にじさんじ・瀬戸美夜子、サブカルチャーへの愛と丁寧なコミュニケーションが醸し出す“ディープな魅力”
特に彼女をイジるにじさんじのメンバーといえば、元一期生の樋口楓ではないだろうか。2020年9月7日に勇気ちひろのApex企画で初めてコラボしたあと、ほとんど表立ってやり取りをしていなかった。
彼女との転機が訪れたのは、2021年5月1日にふたたび勇気ちひろ、樋口楓の3人でコラボ配信したときであろう。直前まで割と辛辣めな口調・内容で会話することが多かった瀬戸と勇気の会話に、樋口が乗っかるように辛辣めに絡み始めたのである。
以前、樋口の同期であるえると勇気ちひろから「樋口楓には同期はだれも突っ込まない」「あいつを止めるストッパーはいない」といった話題から、「そんな樋口さんに立ち向かえる勇者がいるともっと面白くなるってことですよね!」と返事していたのは、ほかでもない瀬戸美夜子本人だ。
その後、2022年1月3日に『ポーカーチェイス』『Apex Legends』を使った2人でのコラボ配信をし、親睦を深めていくことになった。うまく会話しようと試みる瀬戸美夜子に対して、あまりにも冷え切った口調と意図の分からない言動で突っ返す樋口楓という構図は、2022年を通して続いていくことになった。
ちなみに樋口楓のショート動画でもっともヒットしている「おいしいヤミー!」ネタで、樋口とともにプレイしているのは瀬戸美夜子である。あそこまでハッチャけて尖った樋口の姿が出てきたのは、「どんな応対をしてもしっかりコミュニケーションを取ろうとする」瀬戸美夜子が横にいたからこそ、とも言えるだろう。
さて、そんな2人の会話のなかで、瀬戸はにじさんじに応募した理由について話している。
アニメ・マンガ・ネットカルチャーに明るい彼女がにじさんじを受けようと思ったのは、にじさんじSEEDs1期生の卯月コウとMAD動画が好きであり、記念受験気分でノリで受けたという。
私がにじさんじに入りたいと決心出来たのは名伽尾さん、轟さん、卯月さんがいたからですね…!
— 瀬戸美夜子📷💚18歳JK (@seto_miyako) January 28, 2019
「結構VTuber人気が高かったころだったとは思いますよ。その時はオーディションが一杯あったんですよ、.Live・ホロライブ・神椿も全部あった。あたしはにじさんじしか受けなかったんですよ。仮に機会をいただけたとしても、にじさんじ以外でやっていける姿が想像できなかった」
「なりたい自分になれるってよくいうじゃないですか? でもわたしはわたしだから、『なりたい自分』と言われても自分は自分だからな……って感じなんです、私の感覚では。『なりたい自分になりにきた』というより、『なりたい自分を探しに来た』という感じなんですよ」
2019年1月28日にデビューした瀬戸は、この記事が掲載される2023年1月28日にデビュー5周年を迎える。彼女はいまだに「なりたい自分」を探しきれていないようだが、代わりに少なくないファンや仲の良い友人たちに囲まれている。
背負いきれないほどに大きな知名度を得ているわけではないが、「シャイで奥手なオタク像」「アングラに偏ったディープな嗜好性」をそのまま抱えて活動を続ける彼女にも、愛する先輩と同じように熱烈な信奉者が生まれるはずだ。