DFM・VALORANT部門特別インタビュー 韓国での生活や“3回目のタイムアウト”の裏側など『VCT Pacific 2023』を振り返る

DFM・VALORANT部門特別インタビュー

 前回は『VCT Pacific』最終戦の直後にDetonatioN FocusMe(以下DFM)のReita選手のインタビューをお届けしたが、筆者は別途DFMが韓国での拠点としているゲーミングハウスを訪れ、年末におこなわれる『VCT Champions』の最終予選である『LCQ(Last Chance Qualifier)』に向けた意気込みなどを聞いてきた。

 今回はこちらからインタビュー対象を指名せずチーム側にお任せしたところ、なんとMelofoviaコーチ、takej選手、Seoldam選手、Anthem選手と、かなり大人数かつ豪華なメンバーが応じてくれた。インタビューは撮影部屋にて実施したが、別棟にある練習部屋も特別に見ることができたので、あわせて楽しんでほしい。

DFM Reita「どれだけ自分たちのミスを少なくできるか」 『VCT Pacific』レギュラーシーズン最終戦後インタビュー

5対5の人気タクティカルFPS『VALORANT』のアジア地域リーグ『VCT Pacific』が3月下旬より韓国・ソウルにて開幕…

アジアの強豪チームに感じた、基礎を徹底することの“重み”

――『VCT Pacific』本当にお疲れさまでした。まずはリーグを振り返って、出場して良かったなと思うことからお伺いできればと思います。

Melofovia:僕自身、5対5のFPSでリーグ戦に参加するという経験がなかったので、「こうやっていけば有利に進められる」という練習方針だったり経験など、次につながるものが得られたと思っています。すこし気恥ずかしいところで言えば、共同生活を通じてよりメンバーのことが知れて家族感が出たというか、僕はみんなのことをもっと好きになりました。

――takej選手が隣で首を横に振っているのはなぜですか(笑)。

takej:最近パワハラ気味なんですよ。あ、これちゃんと書いておいてくださいね!

Melofovia:今日のインタビューを僕が指名したせいですね。だけど挙手制とかにすると絶対誰も立候補しないんで(苦笑)。

――ですよね(苦笑)。改めてインタビューに応じてくださってありがとうございます。では若手のAnthem選手にも同じ質問を。リーグに出場して良かったことは何ですか。

Anthem:国内大会よりも得られるものがたくさんありました。共同生活の部分もそうだし、リーグ戦の長い期間でいっぱい試合をするという環境がすごく新鮮で、他チームの対策とか、自分たちがどうしなきゃいけないとか、そういう部分の経験値がたくさん得られたと思います。

――では、アジアの強豪チームと戦ってみて率直に感じたことはありますか。

Melofovia:韓国チーム・DRXとの試合を見返して思ったのは、フィジカル(撃ち合い)はそこまで差がないんですけど、連携や基礎の丁寧さだったり展開の速さだったりっていうのが全然違うなって。「基礎を徹底して完璧にできる」っていうのが、簡単なようでとても難しいもので、強いものなんだなと感じています。

takej:僕もMelofoさんと同じような意見になっちゃいますね。フラクチャーに関して言えば、「これは勝てるな」っていう気持ちもあったんです。ただ、Melofoさんの言っている部分で結構な差が広げられているんだなと思いましたね。

※Melofo……Melofoviaコーチの愛称

「2023 VCT Pacific」Week 7 Day 3のDFM vs DRXの様子。MAP「フラクチャー」ではDFMがリードした時間もあった。

――振り返れば勝てそうな試合もありましたし、マップを取った試合もありました。

Melofovia:取れそうで取れないのは、基礎のところをやることの難しさだったり、相手がやっていることに対して1ラウンドで気が付いてすぐ対策してきたりという、ラウンド間での対応力や速さ、そこに気づける力を感じました。

――やはり選手の目線からはなかなか気付けない、見えなくなってしまう部分ですか?

takej:俺の場合は結構見えないですね。タイムアウトをかけてもらってコーチから言われることが多いです。

――なるほど。では、チームとして一番難しいと感じている部分はどんなところですか。また、改善していくうえで手ごたえを感じている部分があれば教えてください。

Seoldam:ゲーム中に難しいと感じている部分でいえば、僕は韓国人なので、日本語が自然にパッと出てくるわけではないところですね。チームのコミュニケーションもすごく上手くいっているというわけではないです。自分が努力しなければならない部分もあるし、チームとしての練習量もまだまだ足りていないと思うので。それでも、自分たちのプレイスタイルの方向性はある程度見えてきた感じですね。

――逆に、ほかのチームにはない“DFMならでは”の強みや、伸ばしていきたいところを教えてください。

Melofovia:個人で言えば、Seoldamの乱戦の強さやアグレッシブなプレイができるところです。ほかの選手にはないキルラインを持っていると思うので、そういうところをこれまでよりもっと生かせればと思います。それにくわえてSuggestのエイム力やtakejの大会での強さなどかなと。

 チーム単位で言えば勢いが良いときのVC、たとえばGEN(Gen.G Esports)戦やPRX(Paper Rex)戦のときはみんな“イケイケ”というか、思い切りがよくて、だけどちゃんと冷静になるところもあって……という感じだったんで。ただ、DRX戦は勢い余ってしまうところがあったので、そこの良い塩梅が見つかればチームとしても上手く大会に落とし込めるのかなと思っています。

――ほかに……では先ほどから発言の少ないAnthem選手にDFMの強みを聞かせてもらえますか。

Anthem:うーん。

Seoldam:「全然ない」って顔してる(笑)。

Anthem:いや、Melofoが全部言ったから……。

――じゃあ、Anthem選手個人について聞きましょうか。自分の強みや伸ばしていきたい点はどんなところですか。

takej:「ある」って顔してる(笑)。

Anthem:リーグを通して、自分の『VALORANT』への考え方や試合に対してのアプローチの仕方は間違っていなかったんだなと感じたんですけど、それを周りに反映させるのが難しいなと思ったので、それが伸びてきたらもっとチームが上手く回るのかなと。

――なるほど。Seoldam選手やtakej選手の横槍にもめげず、真面目に答えてくださってありがとうございます(笑)。あとは、メンタル管理についても聞きたいですね。メンタルを維持するのはとても大変だと思うのですが。

Melofovia:僕は自分のことよりもメンバーのメンタルを気にすべき立場だと思うので、選手たちとよく話して「何か思っているところはないか」など聞くようにしていますね。

takej:俺は深く考えないようにしてます! 人生においても、浅く生きていたほうが楽しいこともあるんで! たまに深く考えてメンタルやられるときもあるんですけど、だいたいのことは「楽しくやろう」という気持ちを自分の中で優先しながら物事を組み立てようかなと考えています。

――いいですね! そういう考え方は私もすごく好きです。やっぱり楽しくやれるといいですよね。

takej:やっぱり「つよたのしく」!

DFMのスポンサーであるゲーミングPCブランド「OMEN」のテーマ「つよたのしくいこう」(プレスリリースより)

――スポンサーさんへの配慮を忘れないところも流石です(笑)。

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