ChatGPT×「いらすとや」で出来上がったのは“ちょっとポンコツな”キャラクター? 電通が目指すコミュニケーションのためのAI
電通は5月17日、ChatGPTした「キャラクターとの自動対話サービス」のプロトタイプを発表した。このサービスは、電通が2021年に発表した「キャラクターCXソリューション」の一環。アニメキャラクターや企業キャラクターなどに適用することで、より豊かな顧客体験(CX:Customer Experience)の提供を目指すものだ。
今回「キャラクターとの自動対話サービス」が、無料でさまざまなイラストを提供している「いらすとや」のキャラクターを活用し実証実験が開始された。
このプロトタイプを試す機会があったので、その様子を担当者の話とともにレポートしていく。
まずはプロトタイプについて。いらすとやのイラストを3D化し、独自の性格付けを行ったキャラクターと自由に会話を楽しめるというもので、今回は江戸時代の武士である「むさし」というキャラクターと会話ができた。
こちらの質問に対して、あらかじめ登録されている設定にそって自然に応答してくれるというもので、AIエンジンとしてはChatGPT(GPT-4)を利用している。なお、AIエンジン自体は他のものでも利用可能とのことだ。
ChatGPTを用いていることで、さまざまな質問について的確に回答してくれたり、文章を要約してくれたりといったサービスを期待してしまうが、そうした機能は持ち合わせていない。あくまでも設定されたキャラクター付けの範囲での回答となり、そこから外れた質問に関しては「わからない」と回答する。
たとえば、むさしに「明日の天気を教えて」と質問すると「もうしわけござらん。拙者には天候を予測する力はござらん」という回答が返ってきた。あくまでも、キャラクターとの自然な会話を楽しむことに重点を置いているとのことだ。
これに近いことは、いわゆるBot(ボット)でもできそうだが、ChatGPTをはじめとする生成AIを利用することで、ある程度のあいまいさを持たせることが可能になっている。
たとえば、むさしは犬を飼っているという設定があるのだが、その時々により「犬がいなくなった」「病気になったので町医者にみせた」といったエピソードを話すこともできる。このあたりは、あらかじめ選択肢が決められているBotにはできないことだろう。
こうしたあいまいさは、キャラクターへの愛着にもつながる。正確に答えるだけだと、単にChatGPTの回答を読み上げるだけのサービスになってしまうので、キャラクターに愛着を持ってもらえるように、あえてちょっと抜けている感を演出することにも気を使っているという。そのほうが、会話をしたくなる、会話が盛り上がるということがあるようだ。