『ストリートファイター6』と『CRカップ』が生んだ熱狂 プロ、ストリーマー、VTuber業界の行く末を変える重要タイトルとなるか

『SF6』はゲーム配信業界の今後を左右するか

バトンは『REJECT FIGHT NIGHT』から『Crazy Raccoon Cup』へ

 そんな熱戦から間髪入れずに開催がアナウンスされたのが、『第1回 Crazy Raccoon Cup Street Fighter 6』だ。6月25日の開催に向けて4チーム計20名が参加することになった。

 さっそくスタートした練習配信やスクリムでは、これまで開催された『Apex Legends』『VAROLANT』での『CRカップ』と同じく、大会の魅力のひとつでもある“濃い人間模様”を数多く届けてくれたのだ。

 関優太、葛葉、叶、k4senの仲良し4人組は“The Beast”としても知られるウメハラと「ビーストチルドレン」を組み、日本最初のプロ格ゲープレイヤーで00年代初期から世界と戦い続けてきた漢が見守るなか、研鑽を積み、配信者らしいハイライトシーンを生み続けていた。

 なかでもk4senは大須晶、ぷげらのコーチ2人との対話から「オギャ」「リニア」「バッタ」「チャカ」「茶番」「レールガン」「置き石」といった謎ワードを次々発し、チームメイトや視聴者を混乱させ、いまでも配信コメントで見られるほど数多くのミームを生み出した。

 動画を見てもらえればわかるとおり、当人たるk4sen、大須晶、ぷげらの3人は真剣そのもの。そのギャップもまたミームの面白さを倍増させている。

コーチング中にコーチ同士の戦いを見るk4sen【ストリートファイター6】

 大会開催と同タイミングでCrazy Raccoonに加入することが発表されたどぐらは、だるまいずごっど、けんき、イブラヒム、獅白ぼたんと共にチームを結成。5人中4人が関西地方が出身地ということで、チーム名は「ぎゃんぐたうん地方勢」となった。

 獅白ぼたんは収録などの関係でなかなか練習することができないなかでも、収録先にノートパソコンを持ちこんで自主練習するなど、チームメイト全員が高いモチベーションで臨んだことを知ったどぐらが「自分の試合の勝ち負けなんかどうでもいい。チームメイトには格ゲーを楽しいと思ってもらいたい」と語っていたのは印象的だった。

【スト6】CRカップ出場!どぐら率いるチームC 初めてのスクリムが盛り上がりすぎた件

“背水の逆転劇”の再来! ウメハラが魅せた圧倒的不利からの大逆転勝利

 こういった充実した練習の日々を送っていた4チームは、大会でも数々の熱戦を繰り広げていった。ワンミスが敗北に繋がる格闘ゲーム独特の緊張感に晒されながら、薄氷を踏むような勝利、悔やみきれない敗北を重ねていった。

 決勝に勝ち進んだ「ビーストチルドレン」と「保険適用外」は、互いに2戦取り合った状態で第5戦を迎える。大将であるウメハラとふ~どによる対決で勝負にもつれこみ、これが事実上の“頂上決戦”となった。

 3本先取で勝利となるなかでふ~どが先に2連勝し、3本目もふ~どが先制「残り1ラウンドを取れば優勝が決まる」という状況で迎えた2ラウンド目。ウメハラを画面端に追い詰め、体力残り僅かでバーンアウト状態(一定時間キャラが弱体化する状態)にまで追い込む。ラッシュやコンボが決まれば勝利、だれしもがふ~どが勝ち切るだろうと思われた。

 しかしそんななか、バーンアウト状態からウメハラが盛り返してラウンドを取り返すと、勢いに乗ったまま3本目を取りきる。すると、そこから怒涛の攻めと冷静な駆け引きを見せつけて、あれよあれよという間に3-2で大逆転勝利を収めたのだ。

梅原大吾vsふ〜どの大将戦で起きた、背水の逆転劇に仰天する釈迦【ストリートファイター6】

 約20年前に開催された『EVO 2004』準決勝でジャスティン・ウォンとの戦いで見せた伝説の一戦。のちに“背水の逆転劇”と呼ばれた名試合を思わせ、それ以上かと思える大逆転劇を大舞台でバッチリと決めてみせるウメハラ。関優太を筆頭にチームメイト、見ていた大会参加者、約30万人とも言われる視聴者が震えない訳が無い。

 豪快かつ華々しい戦いでクライマックスをとげたこともあり、『第1回 Crazy Raccoon Cup Street Fighter6』は大成功に終わったといえる。なんとはやくも第2回の開催を望む声があがっているほどだ。

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