VRと"アモアス"の親和性が高すぎる……その理由は開発経緯にアリ? 『Among Us VR』プレイレポート

『Among Us VR』プレイレポート

 宇宙を舞台にした人狼系ゲーム『Among Us』は2018年にリリースされ、ストリーマーやYouTuberの間でじわじわと人気を伸ばしてきた。、そして2020年に突如大ヒットを記録し、以来同ジャンルにおける定番タイトルとして親しまれているゲームだ。

 プレイヤーは宇宙船の乗組員(クルー)として船の修復ミッション(タスク)をクリアし、宇宙船を発進させるのが目的だ。しかし、プレイヤーのなかには人間に扮した数体の宇宙人(インポスター)が紛れ込んでいる。インポスターの目的はクルーの殺害で、船内であらゆるトラブルを起こし暗躍する。

 クルーはインポスターの仕組むトラブルを解決しつつ、ときには議論を交えながら裏切り者を探し、敵を宇宙船から追放するのがゲームの基本的な流れだ(議論の結果、無関係のクルーが犠牲になることも……)。シンプルでとっつきやすいルールが魅力で、人狼系ゲームになじみのないプレイヤーでも気軽に始められるため、リリースから4年が経つ現在でもその人気は高い。

 そんな本作に2022年11月11日、VR版である『Among Us VR』が登場した。本稿では、筆者が実際にプレイして感じた"VRならでは"の魅力をレポートしていく。

今回のプレイで使用したのは『Meta Quest 2』

後ろは見えないし、壁の向こうも見えない。だってVRだから。

 『Among Us VR』をプレイする上での流れは、基本的に『Among Us』と違いはない。クルーはタスクをこなし、インポスターは妨害を交えてクルーの暗殺を狙っていくという、いたってシンプルなものだ。

 しかし大きく異なる点として、VRであるがゆえの「視野の狭さ」が挙げられる。

(画像=Among Us is coming to Playstation! Announcement Trailer)

 従来の『Among Us』では自身の向いている方向に限らず周囲の状況(壁の向こうの部屋の中でさえも)を把握できていたが、VRとなるとそうはいかない。自身の背後を確認するには、振り返って正面を視界にとらえる必要があるのだ。つまり、クルーはタスクを行っている最中はかなり無防備になるし、インポスターはキルを狙う前に誰も周囲にいないことを念入りに確認しなければならない。

見渡しながらの作業は効率が悪い

 実際、同じ部屋にいたインポスターが壁の向こうにいる筆者に気付かずキル、その音を聞いて駆け付けた筆者が通報、あえなく御用となった回もあった(しかも一緒に行動していたクルーと二人でバッチリ見てしまったので、インポスターは必死の弁解むなしく、宇宙空間に放り出されていった)。

不安で後ろを振り向く筆者。オレンジさんが着いてきてくれていた。

 インポスターが行える妨害行為(サボタージュ)の一つ、「停電」は特に凶悪だ。一人称視点がゆえにただでさえ移動が大変だというのに、電気が消えた船内は真っ暗で本当に何も見えなくなってしまう。比喩ではなく「一寸先は闇」だ。こうなってしまったら、もうマップを頼りに移動するしかない。

ほんの先すら真っ暗で何も見えない

 『Among Us VR』では、味方と共に行動するのが『Among Us』に比べて少々難しい。そこで役にたつのが、ヘッドセットを介したボイスチャット機能だ。『Among Us』では会議時に使えるテキストチャットや、Discordなどの外部ボイスチャットツールを利用のうえ、会議時のみ会話してゲームを進行するのが一般的な遊び方だった。しかし、VR版では常にボイスチャットを利用できるので、「一緒に行動しよう」「ここのタスクやるから周り見てて!」といった連携が可能となる。いわば、本当に会話している状態だ。

 そのほかにも、テキストチャットや、コントローラーのトリガーを押し込むことでハンドサインを利用できる。ボイスチャットを利用しない場合でも、進行方向を指差しして「こっちに行こう」と意思疎通を図ることも可能というわけだ。

手を振ったり、サムズアップをしたり。コミュニケーション機能が大幅に強化されている

”VRならではの要素”をふんだんに取り入れたタスク

 クルーのミッションとしてマップのあちこちに配置されたミニゲーム「タスク」も、『Among Us VR』ではその内容が大幅に刷新されている。いずれもVRの特徴を生かした内容となっており、『Among Us』の魅力をしっかりとVRに落とし込んでいる。ここでは、筆者が体験したタスクの一部を紹介しよう。

 初めに紹介したいのが、この網膜スキャン。内容としてはただ前を向いているだけというシンプルなものなのだが、周囲を見回したりして視線を外すと最初からやり直しとなる。絶対に振り返ることができないため、一人でこのタスクをこなしていると「いま後ろからインポスターが来たら……」と緊張感が高まるのだ。

視線を外してしまうとスキャナが赤く光り、最初からやり直しとなる

 こちらのタスクはモグラ叩きのような内容。ランダムに飛び出す単眼のエイリアンを5体叩けばクリアだ。筆者が下手なだけかもしれないが、クリアまで12秒と思った以上に時間が取られた。

 また、先ほど紹介した「停電」に限らず、どのサボタージュも臨場感が増している。制限時間内に指定のタスクをクリアしないとクルーが全滅する「酸素枯渇」などは、非常灯の赤い点滅とアラート音も相まってかなり心臓に悪い。今回の体験でも、焦りからタスクをうまくこなせなかったり、片方に人が集中してしまったりして1〜2回ほど敗北してしまった。

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