ChatGPT×「いらすとや」で出来上がったのは“ちょっとポンコツな”キャラクター? 電通が目指すコミュニケーションのためのAI

ChatGPT×「いらすとや」コミュニケーションのための生成AI

 OpenAIのChatGPTが登場したことで、世の中は一気にAIブームとなり、様々なサービスが登場している。今回の「キャラクターとの自動対話サービス」もその1つと言えるのだが、元になっている「キャラクターCXソリューション」自体は2021年に発表されていたものだ。

 これを利用した「Chara Talker(キャラトーカー)」というサービスは、キャラクターをアバターとしてインタラクティブなコミュニケーションを取れるというものだったが、これ自体は単なるアバターなので、いわゆる「中の人」が必要になる。当時から、これをAIで自動化したいという構想はあったものの、実現までには数年かかると考えていたとのこと。しかしChatGPTの登場により、これが一気に3年程度前倒すような状況となったのだ。

電通CXクリエイティブ・センターの荒木氏

 今回のプロトタイプではいらすとやのキャラクターを利用しているが、この経緯については、日本が誇るユニバーサルデザインで嫌いな人がおらず、いろいろな活躍の場があると感じ利用を決めたとのこと。いらすとや側もハンディキャップがあったり、シニアなどテキストチャットが難しい人でもAI活用の道を開くなど、社会的な意義を感じて協力をしているとのことだ。

 ChatGPTをはじめとする生成AI関連では、誤った内容をもっともらしく回答する「ハルシネーション」と呼ばれる問題が存在するが、今回のサービスも生成AIを利用する以上、この問題と無関係ではない。企業キャラクターが誤った内容や突然わけのわからない内容を話し出したら大問題だ。

電通CXクリエイティブ・センター 糸乘氏

 これに関しては、いまのところはキャラクターとの対話というコンセプトで制作しているため、大きくは影響していない状況だという。正確性よりもよりコミュニケーションがとれることを重視しており、わからないことはわからないと答えられる柔軟性故だろう。

 ただ、実際にリリースする際にはより強固な対策をとっていくことになるともしていた。この辺りの対策も含めて、実証実験を重ねる中で知見を深めたいという考えだ。また、電通グループ全体として、AIを利用する上でのガイドラインも作成しているという。

 現在はまだプロトタイプ、コンセプトモデルの実証実験という段階だが、すでにいくつかの企業からは実証事件に向けた問い合わせも入っているとのこと。単にキャラクターと会話をするということにとどまらず、認知症患者やシニア向けのソリューションに期待する声も多いようだ。そうした企業との実証実験も年内には開始したいとしていた。

 最近では有名人や声優などの声に似せた音声を生成できるAIサービスも登場してきている。そうしたものを組み合わせていくと、数年以内には、さまざまな企業やアニメなどの人気キャラクターと自由にコミュニケーションがとれるようになるかもしれない。

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