伝統的なエンタメ×光の演出が融合した“煌びやかな世界” 松竹×MPLUSPLUSが京都で繰り広げる『ZIPANGU 光が彩る演舞祭』事前レポ
伝統的なエンターテインメントとテクノロジーが融合した先には、目が眩むような“新たな世界”が待っていたーー。
日本文化とテクノロジーの融合した“光のエンターテインメントショー”『ZIPANGU 光が彩る演舞祭』が、2023年12月7日から11日まで京都市中京区の先斗町歌舞練場で開催されている。
出演陣は、三大少女歌劇の1つとして、100年以上の歴史を誇る少女歌劇団の『OSK日本歌劇団』、島根県西部の石見地方に古くから伝わる伝統芸能の石見神楽を舞う万雷、会場となる先斗町歌舞練場で、日本の伝統を継承している『先斗町お茶屋営業組合』の芸舞妓とさまざまな文化の担い手が一堂に介した。
さらに制作側も、日本の舞台芸術を長年支えてきた松竹のもと、新作歌舞伎などを手掛ける戸部和久が作・演出を、日本舞踊家の尾上菊之丞が演出・振付を担当。LED演出はMPLUSPLUSが、体験演出をノーミーツ主宰の広屋佑規がそれぞれ手がけ、伝統芸能と光のコラボレーションを彩る。
一言で表すなら「伝統的なエンタメと最先端の演出を作るドリームチームが集結した、5日間のプレミアムな公演」というわけだ。
そんな貴重な公演に先駆け、リアルサウンドテックは事前に行われた練習の模様を取材。そこから見えてきた“ありそうでなかったエンタメ”の姿とは。
この期間、先斗町歌舞練場は入り口から紫色をベースにしたライティングが施されるなど、すでに本来の姿とは違った雰囲気。1925年から存在する伝統的な場所の和風レトロな雰囲気に近未来感のある照明が相まって、神話の世界に連れてこられたような気分になった。
入り口のドアを開け、ロビーから客席に向かっていく間もMPLUSPLUSによる照明演出が各所に施されている。客席にもポールライトが立てかけられており、実際に開演前にここに座ったのならば、きっとこの後に起こる出来事への期待に胸が膨らむに違いない。
筆者はスケジュールの関係で芸舞妓さんの練習を見ることはできなかったが、OSK日本歌劇団による歌劇、石見神楽を舞う万雷、そして神楽の生演奏は見事だった。舞台の上や客席、花道を使って縦横無尽に繰り広げられるパフォーマンスだけでも贅沢なのに、そこへきてMPLUSPLUSの「LED VISION DRONE」で使用していた布部分がLEDウォールのように舞台中央へと鎮座し、背景としてさまざまな光の演出を行ったり、舞台上と客席のライトと連動したりと、会場全体を使った演出も加わり、さらにスケールアップしたように感じた。極め付けはMPLUSPLUSによる、約5,000粒のLEDが巻き付いた17メートルの“大蛇”だ。壊れづらいLEDを開発したことで実現したこの大蛇は、力強い動きと、光輝く体で舞台上に存在感を放ち、歌劇の一部で重要な役割を果たしてくれるだろう。
そして今回の公演の特徴のひとつは、プレミアムチケットを購入した観客が、“光るはっぴ”を着て京都の街を練り歩き、前列でステージをみた後は演者と共に演出の一部に加わることができる、ということだ。
“イマーシブ”というのはここ数年の、そして今後の新たなエンタメにおいて、欠かせないキーワードのひとつ。コロナ禍が明け、演者と観客を隔てるものがなくなると、観客はコロナ以前と同じくらい、いや、それ以上に濃密な体験を求めるようになっている。そこにその場でしか味わえないうえ、配信や写真・ビデオでも絶対に補完することができないのが、自分自身がエンタメの一部になるという体験だ。以前から世界の大規模エンタメに採用されている形式ではあるが、それが伝統芸能×テクノロジーを用いた演出と重なり合うと、ここまで“みたことがないもの”になるのかと驚かされた。
これだけの数のエンタメを一つのショーとしてしてパッケージングするとなると、構成に苦労しそうだが、そこを伝統文化×光の演出という形でひとまとめにし、大きなターゲット層であるインバウンド向けに日本の芸術をギュッと凝縮してみせる制作側の技量の高さたるや。同公演はインバウンド向けの要素も多分にあるとは思うが、芸舞妓や歌劇、神楽などをこれまでじっくりと見たことがない方や、連続テレビ小説『ブギウギ』でOSK日本歌劇団の存在を知った方、光の演出やイマーシブ演劇というワードに興味をそそられた方などが、これを機に日本の伝統的なエンターテインメントにハマるきっかけになるかもしれないので、ぜひ機会があれば立ち寄ってほしい。
■公演情報
開催日時:2023年12月7日(木) ~ 12月11日(月)
※夕公演16:00~・夜公演19:00~(1日2回公演。12/7の初日は夜公演のみ実施)
開催場所:先斗町歌舞練場(京都府京都市中京区先斗町通三条下ル橋下町130)
出演:芸舞妓(先斗町お茶屋営業組合)OSK日本歌劇団(千咲えみ、華月奏、椿りょう、純果こころ、柊湖春、南星杜有、奏叶はる)、万雷(石見神楽)
内容: 舞踊・歌劇・神楽の3つの伝統的な舞いと光が融合するエンターテインメントショーの鑑賞
光るはっぴの着用や街歩き体験などの体験型コンテンツ
チケット:販売中(全4種)
<一般チケット> 当日8,800円 前売り7,040円
<スペシャル体験チケット> 当日12,100円 前売り8,470円
<VIPチケット 先着限定オリジナルはっぴ付> 当日33,000円 前売り16,500円
<VIPチケット> 当日33,000円 前売り16,500円
公式ホームページ:https://www.shochiku.co.jp/pj/zipangu-kyoto/
公式X(Twitter):https://twitter.com/zipangu_kyoto(@zipangu_kyoto)
公式Instagram:https://instagram.com/zipangu_kyoto?igshid=OGQ5ZDc2ODk2ZA==
製作:松竹株式会社
企画:松竹株式会社 / MPLUSPLUS株式会社
後援:京都市 / 公益社団法人京都市観光協会 / 先斗町お茶屋営業組合
協力:株式会社OSK日本歌劇団
協賛:株式会社イープラス