はこの数年でほとんど登場しておらず、だからこそ多くのアクションゲーム好きが「NINJA GAIDEN」の復活を切望していたとも言える。それは、プレイヤーのニーズの変化の現れと考えることもできるだろう。「高難易度アクション」が「ソウルライク」と同義のように語られる現代を生きる若いゲーマーにとって、「13年ぶりのシリーズ最新作」が与える印象は、まったくもって未知数だ。

こうした流れを踏まえると、『NINJA GAIDEN 4』の制作体制が「監修:Team Ninja/開発:プラチナゲームズ」という、まさに現代を代表する「高難易度アクションの作り手」と「スタイリッシュアクションの作り手」によるチーム編成となったのは、サプライズどころか必然だったとも言えるのかもしれない。
では、その結果はどうなったのだろうか? 今回、筆者は『NINJA GAIDEN 4』の先行プレビューをプレイする機会に恵まれたのだが、全体の印象としては、「シリーズの骨格は『2』をベースにキープしつつ、現代的なスタイリッシュアクションとして「NINJA GAIDEN」を再定義している」ように感じられた。これは少なくとも個人的には好感の持てるもので、おびただしい量の血を浴びながらハイスピードで大量の敵の四肢をバッサバッサと切り落とす爽快感や、怪しく光る荒廃した(「NINJA GAIDEN」式の)東京を軽やかに駆け抜けていく体験にすっかり魅了されてしまった。

プレビューの範囲は、(チュートリアルを兼ねた)プロローグと最初のステージに加え、ボスとの再戦(ここでしか遊べないボスもいた)やステージリプレイが揃ったもの。(ステージ内のサブクエがあるため一概には言えないが)最初のステージのボリュームは30分~45分程度で、しっかりとした遊びごたえを感じられるものだ。また、今回のプレビューではXbox Series X版を使用したのだが、プレイ中にフレームレートが乱れたり、バグに遭遇するような場面がなかったことは強調しておこう。
今回のプレビューの本編に相当するプロローグと最初のステージは、新主人公のヤクモを操作するパートとなっており、過去作の主役を飾ってきたリュウ・ハヤブサはボスとの再戦とステージリプレイでのみ操作することができるようになっていた(そのため、本稿ではヤクモに特化してまとめていく)。リュウが(いかにも旧テクモらしい)男性的でガッチリとしたスタイルなのに対して、ヤクモは細マッチョ&ミステリアスな雰囲気を纏ったいかにも現代的なイケメンである(どこか「メタルギアソリッド」の雷電を彷彿とさせなくもない)。ルックが示すように見た目も俊敏で、コントローラーに吸い付くかのような直感的な操作も相まって、ただ動かしているだけでも十分に気持ち良い。


また、ステージの舞台となる東京は、青をベースカラーに、赤のアクセントを入れた、いかにも映画『ブレードランナー』や「攻殻機動隊」のようなサイバーパンク的な意匠で描かれており、降り注ぐ雨が荒廃したムードをさらに強調する。そうした世界をウォールランやグラップリングフックを駆使して駆け抜け、目の前に立ちはだかる敵を刀で鮮血とともに切り落としていく光景は、(「NINJA GAIDEN」の魅力を現代に受け継いだ側面のある)「Ghostrunner」シリーズとも共振するであろう、突き抜けたクールさがある。
こうしたメカニクスは過去作にも見られたものだが、(当時のカメラワークも相まって)『2 Black』をプレイした際に感じたような移動周りの若干のストレスはしっかりと解消されており、「思っていたのと違う!」とフラストレーションを抱えるような場面は、今回のプレビューではなかったように思う。行き先についても、今ではすっかりお馴染みとなった黄色いペンキが導線を示しているため、迷うことはない(とはいえ、人によっては好まないケースもあるため、オン/オフのオプションがあっても良いかもしれない)。
黄色いペンキを筆頭に、『NINJA GAIDEN 4』は本作で初めてシリーズに触れる人でも気軽に楽しめるように、豊富な難易度設定に加えて、オートガードやオート回避といったアシストオプションが個別に設定できるようになっている。過去作ではイージーモードの使用に際して屈辱的とも言える演出が仕込まれていたことを踏まえると、ホッと胸を撫で下ろす思いだ。
とはいえ、「簡単」かというと決してそんなことはない。筆者は通常の難易度でプレイしていたのだが、大量に襲いかかってくる敵に対して、的確に状況を判断して捌かなければ瞬く間にゲームオーバーへと向かっていくスリリングなバランスに仕上がっている。ただ闇雲に斬り続けるだけでは追い込まれる一方であり、だからこそ『2』でも絶大なインパクトを放っていた「欠損→滅却」(敵を攻撃すると身体の一部が吹き飛び、その状態で強攻撃を仕掛けると専用の演出とともに一撃で即死する)のコンボは重要だ。敵勢を前に最初は圧倒されるしかなかったところを、少しずつ操作感を掴み、やがて凄まじい量の血のシャワーを放出しながら敵を次々と切り刻めるようになっていく。『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』にグロテスクなステロイドをブチ込んだかのような凄まじい演出も相まって、その爽快感は「至高」の一言に尽きる。操作性に関してはスムーズの一言で、プレイを重ねるほどにコンボや空間移動の直感性が増していくかのような感覚は「これぞスタイリッシュアクション」と言うべき快適さだ。

このように単体としては手放しで絶賛したい仕上がりなのだが、一方で、少しずつ「とある違和感」を抱いていたことにも触れておきたい。それは、端的に言うと「プラチナゲームズすぎるかも」という感覚で、動きの軽快さやスタイリッシュさはもちろん、次々と派生していくアクションや、ジャスト回避時演出など、随所に「ベヨネッタ」などのプラチナゲームズ作品の影響を強く感じさせるのだ。プラチナゲームズが開発しているのだから当然といえば当然なのだが、過去作に思い入れの強い人ほど、その違いが気になってしまう可能性は高いかもしれない。

だが、思えば「『NINJA GAIDEN』の開発をプラチナゲームズに任せる」という決断自体が、冒頭で書いたような状況に対する打開策であったことは想像に難くない。キャラクターデザインから背景、アクションの手触りや一つひとつの演出に至るまで徹底的にスタイリッシュを突き詰めたプレビューの仕上がりは、10年以上にわたってナンバリング新作が出ていなかったシリーズを、現代のゲームと並べても遜色ない華やかな作品として見事に蘇らせたという期待を抱かせてくれる。その上で、あくまでベースは『2』であることや、絶妙なバランスの難易度からはTeam NinjaのDNAを確かに感じられるし、豊富な難易度設定などのユーザーフレンドリーな仕様を通して、「高難易度スタイリッシュアクション」としての間口を広げているのも素晴らしい。

このように、プレビューの印象は、発表当時に抱いた不安を払拭するには十分なものだった。あとは、これが最初だけではなくゲーム全体に貫かれており、ただひたすらにアクションを極める日々が待っていることを願うのみである。
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