ミライアカリ引退、プリキュアのVR進出にVision Pro発表……地殻変動が続いた2023年のバーチャルシーンを総括
新陳代謝が激しいVTuber業界 古参が去り、“ベテラン新人”登場が相次ぐ
こうしたポジティブなトピックと並び、今年騒がせたのは著名なVTuberの活動終了だろう。とりわけ、黎明期から活躍してきた一人・ミライアカリが活動を終了したことは、業界を大きく揺るがせた。そして、筆者もその一人だ。その最後に『VRChat』で一般ファンを招いたイベントを開催したのは、いまも記憶に残る出来事だ。
ミライアカリだけでなく、「にじさんじ」の勇気ちひろや、「KMNZ」のLIZなど、2018年からデビューした面々までも活動終了に至るケースも見られたり、にじさんじからは下半期に活動終了の報告が続いたりと、かなりのタレントがバーチャルタレントシーンから去ることとなった。
また、「ななしいんく」から「ぶいすぽっ!」へ移籍した小森めとや、「Re:AcT」から別会社へ移籍した かしこまり、「ななしいんく」から独立し個人勢となった周央パトラや同様に独立を果たした富士葵など、これまでの体制を大きく変えるVTuberも現れた。「いまいる場所に居続けることが全てではない」ということなのだろう。
去るものもいれば、訪れるものもいる。とりわけ今年は著名人がVTuber化する事例が、かつてないほど続いた。後藤真希は「ぶいごま」に、今井麻美は「詩趣ミンゴス」に。CM出演も含めれば、二宮和也や温水洋一まで含まれる。インターネット発の著名人としては、ピアニストのまらしぃもそのひとりだ。
ゲーム業界で広がりを見せる、“生きたキャラクター”という概念
そして、「VTuberとIPコンテンツのはざま」も一気に広がった。『アイドルマスター』からは「vα-liv」、『ラブライブ!』からは「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」、『BanG Dream!』からは「夢限大みゅーたいぷ」が、それぞれプロジェクトとして始動した。
IPコンテンツのキャラクターのようでありながら、リアルタイムで動き、時にはリアクションを返す、「生きたキャラクター」という在り方が急速に立ち上がりつつある。VTuberという様式は、既存のIPコンテンツにも大きな影響を与えつつある、と言えるだろう。
そして、REALITYや17LIVE、Brave groupなど、新たな勢力の参入も相次いだ一年だった。大きな新陳代謝を経て、VTuber業界は次の一年へと歩みを進める。