自身の選択がライブの演目を左右する『Red Bull Jukebox 2023』に見た、音楽イベントの"新たな可能性"

『Red Bull Jukebox 2023』レポ

 音楽イベント『Red Bull Jukebox 2023』が3月5日、幕張メッセ国際展示場9-11番ホールにて開催された。このイベントは「このライブの筋書きは、君次第。」と銘打った、ファンの想いがカタチになる音楽ライブ。事前にウェブサイトで投票が行われ、その結果をもとに歌唱曲やコラボアーティストが決定したり、その場で募った拍手の大きさによって披露曲が変わるなど、まさにファンによって作り上げられる企画が目白押し。会場エントランスには特設ゲートが設置されており、来場者がその場で見たい演出を選ぶという催しも行われていた。

©︎Suguru Saito / Red Bull Content Pool

 ステージはジュークボックスを模した舞台セットで、“スピーカー”に映像が映し出されるというもの。まさに観客が“選曲”した楽曲が、その場で流れてくるような会場作りになっていた。開演すると優里が登場。「ピーターパン」、「うぉ」、「タイムマシン」と3曲続けてパフォーマンスを披露し、序盤は勢いよく駆け出す。優里の力強く抜けの良いボーカルが大きな幕張メッセに轟く。序盤から熱の入った歌唱と、バンドメンバーたちとの息の合ったパフォーマンスにより、会場はぐいぐいと温まっていった。

©︎So Hasegawa / Red Bull Content Pool

 ここで一つ目の企画「COLLABORATION PICK」のコーナーへ。ステージにヒップホップ界のクイーン、Awichが登場すると客席から大きな拍手が起きた。これはファン投票によって決まったコラボ。優里の楽曲「花鳥風月」をヒップホップアレンジして2人で披露した。シンガーソングライターとラッパーによる異色のこのコラボ。異なる2つの音楽シーンで頭角を現した2人による貴重なステージに、観客も大満足といった様子だ。ジャンルは違えどマイクの前では同じ音楽アーティスト。息ぴったりの2人にオーディエンスは釘付けとなっていた。

 そして次は、優里の代表曲「ドライフラワー」を別のジャンルに作り変えてしまおうという「GENRE PICK」企画。SNSでのバイラルヒットをきっかけに優里の名を広く世に知らしめたこの曲を、事前の投票で選ばれたパンクロックアレンジにて歌唱した。原曲よりも疾走感のあるアレンジによって、より力強さと“青春感”が増し、歌詞のメッセージが心にストレートに伝わってくるようだった。

©︎Suguru Saito / Red Bull Content Pool

 続いては「PARTNER PICK」。TikTok上で行われた「#優里から翼をさずかるチャレンジ」に応募したアーティストの中から、優里が選んだ優秀者2名がカラオケバトルを繰り広げ、見事勝利すれば優里から楽曲を提供してもらえるという本企画。選ばれた2名の参加者であるざらめとSoraがステージに現れた。ざらめは路上ライブを中心に活動中の19歳で、歌唱曲は優里がカバーを投稿したことで話題となったBAKの「不言論」。ざらめによる芯があり、なおかつ透き通る歌声が響き渡る。一方でSoraは、ストレイジというユニットでも活動中のアーティストだ。Soraは「ドライフラワー」を伸びやかな歌声でカバーし、幕張メッセを魅了した。2人の歌唱後、観客による拍手の大きさによって勝者が決定され、見事勝利したのは、ざらめであった。今後ざらめには優里本人より楽曲提供がされ、場合によってはデビューのチャンスもあるという。

©︎Keisuke Kato / Red Bull Content Pool

 次は「COVER PICK」。優里に歌ってもらいたいカバー曲を決めるこの企画では、玉置浩二「田園」とミスター・ビッグ「To Be With You」のうち「田園」が選ばれた。カバー企画であるため自身の楽曲ではないものの、歌詞を丁寧に紡いで歌い上げていた優里の姿が印象的だった。

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