佐久間宣行が星野源&若林正恭との『LIGHTHOUSE』で感じた“セルフケアの重要性” 「共感性が高いことは大事だが、この時代に生きるのは大変」
時代遅れな笑いは、あえて「笑わない」 負の連鎖は自分で断ち切る
――配信作品といえば、いかにもお金がかかっているように見える派手なものが多いような印象を受けますが、「ふたりきりのトーク番組」と聞くと非常にシンプルで、言葉を選ばずに言えば地味に映ってしまいそうです。そうならないために気をつけたことはありますか?
佐久間:僕としてはむしろ、ある程度地味になってもいいと思っていました。ふたりのトークによって、この作品は傑作になると信じていたので。
想像していたよりもこうしていろんな人に響く番組になったのは、星野さんと若林くんの力ですね。やっぱり、星野さんが番組のために6曲作ると決めたこと、若林くんが最初にどこまで腹をくくるか決めてくれたことが大きいと思います。
唯一、僕が保険として用意したのは「1行日記」。ふたりとも言葉のパンチラインの強さに定評がある人だから、長いエッセイのようなものを書いてきてもらうよりも、1行に思いを込めてもらったほうがいろんな人に届く言葉になるという確証があったので、それぞれが書いてきた1行をもとにトークをしてもらう形に決めました。
――「1行日記」をもとにしたおふたりのトークは、語り口こそ明るいものの、内容はそれなりに重いものだと感じます。多様性の問題などについても触れられていました。そういったトークをエンタメとして見せるために、佐久間さんが意識したことはなんですか?
佐久間:それはですね、最前列で僕が一番「笑う」ことです(笑)。演者さんの一番近くにいる僕が笑って楽しい空気にしていくのが大事で、僕まで深刻そうにしていると本当に重い空気になってしまうんですよ。それに、人が腹を割って話してくれたときこそ面白いと思うんです。
これはほかの番組での話ですけど、あまりにも時代遅れなイジりや笑いのときは、あえて「笑わない」こともあります。その場では笑っておいて編集でカットすることもありますけど、そうすると現場ではウケたことになってその笑いが続いてしまうから、できるだけ現場の時点で「笑わない」選択肢をとる。
――テロップがずいぶんとポップなデザインなのも、できるだけ明るく面白く見せるために意識されたものなのかと思いました。
佐久間:そうそう。あれは悩んで、4パターンくらい作ったんですよ。洋画の字幕みたいにおしゃれなのとか、ふたりのコメントの色を同じにしたものとか。パッケージはおしゃれにしたかったんですけど、中身に関しては悩んでいました。中身までおしゃれにしてしまうと、届く範囲が狭くなってしまうと思ったから。だから最終的に、ちょうどよく笑いやすいデザインを採用したんです。
――なるほど。たしかに笑いやすいテロップだなと思いました。
佐久間:だから観た人によっては「オープニングや歌がおしゃれなのに、トークブロックはすごいベタにしてるじゃん」と思う人もいるかもしれない(笑)。まあ、それは覚悟のうえなので。
――おふたりだけでなく、佐久間さんもある程度の存在感をもって出演されていることも大きいと思いました。
佐久間:最初は僕、一切出演しないほうがいいんじゃないかとも話していたんです。でも「ふたりのリラックス感を出したほうがいいので、佐久間さんも絡んだ方がいいんじゃないですか」みたいな話をされて、あの収録スタイルになりました。