バービーはなぜ“女性の悩み”に寄り添うのか　生理、美容医療……YouTubeで発信する「親や友だちにバレない有益な情報」

生理動画に反響。ナプキンは「恥ずかしいもの」じゃない

――そもそも、バービーさんがYouTubeを始めたのはなぜなんでしょう？

バービー：テレビの制作スタッフさんと話していたら、一緒にYouTubeやろうよって言っていただいて。先ほど言ったような、断片的にしか取り上げられない情報をしっかりと発信できるなと。

　始めたころは、まだテレビとYouTubeの境目がはっきりしていたのですが、私は特に抵抗はありませんでしたね。

　ただ、正直なところめちゃくちゃ力を入れるというよりも、あくまでもテレビのお仕事が優先。テレビでできないことをやろうというのがコンセプトだったので、更新頻度などもあまりガチガチに決めすぎず、ゆるく始めてみました。

――最初から抵抗はなかったとのことですが、YouTubeにやりがいを感じ始めたのは、いつごろでしたか？

バービー：それこそ生理についての動画は、たくさんのリアクションをいただいたので、やってよかったなと思いました。「必要な情報をありがとう」みたいなコメントもたくさんいただいて。

――この動画は、なぜ企画しようと思ったんでしょう？

バービー：動画を投稿した当時って、いま以上に「生理」という言葉にタブー感があったんですね。

　でも、街を歩いている小学生の子を見て「この子たちが生理を迎えるときに、なんの情報もないけど大丈夫なの？」って意識することがあったんです。

　私自身は、家族に女性がたくさんいたから生理用ナプキンもそこらへんにあったし、大丈夫でしたけど、こんなに情報が隠されて閉ざされているのに、どうやって理解するんだろうって。

　そういうのを発信できるのがYouTubeの一番のメリットなのかなと思ったので、お子さんも恥ずかしくなく、親や友だちにバレずに有益な情報を得られる動画を撮りたいなと思いました。

――なるほど。

バービー：正直、専門性なんてなにひとつない動画なんですけどね。ただいつも通り、使っているナプキンの説明をしただけ。子どもたちへの思いはありましたけど、「絶対にこの状況をどうにかしてやる！」って肩に力を入れて撮ったわけではありませんでした。

――そうだったんですか。生理用ナプキンを広げたサムネイルも印象的なのですが、そこには抵抗なく？

バービー：そうですね。私も毎月、ホルモンに振り回されながら、労力を割いて使っているものなので。それに何も言わず、誰しもが使う日用品なのに“表に出ちゃいけない恥ずかしいもの”みたいな扱いになっていることが不思議だなと思っていました。

　だから、「あえて」と言ったら言い過ぎかもしれませんが、「だって日用品だもん、普通のものだもん」っていう感じで、ナプキンを広げたサムネイルにしたんです。

ーー実際、動画に寄せられたコメントで印象的なものを教えてください。

バービー：シングルのお父さんや、10代の男の子からのコメントはうれしかったですね。生理が始まったときの娘さんや彼女とどう接していいかわからなくて観ました、と。

　それから、コメント欄がコミュニティスペースみたいになっていて、生理を不安がっている小学生くらいの子のコメントに、お姉さんたちが「大丈夫だよ」って返信しているんです。私が登場していないところで、あたたかい輪ができているのはうれしいなと思って見ています。

――先ほどの美容医療関連の動画と同様、「多くの人に届けたい！」「意識を変えたい」というよりは、届くべき人に届けばいいなという感じなんですね

バービー：はい。どの動画も、役に立ったらうれしいな〜というくらいのスタンスです。

YouTubeはあくまでも「ガス抜き」の場所

――そういう動画もあって、女性ファンが増えたのではないかと想像します。

バービー：そうですね。YouTubeを始めて初期のころは「（バービーさんを）テレビで観てたときはあまり印象なかったけど、YouTubeはおもしろくて観るようになりました」とか、「そんなに好きじゃなかったけど、ギャップがあって好きになりました」と言ってくれる人は結構いましたね。

――なかなか辛辣ですね。現在も視聴者層は女性が中心ですか？

バービー：いえ、意外と男性コメントも多い印象です。

――バービーさん的には、どちらをターゲットにしたいと考えているのでしょう？

バービー：うーん……結構いろんなことをやっているので、あまり考えていないですね。専業であれば「YouTubeで収益を上げなければいけない」と考える必要があると思うんですけど、私は一切そういうことがなくて。ただただ、自分のしたいことをしているんです。

――そうなんですね。では、あまり視聴者に刺さる動画やバズる動画という考え方ではなく、やりたいことを発信していらっしゃるのでしょうか？

バービー：そうですね。あとは、みんなが知ったほうがいいけど、世の中に出回っていないことを取り上げているのもひとつの軸かなと。私の生業はあくまでもテレビや舞台にあるので、YouTubeはガス抜きができる場所なんです。