にじさんじ・鈴原るるの4年越しの“復活”から、VTuberの「復帰」という選択肢について考える

12月16日、にじさんじ公式Xのポストで、卒業したライバー鈴原るるの復帰と思われる内容が投稿され、数多くの驚愕と喜びの反応があがった。12月23日の22時から「Coming Soon…」というタイトルの配信が、鈴原るるのチャンネルで行われる予定だ。
そもそも、鈴原るるが卒業した2021年以降、彼女のチャンネルの配信アーカイブは非公開になっていた。ところが、2025年12月1日に突如それらのアーカイブが再公開され、「活動に復帰するのではないか」という声がファンの中で囁かれていた。そして、その願いは現実のものとなりそうだ。
なお、かつて語られた引退理由については、該当のアーカイブが今も非公開なままであることも鑑みて記述を避けたいと思う。23日以降の配信で再び語られる可能性もあるかもしれないが、ファンからすれば「鈴原るるが復帰してくれる」という事実だけで、十分すぎるくらいの朗報だろう。
このパレットに🎨
もっともっと、思い出を重ねよう。12/23(火)22:00 Coming Soon... pic.twitter.com/kkJXZMfpIw
— にじさんじ公式🌈🕒 (@nijisanji_app) December 16, 2025
それよりも、ここでは4年越しの配信に向けて、かつて彼女が“パレットに重ねてきた思い出”を振り返っていきたいと思う。
「癒やしと畏怖」で伝説を作り続けた鈴原るる
鈴原るるは2019年5月1日にデビューした、にじさんじのバーチャルライバー。公式の紹介に「女子大に通う大学2年生。由緒正しい家系の出身で、いわゆる『箱入り娘』」とあるとおり、おしゃれなビジュアルとウィスパーボイス寄りの優しい声音が印象的な、ふんわりした空気感をまとう女性ライバーだ。
しかし、第一印象に反してそのセンスは独特で、尖っていた。最初のゲーム実況配信で彼女が選んだのは『超魔界村』。難易度の高さで知られるレトロゲームで、およそ新人が初めてのゲーム配信でチョイスするのに適したタイトルではない。この件を経て彼女についた異名が「魔界生まれ」だった。
以降、彼女は鬼神のごとき“ハードコアゲーマー”としての姿を発揮するようになる。『悪魔城ドラキュラ』『忍者龍剣伝』『魂斗羅スピリッツ』などの“超難易度”のゲームに次々と挑み、その結果として配信時間が長時間にわたることも多々あった。
「高難易度なゲーム」「長時間の配信」といった要素から察せられる通り、ものすごく負けず嫌いな鈴原。とはいえ、ゲーム実況の最中は、怒りと根性で乗り切るという様子ではなく、むしろ「挑戦することが好きで黙々とやり続ける」のが鈴原るるのスタイルだ。そのため、長時間の配信においても徹頭徹尾落ち着きのある丁寧な口調が続き、ラジオがわりに聴いていられるくらいには、配信の空気が心地よい。
「今最高に、私生きてる。今を生きてる。これが、生きるってこと」
鈴原が『大魔界村』を実況したときのこの発言は、彼女を象徴する一言だろう。彼女はゲームで追い詰められればられるほど燃える性格で、全力で攻略することに喜びを見出していた。
地獄の難易度で知られ、苦行としてプレイされることが多い『ジャンプキング』のゲーム実況では、33時間にわたる苦闘の末にクリアしている。そして、そのときの発言は「楽しかった『ジャンプキング』!」「今の状態でもう一回イチからやってみたいよね」というものであった。同作はいわゆる「プレイヤーの心を折ってくるタイプ」のゲームであるため、そのように思えること自体がある種の才能だ。
つまるところ、彼女はゲームを愛し、“苦労してプレイすること”自体を楽しんでいるのだ。「勝つまでやれば、負けじゃない」の精神でとことんゲームに向き合って乗り越える快感を満喫し、それを視聴者にエンターテイメントとして見せてくれる。そんな絶対に諦めない「やりこみ型ハードコアゲーマー」でありつつ、温和な声での癒やしも与えてくれる鈴原るるのユニークな魅力は、多くのファンを虜にしていった。
加えて、彼女はホラーやスプラッター映画が大好きで、グロテスク描写への耐性が異様に高いという一面も持っている。その趣味つながりで、彼女はでびでび・でびるを「でび様」と慕い、でびでび・でびる側も「びだいせい」と彼女を呼んで、“魔族の仲間”かのように愛であう関係を築いていた。
なお、通称「でびるる」と呼ばれたふたりは「圧 倒 的 存 在 感」という楽曲もリリースしている。そんな相手に対しても「でび様を食べたい」と、いつもの柔らかい口調でポロッと漏らすのが、鈴原るるらしさ。これには当時のファンもゾクリとしたであろう。
他にも「奇跡は無理やり起こすものだから」「敗北を味わわせてあげたい」「どうしてそんなすぐ壊れちゃうの?」「(Zepp Nanbaのライブステージから観客を見て)人間がいっぱーい!」など、彼女の優しい声色から飛び出してくる独特のワードセンスは有無を言わさぬパワーを感じさせる。そのギャップに魅了された人も多いはずだ。
また鈴原は、10時間の配信後にライブのレッスンにでかけ、帰宅後に全身を動かすゲームである『リングフィットアドベンチャー』を10時間以上、いつもの穏やかな語り口調のまま耐久するなど、ゲームに向き合うメンタルの強さだけでなくフィジカルの強さも尋常ではないということを見せ、ファンを畏怖させたこともある。
こうした超人的なエピソードや、ぞくりとするような発言の数々が、ふわっとした温かい雰囲気をまとう鈴原からたびたび飛び出した結果、彼女はにじさんじ内で“ある種の伝説”、人間を超越したものとして語り継がれていった。
でびでび・でびるの3Dお披露目が行われた際、とある場面で「人形化したVTuberたち」の中に紛れてたたずんでいた鈴原るる。彼女だけがギロリと振り返るシーンはホラーが苦手でなければぜひ見てほしい。ファンやライバーたちから、彼女がどういうキャラクター性で受け止められていたのかを象徴するシーンだ。
にじさんじ公式の報と鈴原るるのXが再起動したのを受けて、にじさんじライバーや数多くのVTuberたちからも一斉に喜びのポストが投稿され、祝賀ムードになりつつある。
おかえりなさいっ!!
— 雪城眞尋🌐💫 (@MahiroYukishiro) December 16, 2025
言ってみるもんだな https://t.co/QBGRrI6sci
— ベルモンド・バンデラス@MAS-RAO(剛) (@belmond_b_2434) December 16, 2025
「 ただいまと言える場所がある 」by えにーからー
— 黒井しば🐕🐾 (@BlackShiba_chan) December 16, 2025
ご視聴ありがとうございました。
このドアをノックする日を本当に、本当に長い間待ってました。気持ちを込めて歌ったのでたくさん聞いてもらえると嬉しいです!DECO*27 - モニタリング (Best Friend Remix)/リゼ・ヘルエスタ(cover) https://t.co/Yid8UD9q1z @YouTubeより
— リゼ・ヘルエスタ👑 (@Lize_Helesta) December 16, 2025
このタイミングで、リゼ・ヘルエスタがDECO*27「モニタリング (Best Friend Remix)」のカバーMVをアップしたのも話題になった。『にじさんじpresents リゼるるListen』というラジオ番組で一緒にパーソナリティを務めていたふたり。リゼ・ヘルエスタ側の配信では卒業後も一緒に食事に行っているというエピソードが語られるほど、仲がいいことで知られている。直接的に鈴原るるの名前に触れているわけではないが、「おかえり」という言葉を添えたポストもしているあたりから、彼女がこの曲を通して伝えたかった思いが推察される。





















