改めて問う、“モテ”とはなんなのか? 『ラブパワーキングダム~恋愛強者選挙~』を見終えて感じたこと

『ラブパワーキングダム』を振り返る

あかねの涙、ひろやすの一途さ……王座に座るには、あとなにが必要だった?

 冗談はここまで。女子メンバーのハイライトは、再び真剣に“ピュア問題”に絡めて紹介したい。ショーダンサーのめるは序盤から「勝ち進むには、ちゃんと恋愛した方がいい」「恋愛ってさ(振る舞いに)差がつくじゃん。興味ある人とない人の。そうやって人間らしいところを出していった方が信ぴょう性があるから、ゲームには残りやすいかな」と、モテの本質に気づいていたのが印象深い。

 また、ここまで何度も名前が登場した、あかね。持ち前の“あざとさ”と、アナウンサーとして培ったのだろう“相手に喋らせて気持ちよくさせる力”を武器に、終盤まで牙城を築き上げていたのだが、最終日間近にして今度は逆にありに嫉妬し、涙を流す展開に。彼女もまた、真剣に恋と向き合っていたのだ。自身のSNSでは旅を終えて「本当に魅力的なのは「相手を楽しませるため」に使うあざとさ」だと、考えを改めた旨をポストしていた。める、あかね共にファイナリストには残ったのだが、その結果は……?

 けいいちの失恋もまた、象徴的な出来事だったと思う。姑息な受け取り方をされたかもしれないが、彼が掲げた「みんなの2番作戦」は、票集めをする上で当時は最適解に思えた。が、番組の神はしっかりと見ている。けいいちは結果、キングの座を逃し、自身が愛しためるにも最後の最後で振り向いてもらうことができなかった。なにも手に入れられなかった、と書くと語弊があるが、人を本当に好きになる気持ちを前に、戦略は勝てない。

 無論、反論もあるだろう。たとえば、途中で脱落したメンバーはまったくピュアではなかったのか? 答えは、違う。たしかに番組序盤にしてビジュアルなどの表面的な部分はモテと無関係で、けいしの手法のようにわかりやすいテクニックや八方美人な姿勢など、悪手を選んで脱落したメンバーもいる。しかしながら、全員がそうしていたわけではない。

 加えて、一途さの観点でいえば、人気YouTuber・えびじゃのひろやす(森山弘康)とまつげサロン経営者のあやか(中野綾香)の右に出るメンバーがいないのも事実。順に、Sサイズモデルのみさき(谷岡美沙紀)と会社経営者のゆうじ(山城裕司)を一途に追いかけたふたりは、“恋愛的な意味”で純度抜群のピュアさを誇っていた。ただ、忘れないでほしい。この番組の趣旨はあくまで、“モテ”の頂点を決めること。一途さを決めるわけではないし、両者には共通して、キング/クイーンになりたいという意志が、それほど強くは見られないように感じた。

 これは前述の脱落メンバーにも共通するほか、先日公開された参加者インタビューでも複数言及があったのだが、今回のバトルーーそれも終盤で王座を得るためには、友情票に活路があった。友情票と言わずとも、まっすぐな姿勢でキング/クイーンになりたいという意志を周囲にアピールし、応援したいと思ってもらえる人間性。このアピールをするタイミングもまた重要なのは言わずもがなだが、冒頭に記した“ピュアさ”という言葉の意味には、このあたりも含まれている。

『ラブパワーキングダム』いっせい&みほインタビュー モテの正解は「あざとく生きないこと」

2月19日に放送開始した、“ラブ&バトル”を繰り広げる恋愛リアリティショー『ラブパワーキングダム~恋愛強者選挙~』(以下:ラブキ…

『ラブパワーキングダム』ひろやす&みさきインタビュー 大事なのはキングの座より“自分らしさ”

2月19日に放送開始した、“ラブ&バトル”を繰り広げる恋愛リアリティショー『ラブパワーキングダム~恋愛強者選挙~』(以下:ラブキ…

「モテるって必要なくない?」 幸せに満ちた“ラスト10分間”を観て感じたこと

 目標は言葉にすれば叶うというが、これまさしく。恋愛はタイミングだというが、それもまた同様。ここまで記したような要素をすべてとは言わずとも、少しでも広くかき集めていたメンバーが、最終的にキング/クイーンとなっているのである。結果に納得できる以外、どんな選択肢があることだろうか。

【最終回】最強のモテ男女がついに決定...!そしてこの旅で出会ってしまった恋の行方は...?|ラブパワーキングダムアベマ全話配信中!

 みさきが3rdモテVOTEでの脱落時、こう語っていた。「モテるって必要なくない?」。実際、最終話のラスト10分間、全員の幸せな笑顔を眺めていると、本当にその通りだと思ってしまうかもしれない(この“ラスト10分間”の内容にピンと来なければ、やはり見逃し配信の視聴が必要だと思う)。とはいえそれは前述の通り、番組の本題から外れるものだし、あの時点ではまだモテとはなにかが抽象的で、その答えもまだベールの向こう側にうっすらと見えていたくらいだった。言い換えれば、今回の旅を乗り越えなければ、モテること=ピュアな自分でいること、だとは気づけなかったのである。

 紆余曲折。その間に笑いあり、照れあり、大胆な水着にキスシーンまでありと、ABEMA制作の恋リアらしい“陽キャ”ぶりが盛りだくさんだった、恋愛強者たちの旅。ときには目を血走らせながらモテを追いかけていたメンバーが、どんどんと毒気を抜かれていき、我々一般人と同じような思考に落ち着いていく様子ーーウソだと言われるかもしれないが、その姿に親近感を抱き始めてしまうのが不思議で仕方ならないのである。

 そしてあえて、誰がキング/クイーンになったのかには触れないでおいた。ガイドラインは引いたのだから、あとは読者各位がその線をなぞる形で楽しむだけ。単刀直入に。かつ、もう一度だけお願いしたい。『ラブパワーキングダム~恋愛強者選挙~』(ABEMA)を観てはくれないだろうか?

『ラブパワーキングダム』ひろやす&みさきインタビュー 大事なのはキングの座より“自分らしさ”

2月19日に放送開始した、“ラブ&バトル”を繰り広げる恋愛リアリティショー『ラブパワーキングダム~恋愛強者選挙~』(以下:ラブキ…

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