なぜ2024年にフィルムカメラの新製品が続々登場? 若者からも支持を集める理由とは
フィルムカメラが近年再注目されている。2000年代に急速に普及したデジタルカメラは利便性やコストパフォーマンスの面でフィルムカメラを圧倒、フィルムの市場は急速に衰退した。しかしフィルムカメラの"写り"をデジタルで完全に再現することは現代の技術を持ってしてもなお難しく、その独特の描写は未だに多くの人を惹き付けている。特に今年、2024年は相次いで新製品が登場しており、フィルム・ムーブメントは拡大を続ける。
相次ぐフィルムカメラの新発売
ここ数年、フィルムカメラの世界は静かな再興に揺れている。昨年欧州ではPolaroidの最新インスタントカメラ『Polaroid I-2』が発売され、今年は日本でもクラウドファンディングによる販売が始まっている。
今年のCP+ではLomography社(日本法人は株式会社ロモジャパン)が110フィルムを使用するカメラ『Lomomatic 110』を発表、3月より発売を開始した。同社は現在世界で唯一の110フィルムを製造しており、これに対応するカメラを自社で販売したという形だ。マルチコーティングされた23mmのガラスレンズを備えるなど、機構も本格派の110カメラである。
さらに7月12日、リコーイメージング社はペンタックスブランドの新製品『PENTAX 17』を発売した。ペンタックスにとっては20年ぶりとなる、フィルムカメラの新製品だ。ハーフサイズフォーマットのカメラであり、レンズは新開発の25mm(35ミリ判換算で約37mm相当)単焦点レンズ。ゾーンフォーカスのピント合わせや自動露出制御機構を備えるなど、カメラ初心者にも優しい設計が特長のカメラだ。
こうした潮流を支えるのは10~20代の若い世代の人々だという。若者の間でフィルムカメラが流行しており、これは日本だけでなく世界的な潮流となっている。『PENTAX 17』の開発においてはハーフ版の採用理由のひとつに「スマートフォンカメラの画角に似た縦の写真が撮れること」が挙げられており、メーカーもこのムーブメントを敏感にキャッチしていることがわかる。
ちなみに、フィルムカメラでの撮影を趣味とする30代の筆者もこの潮流を肌で感じている。フィルムの販売スペースを大きく取る写真店も増えており、中古カメラの価格もじわじわと上がっている。