古屋呂敏が持つ“俳優・モデル・フォトグラファー”の顔 「カメラが自分の好みを濾過して導いてくれる」
セルフポートレートから初公開となる愛猫まで貴重なカットが満載
ーー初のセルフプロデュースカレンダー「『Everyday Moments』supported by Nikon」が発売されました。こちらの制作はどのように進んでいったのでしょうか。
古屋:僕としては人を撮影するのが好きだからこそ、この企画が立ち上がったときはちょっと恥ずかしかったんです(笑)。ただ、欲しいと思ってくださる方がいるならやってみようと制作を始めました。撮影時には普段撮っているポートレートとは違ったものにしようと考えていました。
というのも、ポートレートにはどうしても自分の"キメ"があり、自分のInstagramを観ていても自分が好きな角度・表情で写っている写真がとても多く、それに慣れてしまったので今回のカレンダーではそこから一回離れようと思ったんです。ナチュラルに自分のプライベートな瞬間を写したり、自分が愛しいと思うネコの写真を多めに入れようと思いました。表紙のカットは一番古い友人に頼んで撮ってもらったもので、彼はカメラのことはまったく知らないんですが、『Nikon Zf』を渡して「ちょっと1回遊んでみてよ」といって撮ってもらいました。こういう仕事だとプロのカメラマンに撮影してもらうことが当たり前だからこそ、まったくカメラに興味のない友人が撮ったらどうなるんだろう?と思ったんです。
ーー撮影を経て、12枚のカットはどのように選びましたか?
古屋:写っているのも自分ですし、クールな感じではなく、大好きなネコが可愛く面白く写っている写真だったらいいなと。写っているネコは「ウイ」という名前で、僕のルーツであるハワイの言葉で「かわいい」という意味です。実は今まで、ネコの写真を世の中に出していなかったんです。理由としては、愛おしすぎてシェアしたくなかった(笑)。ただ、今回はそれを公開しようと考えました。『Nikon Zf』には「愛しさを形に」というコピーがあるのですが、それにもちょっと寄り添った、僕とネコとの日々が感じられるものにしようと思いました。
光の入り方にもこだわった自宅でのセルフポートレート
ーー自身で撮影するセルフポートレートスタイルの写真もありますか?
古屋:セルフタイマーを使ったセルフポートレートも撮影しました。自宅で撮影しているんですが、僕は家でも写真を撮れるようにしたかったので、家を借りるときに「ここにはこの時間帯にこういう光が入る」ということを計算して、内見で光を確認してから借りたんです。
ーーまさに自然光がしっかり当たった素晴らしいカットですが、自宅を借りるときにもこうした撮影のことを念頭に入れて家を選んだ、ということですか?
古屋:はい。仕事で”ブツ撮り”をすることも多いので、よくある賃貸の壁紙っぽい絶対嫌で、壁は白ホリゾントに近い色のモルタルで、ちゃんと光を回せるようにしています。光の具合も、どの時間帯が一番きれいなのかを内見して調べて入居しました。盲点だったのは季節によって光の入り方が変わるということで、冬は若干光が弱いんですが……。
ーーフォトグラファーらしいエピソードですね。焦点距離50mmのレンズを使用したカットが多いと感じましたが、理由はありますか?
古屋:初めて買ったレンズが標準域の単焦点レンズだったので、居間でも50mm付近の焦点距離を好んで使用することが多いです。50mm付近で見える世界が、好きなんでしょうね。ポートレートでよく使われる85mmも持ってはいるんですが、今回はほぼ50mmで撮影しています。
ーーすべてのカットが『Nikon Zf』で撮影されている本作ですが、もし古屋さんのファンの方が写真やカメラに興味を持って写真を始めるとしたら、お伝えできるメッセージや楽しみ方はありますか?
古屋:テクニカルな話をすると、初めて買うレンズにはズームレンズではなく単焦点の標準レンズを選んでほしいです。できれば僕と同じように50mm付近のレンズを選ぶのがおすすめです。始める前は「ズームレンズのほうが便利だ」と思っていましたが、撮影できる写真がまるっきり違います。単焦点レンズは画角を変えられない分、自分が動いて最適な画角を見つける必要がありますが、僕もカメラマンさんから"足で稼げ"と教わりました。自分で動いていろんな写真を撮る努力をすること自体が楽しいですし、そうなったらきっとハマっていくはずです。
ーー『Nikon Zf』のキットレンズは『NIKKOR Z 40mm f/2(SE)』なので安心ですね。
古屋:そうですね。それに『Nikon Zf』ならオールドレンズもたくさん選べて楽しいですよ。今回のカレンダーでも使っています。そうやって50mmレンズだけでも何本も増えてしまって……。時々、写真を撮るのが好きなのか、カメラが好きなのかわからなくなります(笑)。
■関連リンク
古屋呂敏 アミューズオフィシャルサイト:https://www.amuse.co.jp/artist/A8922/index.html
古屋呂敏 Photographerサイト:https://www.robinfuruya.com/home
古屋呂敏 A!SMARTサイト:https://www.asmart.jp/furuya_robin
RAW現像をいったんやめ、『Nikon FM2』で基本に帰ってスナップを撮る
15年ぶりに『Nikon FM2』のフィルム一眼レフカメラを購入し、懐かしの機構とフィルム写真の魅力を再考する機会を得た。