『Plaud Note Pro』から見えた未来 経営学者・入山章栄に訊くAIガジェットのその先とは?

世界累計で150万ユーザーを突破した大ヒットAIボイスレコーダー「Plaud」ブランドのフラッグシップモデル『Plaud Note Pro(プラウド ノート プロ)』を経営学者で早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さんがインプレッション。今、最も講演でAIの世界を語ってきた経営学者に、最新AIボイスレコーダーから見えた未来、さらにAIを活用する一方でわれわれヒトは何を磨くべきかについて話を訊いた。
実際どうなの?と疑念を持って使ってみたらメッチャ便利だった!
ーー入山さんは以前から「Plaud」のAIボイスレコーダーに興味があったと聞きましたが?
入山:ガジェット情報としては知っていて、自分が話しているコトを気軽にガンガン録音できるなら便利そうだなと。ただ、一方で疑念もあって。普通にボイスレコーダーもあるし、わざわざ「Plaud」のデバイスを買わなくても、とも思っていたんです。録音して文字起こしするだけでしょ、と。 実は今、もの凄く追い詰められている連載があって。英語論文を40本ぐらい読んで内容を理解し、1万5000〜1万6000文字程の文章を書くのを毎月やっているんです。ただ、それを10年前は3週間かけてやっていたんですが、今は3日間で書けていて。実はほぼAIにやってもらっているんです。論文をAIに調べてもらい、内容をAIに理解してもらい、僕が何を書けばいいかをAIに把握してもらって。もうね、時代はそれくらいまで来ているんですよ。
ーー冒頭からかなり衝撃的なお話です。
入山:僕の場合は基本、タイピングをやめています。全部、口述筆記なんですよ。「Google Docs」の音声文字変換ツールを使って、僕が一気に喋ったことを書き出してもらう。そのままだとさすがに文章が粗いので、「ChatGPT」でいい感じの日本語にしてと指示を出したら完了。本当にエライ世界になったなと思いますよね。だから、『Plaud Note Pro』のようなデバイスがなくても、「Google Docs」である程度のことができるなとも思っていたんです。
ーーそのタイミングで今回のインプレッションの話が来た!?
入山:せっかくなので企業についても調べてみたんです。そうしたら、世界的にとんでもない勢いでデバイスが売れている、と。ベンチャー企業でなおかつ、特定の単品機能を持つガジェットで売れるのは多分、世界初なんじゃないかな。そんなに凄いの? とさらに興味がわいたんですよね。
ーー実際に『Plaud Note Pro』を使ってみていかがでしたか?
入山:ビックリするぐらい良かったですよ。実際に使いはじめたのは1か月前くらいからですが、初めて効力を体感したのが、僕が担当してる早稲田大学ビジネススクールのゼミの時間ですね。海外の論文を読んで皆で濃い議論をするんですよ。でも、その議論が終わった後で僕はほぼその内容を忘れている(苦笑)。
ーーそれは入山さんが日々、かなりアクティブに活動しすぎているからでしょうね。
入山:対談でいろいろな人と話しますが、毎回おもしろいし、学びもあるし、われながら良いこと言うなというときもあるのですが、対談が終わるとほぼ内容を忘れているので、全く身についていない(笑)。ただ最近、ポッドキャストもやっていて、後から音声を聞いて、いいこと言っているなと自分を振り返る機会が楽しいことに気づいたんです。それで、学生に断りを入れてゼミで使ってみたら、メチャメチャよくて。
ーー便利なのは議事録というよりは要約機能の方ですか?
入山:そう、いまスマートフォンでそのときの内容が見られますが、僕が話している内容を全部聞いて全部理解しているんですよ。ゼミの議論ではテーマ的なハイライトまでつけてくれて。「学びの質は入口で決まる」とか「AIに聞いちゃうっていう手もあります」とか、いいこと言ったなという内容がまとめのなかに全部入っている。コレ、凄くないですか!
ーーしかも、かなり専門的なお話ですよね?
入山:例えば、Strategic Management Journalという世界最先端の学術誌で今、賄賂を多国籍企業が自主規制するかしないかとか、自主規制した後でその会社がどういうことをやるかということを、別の統計データを使って議論をしているのですが、『Plaud Note Pro』はそれをフツウに内容を理解して、まとめてくれるんですよ。ゼミ3時間分の議論を。
ーーさすがに細かい誤植や変換ミスはありましたよね!?
入山:それがね、本当にちょっとしかない。それが僕が一番ビックリしたこと。なんなら、間違って喋っている内容を直してくれていますからね。これ、ヤバいと。タイトルまでAIがこういう話をしていたよね、と言わんばかりに勝手につけてくれるんです。
このときのゼミなら「トップジャーナルの起点の論文精読とEITI(賄賂自主規制)を用いた因果推論実践」とかね。ある意味、僕が喋っていることよりも完璧で、結構な衝撃。
ーー議事録としても活用できますか?
入山:ゼミで共有しているチャットグループがあるので、『Plaud Note Pro』がつくった文字起こしや要約、マインドマップをそこに転送しておくわけです。学生がこの日に学んだコトが全部、このなかに入っているワケ。ヒトって視覚情報だと比較的速く取れるじゃないですか。3時間分の議論もこの議事録をサッと読めば10分ぐらいでおさらいできちゃうんですよね。
ーー普段のお仕事のワークフロー面でもメリットはありましたか?
入山:最近だと、秘書との打ち合わせですね。基本的にやりとりはほぼリモート。電話が多いのですが、専用ケースに入れてスマートフォンの裏に付けるとイイ感じの使い勝手になるので、試しに秘書に断りを入れて電話で打ち合わせをしてみたんです。そしたら、To doリストのような抜群の精度で。参考まで、いまお見せしているのは今日、この後のスケジュールなんですけどね。
ーーまあ、スケジュールびっしりですね!!
入山:僕自身がうっかり忘れやすい性分なのと、自分で言うのもなんですけど、もの凄い量の依頼が来るので、実は秘書もさばくのが大変なんです。だから、『Plaud Note Pro』を使うことで彼女も相当負担が減ると思う。言った、言わない、がなくなるから。もちろん、経費で出すから彼女にも買ってくれと言いましたよ。
ーーここまで『Plaud Note Pro』を使い込んでいるとは思いませんでしたよ。
入山:僕のスタイルにはめっちゃフィットしますね。仕事柄、よく会社の社長さんたちと会食をするわけですよ。そこで愉しい話はするんだけど、例によって終わったら僕は内容をほぼ忘れているワケ。だけど、なかには誰々を紹介するよ、とか大事な話もあったりするじゃないですか。
ーー『Plaud Note Pro』で記憶しておけば有用な情報を確実に拾える
入山:飲み会でも使えます! というのも、そういう場でこそ一番アイデアが出るじゃないですか。ユニークな話では、付き合いのある会社社長さんがメッチャ「Plaud」のアイテムを使っていて、仕事はもちろん奥様がフランス人なんですけど、夫婦の会話でも使っているというんですよ。夫婦間で言った、言わないってあるじゃないですか。『Plaud Note Pro』を使うとそれがなくなるから揉めることがなくなるらしい。この話を自分の妻に話したら「私はイヤだ」と言われましたけどね(笑)。
記録・保管・管理はAIにまかせ、ヒトは雑誌編集者的思考で”知の探索”に励むべし
ーー「Plaud」には単なる効率化のためのツール以上の価値がありそうです。
入山:いろんなところで根本的に働き方を変える可能性があると思いますね。人の働き方は今後、スマイルカーブ現象が起きて、ただ管理するだけの仕事はなくなると考えています。上流(企画、開発など)は僕的には “知の探索”と呼んでいますが、世界中のいろいろなものを見てさまざまなアイデア組わせ、イノベイティブな発想を持ってソレをやると決め、決めたことは責任を持ってやることが重要。
ほぼリーダー層の仕事ですよね。どう考えても将来的に価値があがります。一方で、下流(販売、メンテナンスなど)は現場のリアルな仕事でここはリプレイスされない。もちろん今後、ロボットが出てきますが、電力を消費しますよね。電力効率で言うと人間は凄い生き物で、ロボットがヒトよりも電力効率、エネルギー効率がよくなおかつ、われわれよりも細かい作業ができるようになるのは当面、いや100年くらいは来ません。
ーー上流と下流はヒトの仕事として残り、問題は真まん中ですね。
入山:現場から上がってきた情報をまとめて上にあげるとか、基本的に情報をやり取りするだけの仕事なので、ここはほぼ全部AIに代替できるので、そこではヒトの価値はほぼなくなるんですよ。数年前から提唱されている”ホワイトカラー消滅”ですね。『Plaud Note Pro』を使いこなすようなビジネスリーダー層は、より上流側の仕事ができるようになって価値が出せます。例えば、記者さんの仕事でいえば、インタビューを書き起こすのは『Plaud Note Pro』がやってくれるのだけど、今日みたいに、こうやって取材で愉しく話せるような場を作れるのは人間の能力なので。ここの価値はむしろ、あがるんですよね
ーー取材前に話しをした”スピングル”ですね!(注:取材前にこの日、入山さんが履いていたスピングルのスニーカーを記者も愛用していて、その話で盛り上がった)
入山:そうそう、取材前のアイスブレイクトークってAIはスピングルってまず、出さない(笑)。もちろん、AIを使いこなせることが前提になりますが、僕の理解ではドメインナレッジといって、なんとなくその世界の全体像が掴めている人なら、AIから出てきた情報もどう使いこなすかを考えますよね。そういう人は生き残れると思います。
ーー今はAIに聞くとなんでも答えを教えてくれます。
入山:僕は今、AIに関する講演を日本で一番やっているのですが、その際に申し上げるのが、これからは何を言ったかではなく、誰が言ったかの時代になるということ。僕が普段、講演などで喋っていることも、実はその辺の大学生でも言えるわけです。ただ、私が言うんならそうだろうねと納得してもらえれば、それは僕の人格を信頼してもらっているということ。
誰が言ったかが大事なわけです。ある意味、ブランディングが大切ですよね。AI全盛の時代に人間の価値として僕が提唱している”知の探索”は離れた知見を組み合わせることですが、そのためには動き回らなければなりません。実際に、僕は先週までベトナムのハノイに行っていましたし、とにかくあちこち飛び回って、いろいろな人と話をして”知の探索”をしています。今までなら、その一方で記録・保管・整理という知を深化させる作業も必要で、その部分がヒトにとって負担でもありましたが、AIによってその部分がどんどん減っていくわけですよね。事務作業的なことでいえば経費精算なども全部AIがやってくれるのでその分、人間がより”知の探索”へと向かえるわけ。
ーーこれからの時代は動くことが必要だと?
入山:イノベーションの源泉はニューコンビネーション、つまり新結合なんですね。アイデアはゼロから1は生まれない。何かを組み合わせて生まれる。ただ本来、人間は認知が狭いので、放っておくと目の前のことしか見なくなるので、イノベーションが起きない。近いところに偏る方がラクなので。本当に大事なのは遠くにある幅広い知見をたくさん見て、それを持ち帰って自分の知見と組み合わせること。ただ実際には内側の仕事が多すぎるから、遠くの仕事が一見、無駄に見えて、遊んでいるようにも見えがちです。だから、日本の会社にはイノベーションが起きにくい。ただ僕が今、日本はチャンスだと言っているのは、内側の仕事がだいぶAIで代替できるようになってきたから。
ーー負荷を減らせるというわけですね?
入山:そうなると、上流側の仕事ができるようになる。ここは根本的にAIではできません。”知の探索”からイノベーションを創りだす作業には、失敗するかもしれないけどやってみる、という側面もあります。その一方でAIはディープラーニングなので、どちらかというと失敗を減らす仕組み。失敗しそうでも大胆なことをやってみるというのはAIにはできないし、仮に提案はできても結局、やるやらないを決めるのは人間なんですよね。だから日本にはどんどんAIを導入すべきだという話をよくしますし、その点で『Plaud Note Pro』はまさに根源になるので、効率化というよりは充実化のためのツールといえますね。余分な議事録作成の時間が要らなくなれば、より遊んだように楽しく仕事ができるようになります。
ーーおもしろいものを集めて組み合わせるという点で、入山さんの発想は雑誌の編集者っぽくもありますね。
入山:多分、そういうタイプ。ただ、雑誌もなかには安易なページもあったりしますよね。定番特集をやっておけばいいんでしょう、みたいな。これは単行本の話になりますが、例えば僕のところに『入山先生が語る10時間でわかる経営学』などのタイトルで執筆オファーがくるわけですよ。その手のものは全部、お断りしていますが、だって、すでにそういう本、ありますもん。遠くを見て掛け合わせて新いモノを創るところに本当の編集能力があると考えます。
ーー本来の雑誌編集のあり方ですよね。
入山:僕、雑誌が大好きなんですよ。ありとあらゆるものを読んで、妹の持っていた女性誌もよく読んでいましたね。例えば、某女性誌にあった1か月着せ替えコーデの企画を、40代男性向けのある雑誌でもやっていたのですが、それがメチャクチャおもしろい。妻の不倫疑惑を尾行する際の1か月着せ替えコーデとか。帽子かぶってグラサンかけてとか、ある意味、企画としてクレイジーですよね(笑)。語弊はありますが、そういったクレイジーさもこれからの時代には必要なのかもしれません」
ーー話が脱線しても奥が深いですね。最後に入山さんにとって『Plaud Note Pro』とは?
入山:いい意味で根本からわれわれの働き方を激変させるツール。これからの時代に大切な”知の探索”やイノベーションなど日々、人間としての価値を出すための行動をする上で、僕の身近でそのための環境や行動を劇的に変えてくれるツールですね。
Profile:入山章栄 <iriyama akie>
1972年東京都生まれ。今、日本でいちばんAIについての講演を行う経営学者。慶應義塾大学卒、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所でコンサルティング業務に従事後、2008年米ピッツバーグ大学経営大学でPh.D.(博士号)取得。同年から米ニューヨーク州立バッファロー校ビジネススクール助教授、2013年から早稲田大学ビジネススクール准教授、2019年から教授。メディア出演多数。
◯製品情報
『Plaud Note Pro』/価格3万800円ワンタッチで重要箇所を記録する「ハイライト記録機能」に、4基の超小型高性能マイクとAI頭脳でヒトの耳以上に賢く音を聞き分ける「AI指向性収音技術」を搭載し、ノイズを抑制する最大5mの収音範囲を誇るPlaudシリーズのフラッグシップモデル。現代のビジネスマンが抱える議事録作成、音声メモの手作業による時間的負担を軽減。働き方改革を後押ししてくれる。https://jp.plaud.ai/

































