『モンスターハンター:ワールド』5周年 シリーズを生まれ変わらせた新時代の「モンハン」
2019年9月6日には、本作の大型拡張コンテンツである『モンスターハンターワールド:アイスボーン(以下、アイスボーン)』が発売された。『アイスボーン』では多数のモンスターが追加され、『モンハンワールド』の課題だったボリューム不足も解消。「ジンオウガ」「ナルガクルガ」など歴代タイトルの看板モンスターも登場し、追加モンスターの名前がよくSNSでトレンド入りしていたことも記憶に新しい。
しかしながらユーザーによっては、「『アイスボーン』の登場以降、遊びづらくなった」という意見も。その理由は、『アイスボーン』で導入された「クラッチクロー」というシステムが狩猟の自由度を下げてしまっていたからだ。
「クラッチクロー」はモンスターの身体に張り付き、傷を付けてダメージを与えやすくしたり、吹き飛ばして壁にぶつけることで大ダメージを与えたりする新たなアクション要素だ。有効活用すれば戦闘を有利に運べる一方、『アイスボーン』ではクラッチクローを使わせるために、モンスターに露骨なひるみモーションが追加されたり、モンスターの体力が大幅に増加されたりなど、そもそもクラッチクローの使用が前提であるかのような調整が行われた。にもかかわらず、クラッチクローの張り付きは判定が曖昧で、頭部に張り付くつもりで狙っても翼に張り付いてしまうなど、使いづらさが際立っていた。
また、エンドコンテンツである「導きの地」に関しても、リリース直後は特に問題が多く、ファンのあいだで賛否があった。「導きの地」は複数の地帯からなる新フィールドで、各地帯のモンスターを倒すと「地帯レベル」が上昇し、より強力なモンスターと戦ったり、珍しい素材を集めたりできる場所だ。
しかし、リリース直後の導きの地では「地帯レベルを上げるために大量のモンスターを倒さなければならない」「ほかの地帯のモンスターを倒すと目当ての地帯レベルがすぐ下がってしまう」「地帯レベルがすぐ下降してしまう影響でマルチプレイがしづらい」など、数々の問題があった。
とはいえ、『アイスボーン』ではこのような問題点に対して、運営側が積極的に対応していたことも印象深い。前述した「導きの地」に関する問題においても、ユーザーから不満の声が多数寄せられていることを、リリースから間もない段階で運営が発表。「今後のアップデートで改善していく」とし、実際に仕様変更が施されたことで、「導きの地」に関しては格段に遊びやすくなった。ほかにも、今後のアップデートスケジュールをあらかじめ公開するなど、ユーザーに寄り沿った運営姿勢には好感を覚えた。
『モンハンワールド』は、現代向けにアップデートされたシステムとグラフィックで、「モンハン」シリーズの新たな可能性を切り拓いた一方、一部システムの調整が不十分だったことが非常に惜しかった。しかし、その後の運営のカバーによって、末永く遊べるタイトルとして完成された作品ともいえるだろう。だからこそ、全世界2,000万本というCAPCOM史上最高の販売本数を記録できたのかもしれない。
最近は『モンスターハンター サンブレイク』などで遊んでいるという方も、5周年を機に、もう一度『モンハンワールド』の世界に足を踏み入れてはいかがだろうか。
狩り続けて16周年『モンスターハンター』 総売上6000万本シリーズの原点を振り返る
2004年3月11日。この日、”ハンティングアクション”と呼ばれる新たなジャンルを標榜した1本のゲームソフトが産声を上げた。その…