『ペルソナ3 リロード』発売日決定 シリーズ第3作がいまリメイクされることの意味とは

『ペルソナ3』がいまリメイクされることの意味

“化石化”する『P3F』に盛り込まれた追加シナリオの存在

『ペルソナ3 リロード』PV02

 『ペルソナ3』の復刻をめぐっては、リマスターの発売時にも、「『P3F』をベースにしてほしかった」といったファンの声が多くあった。これまで数々のバージョンが発表されている同タイトルだが、過去のすべての追加要素を網羅したパッケージは存在しておらず、後日談である「Episode Aegis」をプレイするには、PlayStation 2で発売された『P3F』を手に取るほかないからだ。今回も同様に、SNS上では、そうした意見が散見されている。直前にオリジナル版の収録内容を補完している『P3P』リマスター版がリリースされていることも、このムーブメントの広がりに拍車をかけていると言えそうだ。『P3P』リマスター版は1,980円(税込)とリーズナブルな価格設定だったとはいえ、約1年でのリメイク発売には、昨今のゲーム市場で忌避される“完全版商法”だという指摘があっても不思議ではない。

 公式は『P3RE』の内容について、「一部『P3F』から踏襲した要素もある」と公言している。それでも、「オリジナル版をリメイクしたタイトル」という基本的な建付けは変わらない。現時点で明らかとなっている『P3F』からの要素は、「コロマルの散歩」「学生寮の監視カメラ」「アイギスの永劫コミュ」の存在など。さまざまな面でバージョンアップがなされた同タイトルだが、先にも述べたとおり、女性主人公や追加シナリオはプレイできず、“完全版的リメイク”とは言いづらい実態がある。

 女性主人公・追加シナリオへの未対応は、リマスター購入者からの反発を未然に防ぐという意図もあるのかもしれない。ただ、女性主人公はともかく、追加シナリオは今後、ダウンロードコンテンツとして配信される可能性もあるだろう。そのような未来を想定するとなお、「所有しておくべきは『P3RE』である」という“暗黙の了解”の存在を感じずにはいられない。

『P3RE』の出来がまだ見ぬナンバリング第6作への指標に

 8月28日に閉幕した世界3大ゲームショウのひとつ『gamescom 2023』では、世界初となる試遊の機会が設けられた。各メディアに掲載されたレポートによると、前評判どおり、オリジナル版の発売から約20年の時を埋める、『ペルソナ3』らしいリメイクとなっているようだ。

 そのうえで、このタイミングに『ペルソナ3』が生まれ変わる意味を考えるとするならば、それは『P3RE』のあり方が次作への指標となる点にこそある。シリーズの最新ナンバリングである『ペルソナ5』が発売されたのは、2016年9月15日のこと。現時点で丸7年もの時が経過している。2019年には、完全版的位置づけの『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』がリリースされているため、これほど長い期間、新たなナンバリングが発表されていないことに無自覚だったファンもいるかもしれない。

 同タイトルの躍進によって「ペルソナ」は、新たな支持層を開拓し、JRPGの代表として大きな求心力を持つようになった。自ずと次作にかかる期待は大きくなるだろう。その間には、「ペルソナ」シリーズのスタッフが手がける新作ファンタジーRPG『メタファー:リファンタジオ』も発表された。同タイトルは「ペルソナ」にとって、兄弟分にもあたる作品だ。

 熱狂的なファンからしてみれば、すでにナンバリング最新作の発売を焦らされているような状態であり、客観的に見ても、いまにも発表されておかしくない状況であると言える。まだ見ぬ『ペルソナ6』は、どのような姿をしているのか。その答えは、『ペルソナ5』と『P3RE』を結ぶ線の延長上にあるのではないだろうか。そのような思いを抱えながらプレイに臨めば、また違った楽しみ方や、新たな発見にもつながるのかもしれない。

 『P3RE』の発売まで約5か月。シリーズファン、さらには『ペルソナ3』のファンとして、その日を心待ちにしている。

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