電動車販売台数No.1 日産が誇る独自技術「e-POWER」がスゴい理由

 多くのパワートレインが誕生し、100年に一度の大変革期といわれる自動車業界。特に電動車では完全電気自動車のBEVやハイブリッドカーなど各メーカーで特色を出している。そんな中、ハイブリッド車でありながらもEV同様のモーターだけで駆け抜ける日産のハイブリッドシステム、「e-POWER」は独特な技術で知られる。今回はそのクルマに注目したい。

日産の電動技術、「e-POWER」

 日産のEVは歴史が深く、1947年まで遡ることができる。それはプリンス自動車工業の前身、東京電気自動車が発売した『たま(号)』になる。

 このモデルは戦後のエネルギー事情を背景に誕生、満充電では約96kmという航続距離のEV。そんな日産が積極的に導入する独自技術が「e-POWER」(以下「eパワー」)で、ガソリンエンジンとモーターを融合させた電動パワートレインとなる。

 特長はエンジンを発電専用に使い、モーターのみで駆動するというもの。100%モーター駆動である利点は走り出しから大トルクを発生させるモーター特性を生かしてレスポンスに優れており、力強い加速を得られる点だ。

 その加速はちょっとしたスポーツカーを凌ぐほど。また通常はモーターのみの走行とすることで、エンジンの作動時間を減らし燃費に有利な走りを実現。その「eパワー」を搭載するモデルを下記に紹介しよう。

eパワーの代表車といえばコレ! ノート/ノート・オーラ

 2016年にコンパクトカーとしては世界初の「eパワー」車がラインナップした2代目ノート。同車は大ヒットし、「eパワー」車が追加された11月の販売台数では30年ぶりに1位を記録するなど、「eパワー」の存在を広く知らしめた。現行モデルは2020年にデビューし、ノートとしては3代目になる。また現行車のパワートレインは、先代には用意されていた純ガソリンエンジン車の設定ではなくeパワーオンリーとなっている。

 搭載されるエンジンは1.2リッターで駆動するモーターのスペックは116PS、280Nm(FFモデル、224万9500円〜)。この3代目をベースにした派生モデル、ノート・オーラも忘れてはならない。ベース車よりも大きなボディと豪華装備を誇るり、同車はノートとしては初の3ナンバーボディ採用車で発電用のエンジンはノートと同じ1.2リッターながらも駆動用モーターのスペックは136PS、300Nm(FFモデル、269万9400円〜)とより力強くなっている。

コンパクトSUV「キックス」

 個性派SUVジュークの後継モデルとして2020年にデビューした「キックス」。同車は2016年から海外では販売されており、満を持しての日本導入となった。日本仕様のパワートレインは「eパワー」のみとなる。

 2022年にはマイナーチェンジされ、SUVらしさを強くアピールする4WDモデルの追加や「eパワー」の改良を受けた。「eパワー」は低速走行時のエンジンが停止している領域が増え、燃費や静粛性能が向上。

 そのモーターのスペックはFFモデルで136PS、280Nmとなっている。価格は299万8600円〜。先進安全技術である「プロパイロット」や万が一の際にオペレーターにボタンひとつでつながるSOSコールなどは全モデルに標準装備。専用パーツをふんだんに使ったオーテックバージョンもラインナップ中だ。

8人乗りにも対応するミニバン「セレナ」

 現行モデルの6代目となった「セレナ」がデビューしたのは2022年。グレードによって異なるが伝統的な5ナンバーサイズを維持したミニバンとして人気の1台だ。そんな「セレナ」に搭載される「eパワー」は新開発の1.4リッター直3エンジンとモーター(163PS、315Nm)を組み合わせたいわゆる第2世代のもの。

 そして今回の「eパワー」車は、先代では選択できなかった8人乗りが初めて設定されるなど魅力を高めている。そのような高い商品力が人気となり、5万台近い受注のうち半数以上が「eパワー」車という。そして最上級グレードには制御の難しいミニバンながらも、条件付きハンズオフ運転が可能なプロパイロット2.0が標準装備される。セレナの「eパワー」車は319万8800円〜。

電動化で進化したクロカン系4WD、エクストレイル

 ミドルサイズSUVの「エクストレイル」は2022年、4代目にフルモデルチェンジを果たしている。フルモデルチェンジは実に7年ぶりだ。日本仕様のクルマは全モデルが1.5リッターの直3エンジンにモーターを組み合わせる「eパワー」搭載のハイブリッドのみ。駆動方式はフロントに204PS、330Nmのスペックを持つモーター搭載のFFとリアに136PS、195Nmのモーターを加えた4WDの2種が用意される。

 「エクストレイル」の注目点の一つは、1.5リッターのエンジンだ。これは圧縮比を8.0から14.0まで可変させることができ、燃費や出力、静粛性が高くモーターに余裕のある電力が供給できるようになっている。

 また電気仕掛けとなった4WD技術「e-4ORCE(イーフォース)」はスロットル開度や走行中のGの変化などからクルマの姿勢に関わる荷重移動を予測しリアルタイムに前後のトルクを配分、未舗装路でも安定した走行を可能としている。これらのメカニズムが支持され、2022-2023のテクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーにも輝いている。価格は351万100円〜。

◎参考情報

日産:https://www.nissan.co.jp/
ノート:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/note.html
オーラ:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/aura.html
セレナ:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/serena.html
キックス:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/kicks.html
エクストレイル:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/x-trail.html

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