『Shadowverse』にキャリアを捧げるeスポーツキャスター 友田一貴に聞く「カードゲーム実況の難しさ」

友田一貴に聞く、カードゲーム実況の難しさ

実況の練習はしたことがない

ーー友田さんとしては、実況の練習をするよりも「ゲーム自体を練習をすることで良い実況ができる」というお考えなのでしょうか。

友田:そうですね。この練習方法は僕ならではのスタイルですね。実況自体の練習はほとんどやったことがありません。ゲームにどれだけ詳しくなれるかが、僕の実況においては大切です。

ーー驚きです。まさか実況の練習は全くされてないとは……ご経歴を整理すると、元々は一般プレイヤーとして活動されていて、2016年の公式大会優勝を機に公式実況者に抜擢されたと伺っています。それまでは一般プレイヤーで、実況は未経験だったと思うのですが……。

友田:そうですね。確かに実況は未経験だったのですが、人前で喋ることについては慣れていたので、初回の収録から緊張などはありませんでした。

 実は、最初は実況者ではなく、解説者として呼んでいただいたので、実況をやるつもりでこの業界に入ってきてないんです。ただ、続けていくうちに「友田の声質が実況に向いている」という意見がCygames社内であったようで、ある現場で突然、実況&解説&MCを任せられたのが実況者人生のスタートで。それが2017年の話です。

 解説者が足りない時期だったので、2年ぐらいは実況者と解説者を兼任する時期が続きました。やがて『Shadowverse』が盛り上がるにつれて、プロリーグの選手をゲスト解説者として呼べるようになり、少しずつ実況に専念できるようになりました。

ーー「初心者時代、実況をする上で最初にぶつかった壁」をお聞きしようと思っていたのですが、どうやら無さそうですね(笑)。

友田:こういう言い方はあまりしたくないですが、無いんですよね(笑)。強いて挙げるなら、番組中の告知関連ですね、長いカンペのお知らせ文を読みあげるとか。

 あとは空気を読むこと。そこまでゲームに詳しくないゲストさんが番組に出て頂くこともあるので、そのゲストさんにも楽しんで頂けるように、マニアックなゲームの話に深入りさせないようにするなど。現場の演者さんを活かしながら進行していく、そういったMCの動きについては最初苦労しましたね。

“友田流”の実況スタイルはどのように生まれたのか

ーー現在のユニークな実況スタイルはどのように生まれたのでしょうか。

友田:当時、カードゲームの大会において「実況者が大声を出す」というのは無かったんです。実況を始めた当初(自分の実況スタイルについて)自分でも邪道だと思いながらも、「こうやった方がもっと面白くなるはず」と考えて挑戦してみたのがきっかけです。もともと格闘ゲームやサッカーなど、場を盛り上げるような実況が好きだったので、自分でもやってみました。

 前例がないことだったので、最初は世間からの評判も「これはカードゲームの実況として相応しくない」と「これはこれで新しいから面白い」に賛否が分かれていましたが、今となっては少しずつ馴染んできたのかなと思っています。最近はほかのカードゲームの実況でも、ハイテンションで盛り上げるようになってきたので、時代的にもそういう傾向が強くなってきたのかなと感じています。

ーー確かに昔のカードゲームの実況は物静かで、お洒落な印象がありました。

友田:知的な雰囲気でしたよね。勿論、そういう実況も素晴らしくて僕も好きです。ただ、他者と同じことをしても面白くないと思い、自分なりに考えて、eスポーツ的な実況に寄せたスタイルを目指してみました。最初の頃は(配信の)コメント欄で「友田うるせえ」とか「いきなり叫ぶな」とか書かれてました(笑)。

ーー友田さんはただ単にハイテンションなだけでなく、まるで選手と一緒に戦っているような、感情の乗ったハラハラする実況をされますよね。

友田:(実況中は)常にターンプレイヤーの目線に立っているというのはありますね。選手が苦しいときは自分も苦しい気持ちになりますし、そこは感情移入しているんだと思います。パッションで実況しているところはありますね。

ーー選手が有効牌ではないカードをドローをしたとき、友田さんも一緒に苦しそうにされているのが印象的です。そこまで選手に感情移入できるのは、友田さん自身が元プレイヤーだからでしょうか。

友田:そうですね。実況しながらも「自分ならこの手札でどうするか?」という思考を常に持っています。自分の思考と違うプレイが出てきたら、その答えを探しにいきますし、思考通りのプレイが出てきたら、すぐに理由と状況を説明できます。

ーー良い実況のために、ゲームの理解度を高める必要性がよくわかりました。ところで現在でも現役時代さながらに熱心に『Shadowverse』をプレイされていますが、解説者&実況者のオファーがきたとき、プレイヤーとしてのキャリアに未練はなかったのでしょうか。

友田:難しいところですね。このままプレイヤーとして成績を残し、大勢に見守られながらカードゲームをプレイしたい、という気持ちはありましたが、実況者も大勢の前に立ち、盛り上げる仕事ではあるので、プレイヤーではなくなる寂しさはありましたが、オファーをいただいたうれしさの方が大きかったですね。「自分にしかできない仕事」というのは自分の人生観でも大切にしていることなので、任せてもらえている限りは続けたいと思っています。

 

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